【※注:ネタバレあり】映画『ペンギン・ハイウェイ』の感想
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【※注:ネタバレあり】映画『ペンギン・ハイウェイ』の感想

2018-10-25 22:58
    初めての投稿になります。

     本当は『君の名は。』の時に書きたかったんですけど、思いの丈が強すぎてまとめきれませんでした。
     本作なら、なんとか自分の言葉としてまとめられそうな気がしたのでここに書いていきたいと思います。





     実はこの映画に惹かれた理由の一つが、宇多田ヒカルが主題歌を歌っていたことにあります。最近の宇多田ヒカルの作る曲は、以前にもまして魅力的なものばかりです。
     で、実は主題歌自体は知っていたのですが――


     まさか本当に主題歌通りだとは思いませんでした。 


     これから観に行かれるという方は(もう公開もだいぶ終盤なのであまりいらっしゃらないと思いますが)まだ調べないほうがよいでしょう。

     終盤の展開が近づくにつれて、「おいおい、マジかよ……嘘だといってくれよ……」という気持ちになり、最後のシーンでは本当にアオヤマ君の心情を追体験しているかのような気持ちになり、泣きそうになりました。
     でも、決してネガティブな感情から生まれたものではありません。次へとつながる、希望を感じられるものでした。

     話の内容としては、SF的な、超常現象のようなものも織り交ぜながら、かなりほほえましい小学生の姿が映し出されていたように思います。天才少年を自称するアオヤマ君も、おっぱいの魅力には勝てなかったり歯を抜くのは怖がったり、結構年相応なのがほほえましいです。
     だからこそ、中盤はちょっとテンポがスローでつまらない感じかなぁと思ったのですが、終盤謎の解明が近づくにつれ、私も物語に引き込まれるようになっていきました。そして最後のシーン。少年は泣きますが、次へと進みます。そうしてまた謎を解いて、また1日大人になっていきます。

     全体としてすごくポジティブで、温かい気持ちになれる作品でした。と同時に、今すごくネガティブで情けない大人になっている自分が申し訳なくなりました……
     自分が小4のころは、もっと未来に希望をもって生きていたはずです。どうしてこうなってしまったのか、もっとよく反省してみなければならないと思います。



     ――さて、ここからは個人的な話になります。
     私は本州最北端の地に生息しているのですが、この作品何と2週間もたたずに上映が終わってしまうという、なんとも短期間な映画なのです。実をいうと今日が最終日でした。
     そして今日が最終日というのにもかかわらず、見に来ていたのは私一人だけでした。これは残念です。上映期間が短すぎたのか、旬が過ぎてしまったのか、こっちでの知名度が足りなかったのか、とにかく一人で見るのにはもったいない作品でした。
     また、この映画の後、この映画の内容を忘れたくないと思い、地元でも一番大きいと思われる書店に立ち寄りましたが、なんと『ペンギン・ハイウェイ』が置いていない!
     お姉さん、どうしてそんなにあなたは遠い存在なの……?
     仕方がないので宇多田ヒカルのアルバムを買って、車内で大音量で流しながら帰りました。
     今後絶対に探し出します。意地でも。そしてちゃんと原作を読むと誓いました。


     ※ここからは、需要なネタバレへの考察につきご注意ください!※

























     やはり、気になるのは『お姉さん』の存在、何者であるかということです。
     森見作品にはよくあるパターンだとか、いろんな意見がありますが、とにかく自分なりに考察してみます。

    【気になったところ】
    ・お姉さんはペンギン現象が始まる前からちゃんと存在していたようであり、(消えてしまってからも)他人にちゃんと認識されています。お姉さんは社会ではどういう扱いだったのでしょうか
    ・お姉さんには父と母、故郷に関する記憶がちゃんとあるようです
    ・(ちゃんと確認したわけではないのですが)アオヤマ君がお姉さんの部屋に呼ばれてパスタを食べたとき、一方の皿の料理は残ったままになっていました。お姉さんのものだと推測できます。お姉さんはもしかしたらかなり長い間食べ物を食べていないのではないでしょうか
    ・お姉さんの正体がわかりそうになった時「この世界への未練」と、まるで幽霊のようなことを言い出します。もしくは、もう自分が消えることを予測しているかのような口ぶりでした。
    ・お姉さんは町から離れた時以外も、球体から離れたわけではないのに具合悪そうにしているシーンがありました。
    ・また、嵐の中お姉さんが具合悪そうにしているシーンで、ベランダにサンダルが置いてありますが、水の後がそこからベランダへと続いており、『何者かがそこから出て行った』といった印象を受けます
    ・お姉さんが具現化するものは、お姉さんの心象を映し出したものばかりです。お姉さんの話に出てこない生き物は出てきません
    ・『海』に関して、球体の外と中という話が出てきましたが、鏡の中のアリスも鏡の外と中の話です
    ・最初のペンギンはどうやって生まれたのでしょうか。やはりお姉さんが生み出したのでしょうか。
    ・ペンギンは身近なものたちが変化してできたものです。しかしジャバウォックは特別な現物を必要としません。完全に現実から切り離された存在です。
    ・チェスは白と黒が攻めあいます。このツートンカラーはどこかペンギンを髣髴とさせます
    ・ペンギンは町から離れると元のものに戻ってしまいますが、お姉さんは町から離れると怪物を生み出そうとします。いずれにせよ、町に縛られた存在です。
    ・お姉さんはアオヤマ君が『海』について研究している間しばらく姿を現しませんでした
    ・『海』はお姉さんの体調に合わせて増幅したり収縮したりします。一定の周期があるようにも思えます
    ・『海』の大きさが増幅してきたとき、物理法則がねじれ、表の世界もめちゃくちゃになっています
    ・『海』は時間に関しても干渉してくるような様子が見て取れました(吹き飛ばされたパラソルから木が生えている、など)
    ・お姉さんは天気のいいときは調子がよく、雨の日は体調が悪くなります。アオヤマ君の原理ではお姉さんが元気な時は海は収縮し天気が悪い日は膨張するということになります。しかしクライマックスの場面、あれだけ天気が良かったにもかかわらず、またあれだけお姉さんは元気だったのに海はとてつもない大きさまで膨張していました。
    ・もともとペンギンは日常のものが変化したものですが、最後に出てきた大量のペンギンは消えるようにいなくなっていきました。そういえば弱ったペンギンたちは元のものに戻るようですが役目を終えたペンギンがどうなるかについては他に一切の描写がありません。
    ・お姉さんが生み出すものは、ペンギンであれ蝙蝠であれジャバウォックであれ、どれも白と黒のモノトーンのものばかりです。
    ・お姉さんは世界の修復元となるとともに世界を改変させる存在でもあります(ジャバウォックを生み出すなど)


    ~結論~
     合理的な説明で『お姉さん』について断定するには情報と根拠が少なすぎる

     全然答えになってなくて申し訳ありませんが、こうとしか言いようがありません。
     「こうじゃないかな?」と思って仮説を立てるのですが、他の情報と照らし合わせると矛盾することがあります。はっきり「こう!」と自分の予想を立てるにはまだまだ至らないです。

     原作から削られた箇所もいくつかあるとのことなので、今度原作を読んで、そのうえでもう一度考察してみたいと思います。

     それにしてもこう、『答えがないこと』を自分の力であれこれ考えてみることほど楽しいことはありませんね。やはり私は考えることが好きみたいです。
     もっと筋道立てて考えられればもっとよくなるのでしょうが……

     いずれにせよ、魅力的なお姉さんであることには変わりないでしょう。
     アオヤマ君はお姉さんについて、その造形が完璧に好みに一致しているということなので、もしかしたらアオヤマ君が作り上げた理想の女性像だったのかもしれませんよ?





























    ※ネタバレ終了※

     というわけで、『君の名は。』に勝るとも劣らない考察しがいのあるアニメ作品でした。こういった考察しがいのある作品は、明かされない謎が語り口の一つにもなるので、時がたっても魅力的な作品として残ることでしょう。
     それにしても今年は魅力的なお姉さんが出てくる作品が多かったのではないでしょうか。
     いいお姉さんキャラが出てくる作品が良作であることは間違いのないことです。数作しか覚えておりませんが、私の経験上そうだったので間違いありません。

     円盤は来年1月発売とのことですので、上映を見逃したという方は購入も検討してみてはいかがでしょうか。お姉さんの謎の正体に迫りたいという意味でも、子供のころに抱いていた好奇心や大人に対する心構えを忘れないよう、観返す価値のある作品だと思っています。

     私たちはアオヤマ君にはなれませんし、過去に戻ることはできませんが、昨日よりも今日、今日よりも明日と自分を日々よくしていく努力はできます。
     小4でありながらそのことに気づいているアオヤマ君に負けないように、私たちも生きていきたいものですね。
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