• 【#ベベカレ2019】シャイニーカラーズの楽曲は、「おいしい音」の詰め合わせ

    2019-12-21 00:00

     この記事は、ジョンべべベント・カレンダー 2019の21日目の記事です。前日の記事は、やこさんの「風野灯織はどこ住み?です。アイドルの出身地考察とか居住地考察は、地理オタクの私としても非常に興味深いテーマでした。

     さて、今回の私の記事のテーマは

    シャイニーカラーズの楽曲は、「おいしい音」の詰め合わせ

     アイドルマスターの歴史は楽曲抜きに語ることはできません。昨年からTHE IDOLM@STER MUSIC ON THE RADIOという番組も始まったこともあり、10年以上にわたって様々なタイトルで続くアイマスという枠組みの中で生まれた楽曲、それらに横断的に触れられる機会もできました。今回はその中でも、アイマスの中で最も新しいシャイニーカラーズの楽曲について、音楽理論的な観点から良さを語りたいと思います。

     テーマにもあるように、ポイントとなるのは「おいしい音」です。ここでの「おいしい」は、特に芸人さんがよく使うような、「おもしろさを引き受ける立ち位置にあること」という意味です。音楽の中にも、「この音があることによって、曲の面白さや感動が生まれる!」という場面が多々あり、それはアイマス楽曲も例外ではありません。中でも、シャイニーカラーズの楽曲は、比較的シンプルで、あまり奇をてらわない王道の作り方をしているものが多い(※個人の感想です)ため、それゆえに「おいしい音」の出現が目立ちますし、効果的なのです。

     この記事を読む前に、以前のブログリレー企画の記事【#imas_この曲語らせて】トキメキの音符になって――巧妙に仕組まれた「隠れ転調」を読んでいただきますと、より理解が深まるかもしれません。

     前置きが長くなりましたが、早速実例を紹介していきましょう。

    Spread the Wings!!

     まずはシャイニーカラーズ最初の全体曲であり、代表曲とも言えるこの曲から。コールになりがちなカッコ書き歌詞や、PPPHを入れやすい長音符主体のBメロなど、これまでのアイマス全体曲と同様、楽しく親しみやすい曲になっています。この曲で取り上げたい「おいしい音」はこちら。

     サビの最後の部分にあるこの音です。
     曲を作るときには、原則としてその曲の「調」=「7つの音のパッケージ」に含まれる音を並べていきます。しかし、時々そのパッケージに含まれない音(半音上げたり下げたり)を使うことがあります。そういった場合には、上記のように、音符に臨時記号を付加して表現します。臨時記号のついた音は、その楽曲の調から外れているので、聞き手に対して、緊張感や不安定な印象を与えます。しかし、不安定な時間があるからこそ、早く安定な状態になりたい=曲の先の方を聞きたいという気持ちが生まれますし、安定に戻った時に感動が生まれるのです。こういった展開を音楽理論ではよく「解決」と表現します。特にシャイニーカラーズの楽曲には、この解決が用いられているものが多く存在します。
     しかも「Spread the Wings!!」のラスサビ、”可能性「で」”のところで、この不安定な音がなんと数倍の長さになります。その長い長い不安定が終わった後の解決には、これまでよりも大きな感動があるのです。

    ヒカリのdestination

     イルミネーションスターズ3人の掛け合いが印象的なこの曲。「おいしい音」もそんな掛け合い部分に出現します。

     同じようなメロディの繰り返しなのですが、真乃が歌う部分にだけ臨時記号がついています。「Spread the Wings!!」と同じ、調から外れた不安定な音です。臨時記号を使わずに単純に繰り返しでもいいのですが、あえてこうして変化をつけているという点、さらに、3人が合わさって歌うところで不安定状態が消え去って解決になるという点、これらが感動を生む要素になっています。
     ちなみに、こういう音は歌うのが結構難しいです。これをバシっと決められる真乃役・関根瞳さんの歌唱能力の高さがうかがえる部分でもあります。

    ハピリリ

     続いてはアルストロメリアの「ハピリリ」です。アルストロメリアの楽曲は比較的におしゃれな作りで、その分若干構造が複雑です。

     赤丸の音は、調から外れた不安定な音。次の小節で解決します。
     さらに、青丸のついた小節に注目しましょう。楽譜の上にあるアルファベットの記号は「コード」といい、簡単に言うと曲のその部分の裏オケではどんな和音が奏でられているかというのを表現したものです。特にギターを弾く場合には、このコードを見ることで、どの弦のどのへんを押さえるのか?というのがわかります。
     この小節では、歌の音はすべて同じF=ファなのですが、コードが途中で変わっています。変わった後のB♭mというコードには、実はこの曲の調にない音が含まれているため、とても良く目立ちます。裏オケも細かく見ていくと、楽曲に変化をつける要素が散りばめられているんですよ。

    夢咲きAfter school

     とにかくコールがたくさんあって楽しい、放課後クライマックスガールズが歌うライブの花形曲。実はその楽しさも、綿密に計算された音楽的な構造があってこそのものです。

     この部分の歌の音には臨時記号がなく、不安定要素がありません。しかし、青い四角で囲った部分のAというコード、これにはこれにはこの曲の調にない音が含まれています。そうした不安定な状態がなんと3小節もの間続きます。そしてその後に入ってくるものこそ、小宮果穂の「なんばーわ゛ん゛っ゛! 」。しかもここは裏オケは無音。不安定な状態から一気に解放された瞬間に差し込まれる小宮果穂の力強い叫びに、聞き手は強い感動と興奮を覚えるのです。

    Ambitious Eve

     1stライブで新曲として披露されて大きな感動を生んだこの曲。一度聞いただけで、サビから転調するところに惚れ込んだのですが、今回この記事を書くにあたって音を拾ってみたところ、その緻密な構造に感動しました。

     Bメロからサビに移る転調部分を抜粋しました。注目してほしいのは緑色で囲んだ部分です。ここには臨時記号のついた音符が一つもありません。Bメロからサビに移行する際に転調するけれど、両方の調に共通した音だけを使っているんです。だから、ここに不安定さを感じることもないし、ものすごくスムーズに転調が行われたという印象を受けるんですね。しかも、Aメロ・Bメロは短調(暗い音楽の調)なのに対し、サビは長調(明るい音楽の調)になるので、この転調より一層の爽快感が生まれるのです。

    おわりに

     長々と御託を並べてまいりましたが、この記事で伝えたいのは、歌というのは、詞ももちろんだけど、曲も感動を生むように綿密に設計された上で作られている、ということです。
     みなさんが歌を聞いていて、なんとなーく、「ここすき」って思う部分があると思いますが、そういう部分を理論的に分析していくと、実はこういう「おいしい音」がそこかしこに隠れていたりします。
     また、「おいしい音」の使い方には作曲家ごとに共通するクセみたいなものがあります。自分好みの「おいしい音」が含まれる楽曲に出会えたら、その作曲家さんが作った、他コンテンツの楽曲を聞きに行ったりするのもまた一興かもしれません。

     明日の担当はまつたけんさんで、テーマは「活動記録2019_白菊ほたる編です。熱心な白菊ほたる担当であるまつたけんさんにとって、白菊ほたるにボイスが実装されたこの2019年は激動の年であったことに違いありません。どんな活動報告になるのか楽しみです!


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  • 12/23は、Radio Shirayuki 冬コミ宣伝放送!

    2019-12-19 16:59

    12月23日 22:00より放送するRadio Shirayukiは、毎度恒例「冬コミ宣伝放送」。
    来る年末に開催されるコミックマーケット97にサークル参加される方々をゲストにお迎えし、頒布物の宣伝をしてもらいます。

    今回の宣伝放送から、以下の点について変更がございますので、ご注意ください。

    【変更点1】
    告知用画像サイズの変更
    これまで:640px*480px(4:3)
    今回から:800px*450px(16:9)
    ※4:3サイズでも表示は可能ですが左右が余白となります。

    【変更点2】
    通話ツールの変更
    これまで:Skype
    今回から:Discord
    出演の表明もDiscordで受け付けます(コミュニティ掲示板への書き込みは不要です)。

    ★Discord導入の流れ
    ①Discordをダウンロードします。
    https://discordapp.com/

    ②Discordをインストールします。
    https://www.lenonnon.com/entry/discord/howto
    その際、マイアカウントにメールアドレスを設定してください。
    上記ページにある「プロフィール設定」を参照。

    ③「Radio Shirayuki」サーバーに参加します。
    https://discord.gg/9eeHBb3

    ④テキストチャンネル「出演待機所」に、
     出演を希望する旨の書き込みをお願いします。



    ⑤出演時に使う画像は、
     稲本海にDiscordのダイレクトメッセージとして送信してください。


    稲本海のアイコンを右クリックし、「メッセージ」を選択。

    稲本海へのダイレクトメッセージ送信画面が開きます。


    メッセージ記入欄の左側にある、丸で囲まれた+マークを押すとウインドウが開きます。
    画像、または画像をまとめたZipファイルなどを選択すると送信できます。



  • 【たんあいがたり】ロコのアイドル&アートライフとアンチェンジドなマインド

    2019-08-24 23:49

    はじめに

     この記事は、やきゅさん主催のブログリレー企画「たんあいがたり -natsu-」8月25日分の記事となります。
     前日は、Shio_Pさんの木下ひなたのお話でした。ひなたって実は結構努力家なんですよね。そこがまた、応援したくなるポイントの一つです。

     今回取り上げるのは、アイドルマスターミリオンライブ!の伴田路子もといコロちゃんもといロコです。ちょっとひねくれた話をするつもりであること、また、私がミリオンライブ!にハマったのはシアターデイズからであり、以後の文章はすべてシアターデイズでのテキストを根拠に記述されていること、以上2点をご留意の上、読み進めていただければ幸いです。

    ロコとは

     さて、先に結論から申し上げます。



     ロコとは、どのような人物でしょうか?



     私は、「承認欲求を抱えた寂しがり屋の女の子」なんじゃないかなと思います。


    ロコのアイドルライフのスタート

     ロコは、もともと765プロダクションのアイドルライブを見に来ていた観客の一人であり、アイドルに興味を示していたロコに対し、プロデューサーが名刺を渡してスカウトしたところから、ロコのアイドル人生が始まります。



     これがロコをスカウトしたときの彼女の言葉ですが、どちらかというと上から目線な感じもあります。ロコは、自分の制作するアート――“ロコアート”には大きな自信を持っており、自分と自分の作るアートが一番、それ以外は二番、三時のおやつは文明堂というような態度を取ることもありました。しかし、その自信の脆さが露呈する瞬間が訪れます。それがロコのメインコミュです。

     センター公演を前に、ステージパフォーマンスがうまく進まないことに落ち込み、自信をなくします。それに追い打ちをかけるように、制作していたロコアート=自分の自信の塊が壊れてしまう始末。悪い状況が重なり、美也と昴に八つ当たりをしてしまいます。だけど、それを見かねた千鶴に窘められ、ロコは結果的に無事センター公演を成し遂げます。公演後のロコは、こう話します。


     それまで一人での活動だけに自信を持っていたロコですが、この公演を通して、他のメンバーと協力して活動することの楽しさを感じ取ったのです。

    コーポレートするロコ

     これ以降のロコは、他のメンバーに対して協力を仰ぐという行為に積極的になります。


     「月曜日のクリームソーダ」では、レトロという概念をうまく理解できずにいた桃子に、アイデアを引き出す手助けになるような衣装スケッチを渡し、桃子を始め他のユニットメンバーからどんどんとアイデアを引き出すことに成功します。


     「Fruity Love」では、茜がパーソナリティを務めるインターネット番組の制作にあたり、大量のプリンを食べながら茜とじっくり相談し、さらに、亜利沙にカメラマンを、奈緒に構成作家を依頼するという、それぞれの得意分野が生きるような采配を披露します。

     さて、こうして他のメンバーとの協力関係も構築し、楽しく豊かなアイドル&アートライフを謳歌しているように見えたロコでしたが、「Fruity Love」のこの先のコミュに、ロコの本当の姿が現れます。

    アンチェンジドなマインド、リアルなロコ

     茜から依頼された番組マスコットの製作に行き詰まってしまったロコ。落ち込んでいるロコを見かねた茜は、ロコに対して無理をしなくていいと気遣いを見せるのですが、これが逆効果になってしまいます。


     アーティストなのに、よりによってアート作品の依頼に応えられなかったという情けなさ。他のメンバーと協力するようになったからこそ、他のメンバーに対して顔向けできないことに対して引け目を感じるようになってしまったんですね。




     そして、(言葉の行き違いですが)無理してマスコットを作らなくても良い=ロコアートがなくても成立する。それはすなわちロコアート自体への否定になってしまいます。


     そしてここに、我々はロコの本当の姿を垣間見ます。


     ロコにとってはロコアートこそが自己を表現する手段であり、ロコアートを通して、自己を理解して欲しいという承認欲求を持っているのです


     ここまで、他のメンバーとの協力という点について述べてきましたが、この承認欲求は、常に根底にあるままだということが、言動の端々から見えてきます。




     SSR[ロコナイズミュージック♪]ロコの衣装コミュです。アートを見てもらえた嬉しさを語り、アートは見てもらえてこそ価値が向上すると語っています。


     「月曜日のクリームソーダ」公演終了後のブログでは、みんながロコのフィーリングをわかってくれることに対して喜びを感じていることが伺えます。


     SR+[UNI-ONAIR]ロコのSSR+化後のメールでは、プロデューサーに対して、新たなロコアートの素晴らしさをわかってくれることを期待しています。


     ロコの出自についてはあまりゲーム内で語られることがありません。
     だけど、もし、アイドルになるまでの間、自分のアトリエにこもり、一人キャンバスに向かい続けていたとしたら、他人と会話する機会に乏しかったかもしれません。また、他人との会話が少ない分、あまり人から褒められたり認められたりした経験も乏しいのかもしれません。
     それでも、自分のアートには絶対の自信を持っていたから、いつかどこかの誰かが自分のアートを、そして自分自身を理解してくれる――そう思って生活していたところに、プロデューサーが現れ、アイドルの世界に飛び込んだ。そして、アイドルの世界に飛び込んだことにより、自分のアートが見てもらえた。他の人と協力することでアートのクオリティに磨きがかかった。アートを通して、自分自身を見てもらい、理解してもらうことができた。
     しかし、「無理してマスコットを作らなくても良い」発言によりそこまで積み上げたものが一気に崩されてしまったんです。

     結果的には、ただの言葉の行き違いで、茜ときちんと話し合ったことで解決に向かったわけですが、これ、実際ロコの内面ではかなりの危機的状況だったのではないか、とちょっと怖くなります……。

     ちょっと暗い話になってしまいましたね。

     でも、ロコはその危機を乗り越えることができました。

     危機を乗り越える強さが得られたのは、それまでの楽しく豊かなアイドル&アートライフがあったからに違いないでしょう。そうして強くなったロコは、これまで以上にインスピレーションを爆発させ、アイドルでありながら、企画・制作側にも積極的に関与していきます。


     そうした“ロコナイズ”中のロコは、笑顔に溢れ、とても生き生きしています。これからも彼女が生き生きとアイドル&アートライフを謳歌できる環境を作ってあげること、それがロコのプロデュースなのだろう、と思います。


    パーソナルなシンパシー

     最後に、個人的な共感について。
     私は昔からやたらと他人からどう思われるかを気にするタイプの人間でした。人に嫌われることをとても恐れていました。何か自分が褒められること、認められることが欲しいと思っている人間でした。私が定義づけたロコの特徴。それは私自身に共通するところがあります。だからこそ、なにかほっとけないという気持ちが芽生えたのかもしれません。
     また私は、これまで様々な同人誌を製作し、幸いなことにこれまで多くの皆様にお手にとっていただいております。ふと考えると、こうして私がやってきた同人活動の過程って、ロコのアート発信の過程と一緒なのかな、という気もしてきます。同人活動やってる最中の私も、“ロコナイズ”中のロコと同じように、とても生き生きしています。こういった点も、ロコに惹かれる要素になったのかなと思います。

     明日は、ロコ担当の先輩Pである鳩さんことろころこさんによる、同じくロコのたんあいがたりです。ドントミスイットです!