• 第一次偶像戦争 【395】 [四条貴音]

    2019-01-18 22:0018時間前

    血が噴き出す
    肉が弾け
    臓物がうねり
    骨が踊る
    結びつけられた濃く重い魔力と一緒に
    わたくしの血と肉と骨が
    わたくしの体だったものの中で魔法陣を創り出す
    まだわたくしの体の一部となっていないものたちが
    押され、潰され、外へと漏れる
    ……もうわたくしの体ではありませんが、やはり気持ちのいいものではありませんね
    何より勿体ないですし
    これもまた戦争の定めとはいえ、良心が痛みます
    ……それはそれとして……
    魔力
    領域
    浸食
    末端
    感触
    ……これだけ広げても熱湯の魔力を解かし分解する能力は大して落ちませんか……
    やはり分かるぬ様に繋げ、惑わす事は難しい様ですね
    他にも方法はありますが……何にせよこの熱湯を放置するのはよろしくない様です
    ある程度は魔力を食わせつつ、一気に処理してしまいましょう
    形も変わり、魂も乗っていませんが
    私の体だったものを構成する細胞は未だ領域から魔力を通し、生かしております
    魔法陣のベースとしてだけではなく
    発動後の贄としても使わないといけませんし大事にしたい所……
    ……なのですが、来ましたね
    領域に食い込む感触は【青】系スペルののもつもの
    しかし、同時に硬度と冷たさも……
    ……なるほど、わたくしの魔力を警戒しての事の様ですね
    確かにその意味合いもあります
    広く濃く展開したのは、自らの魂と肉体だったものを守りつつ
    熱湯に魔力をあえて与え、残りを【Death Cloud】で処理をする為……
    当然、肉体を守るという事の中に、カウンター系スペルへの解答も入っております
    カウンター系スペルの矢と槍が飛んできた方向へ領域を伸ばしつつ
    それらへ意識と魔力を集中させる
    領域で感じる矢と氷への感触が変わる
    表面だけでなく内部にも、ひび割れからその内側をなぞるように広がっていく
    ただ、矢と氷では浸食速度にかなりの差があって
    ……本命は氷にスペルを乗せている方ですね
    先程私を貫いた氷程ではないですが、スペルの持つ魔力だけで無く
    律子の魔力も溶かし込んでいる模様……
    わたくしの血肉に比べれば魔力の量は少ないですが
    到達するまでの速度と更にカウンター系スペルも宿しているとなると
    多少の影響は避けられない様ですね
    ……多少の影響で済むという事は律子も把握している筈……
    ならば狙いは別に
    しかしカウンター系スペルが飛んできた方向伸ばした領域の方にも何の感触も無く……
    ……どうやらこの熱湯の範囲は相当なもの
    律子の動きも気になりますが何よりも優先させるべきはこの熱湯の処理
    今のままでは伊織が逃げられたのかすら分からず……
    熱湯越しに僅かに聞こえる音からみさいるは落ちてきている様ですが……
    そうこうしてる間に青い矢と氷の槍がわたくしの体だったものへと到達する
    血肉で出来た魔法陣に触れた瞬間壊れる矢
    切っ先が僅かに体に刺さった所で止まる槍
    そのうち、の一本の槍が輝く
    正常な状態であるならば、体内の魔法陣に届いていなかったでしょうに
    上手く傷口に入り込まれましたね
    氷に溶け込んだ律子の魔力がわたくしの血肉に溶け込んだ魔力を壊す
    そこに放たれるカウンター系スペル
    ですが、いつもと出力が違う様で
    衝撃の様に一気に魔力の流れを止め、壊してくるかとおもいきや
    妨害する力の圧を感じられる程の時間がスペルに
    そのおかげでバイパス等を新たに創らずとも魔法陣に流れる魔力は止まらず
    描き続ける事も問題無く……
    影響がある内は放ちにくいですが、それでも出来ないとは全く違います
    ……この中途半端な対応……
    ……いよいよ律子の動きを警戒せねばなりませんね……
    今もそうですが、このまま遠距離戦が続く場合
    浮遊城の方へ赴き、色々と貰ってから去りましょうか
    伊織が無事逃げ切れていれば……の話ですが
    ……さて、それでは
    血肉で出来た魔法陣が完成する
    私の体だったもの
    臓腑を通し外界と繋がっていた部位、新たに出来た傷口
    そこから暗く光る緑の雲が噴き出す
    目鼻口から雲が噴き出す絵というのはなかなかにしゅーるですが
    贄とするために残しておいた血肉にも溶かす様になると……
    ……あまり考えるのは止めておきましょう。今も今ですから
    下手に肉体の原型を残しておくと、こういう時どう反応していいか分からな
    魔力
    反射的にわたくしは振り返って
    熱湯に溶け込む律子のものとは違う
    それがこちらに
    熱湯の向こうから
    熱湯を消し飛ばしなら
    なにかがわたくしの元へ

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  • 第一次偶像戦争 【394】 [秋月律子]

    2019-01-16 22:44

    空を断つ光
    動く
    迫り
    堕ちてくる
    こちらに
    わぁお!
    魂が
    意識が
    精神が
    魔力が
    血が
    一気に沸き立つ
    領域
    肉体
    内にある感情が伝播し、思わず強く流れそうになる魔力を止める
    いけない
    落ち着いて
    まだ
    まだ動いちゃダメ
    貴音に勘づかれちゃダメ
    ここは堪えなきゃ
    今は我慢しなきゃ
    折角感知妨害から丁寧に【抹消】を描いてるのに
     (律子さん!そっちに

    冬馬から
    途切れて
    冬馬の言ってたそっちにって
    多分あれよね

    光の帯が私の上に
    私の生み出した熱湯の柱に
    貴音を宿す黒と
    貴音の生み出した暗く光る汚れた緑に
    触れる
    爆発
    白が膨らむ
    遅れてくる音はミサイルのそれとは少し違っていた

    Death Cloud】が発する緑の光
    ビームの光で輝く蒸気の白の中でもその毒々しい色は漏れていて
    来るか
    来ないか
    精神侵入で怖いのは今も伸びる黒の方
    でも【Death Cloud】を通して精神につながってくる可能性があるから気を付けないと
    この手の様々な条件を強制するスペルはそういった小賢しい部分を入れる事は難しいけど
    貴音の事だから何かやってる可能性は十分にある
    だから正直、躱したい
    ただ問題はこの手のスペルが完全に発動するのは術者の命令が必要だということ
    結局、貴音の望む対象……十中八九私が巻き込まれる必要があるのよね。使わせるには
    もくもく膨らむ分にはそこまで魔力の消費は無いでしょうし
    放置してれば何とかなるという事は無い
    もうすぐ熱湯の柱から外へ出るから、そうしたら一気に膨らみそう
    対象を複数巻き込んでも呪いの強制力が落ちにくいスペルだから
    浮遊城まで広がられると思わぬ被害が出ちゃう
    だから十分に【Jokulhaups】の熱湯に晒した後
    Obliterate】を打ち込んで精神侵入してる場合じゃない状態にしてから触れてみましょうか
    私以外も巻き込む気なら【白】のマスディストラクション系スペルも添えましょ
    相手が貴音じゃなかったら【Mind Twist】も使えるのに
    今日学んだことを生かすにはもうちょっと貴音に弱ってもらわないといけないわね
    ……そうね、殺す寸前にちょっと試してみるぐらいがいいかしら?
    貴音の能力《MY FOOLISH HEART》は領域と密接に結びついているから
    領域破壊系のスペルの効果が高いのは分かるけど過信も出来ないわ
    生粋の【黒】使いって
    精神からくる苦痛とか不快感とかそういうのに対する耐性も高そうだし
    麗華に通じたからといって貴音に通じるかは微妙な所……
    ……かといって無意味ってわけでも無いか
    意外性を狙うなら混ぜるのも全然アリよね
    私の魔力だし【Obliterate】に焼き切られるよりも前に効果発揮するでしょ
    さっさと貴音の領域、魔力に侵入しちゃえばいいんだから
    投げっぱだからそこからこちらへ逆に入り込まれるって事も無いでしょうし
    【黒】
    変換し始めた時、空を走っていた白い光が消える
     (律子さん!ビームは俺の方で防ぎ
    おっ
    冬馬が動いた……様だけど、あっちもあっちで大変な様ね
    …………
    ……こっちもこっちで貴音の動きが妙
    Death Cloud】の広がりが遅い……
    さっきの光でダメージを負った……というのは微妙ね
    確かに無視は出来ない威力だったけれども、最初は熱湯が壁になったでしょうから
    気がつくのが多少遅くても対応は出来る
    ていうか、別段対応しなくても貴音は既に強い魔力を外に展開してる訳で
    本体までどれだけ届いたか……
    貴音の居る位置も熱湯の柱の天辺ではないし、その線はやはり無さそう
    それじゃあ……
    ……ひょっとして熱湯の外へ出す気は無い?
    ……あの毒々しい緑に輝く雲はスペルとして発現してる訳で
    単純に広げた領域よりも熱湯の魔力を溶かす効果に対して抵抗はある
    呪いの方は基本的には影響を与えられる状態になった者に
    自分の持つものを捨てさせる事を強制させるというもの
    領域破壊系に近い動作がメイン……
    ……いや、それだけじゃないわね。双方の命……魔力を持っていく効果もある
    そこは意識に働きかけて捨てさせるんじゃなくて
    強制的に肉体に宿る分も含めもっていった筈
    その効果だけならば、この熱湯の柱にも……
    ……それだけ嫌ってくれたって事かしら?楽観的かしらね
    ……【白】系のスペル……【Wrath of God】と
    【Armageddon】も描いておいた方がいいわね
    マスディストラクション系スペル繋がりだと
    冬馬の方も派手に動くみたいだけど性格的に私の方を巻き込む事は無いかな
    私は……
    ……巻き込む時は一言先にかけましょうか
    ……貴音の妙な動きの他にも、こちらに攻撃を加えてきた伊織も気になるし
    ミサイルだってそろそろ領土の方に着弾し始める頃
    中々面白くなってきたわね
    私の城はもう無いんだから、もっともっと派手にいきましょ
    私ももっともっと派手に動くわよ

  • 第一次偶像戦争 【393】 [水瀬伊織]

    2019-01-14 22:44

    やっぱり
    やっぱり怖い
    冬馬が
    冬馬の瞳が
    いつもと違う
    律子とも違う
    律子の様な狂気を帯びた妖艶な輝きじゃない
    冬馬のそれは暗く、それでいて澄んだ、重い瞳
    それを何故か綺麗だと、美しいと思ってしまって
    それが私に向けられている事に恐怖して
    なんでアンタもそっち側にいるのよ
    なにがアンタをそっち側にやったのよ
    ……認めない
    そちら側にいるアンタも、今の私の感情も全て認めない
    私は感情と思考を切り離し今の状況に集中する
    今も冬馬の瞳はどんどん光が消え、重くなっていって
    でも、こうやって接近する前、色々な事を起こし
    こちらから冬馬を揺さぶっていた間は、もっと違う空気を纏っていた様に思う
    それが正しいのであれば
    描き終わった魔法陣から青い矢が放たれる
    冬馬の領域に浮かぶ魔法陣に矢が次々と刺さっていく
    スペルを打ち消されても冬馬に変化は無い
    予め想定していたか覚悟の上か
    後ろの【Rout】にも一応カウンター系スペルを飛ばしたけれども打ち消すには届いてないから
    そこを疑問に思ってくれたら楽だったのに
    コイツまさか【青】使いとしての私をナメてたりするんじゃないでしょうね?
    やろうと思えば出来るのよ?アンタのそんな魔方陣を壊す事ぐらい
    今回はあえてやらなかっただけ
    後ろの【Rout】が無ければ殴り合いに持って行けるのは確か
    でもそれは必ずしも私を有利には働かせない
    今、私がやらなければならないのは揺さぶり
    あれを完全に壊してしまうと冬馬を縛るものが照射しているアスピドケロンしかなくなる
    威力を落とし、砲身の全損を覚悟の上で照射時間を伸ばしているけど、限界は近い
    さっき使った艦隊からのミサイルを上空で爆発させるという手法は
    こうやって接近戦に移行してしまった以上
    冬馬の意識を逸らせるまでの効果があるとは言いづらい
    【Fracturing Gust】が場に残っているうちは
    今の私と冬馬の戦闘に直接影響を与える範囲での爆破は不可能
    モリアーティも何か動きを見せれば
    即座に【Fracturing Gust】の風に巻き込まれて機能停止か破壊まで持っていかれる
    やっぱり私が直接動いて状況を単純化させない方向でいくしかない
    私はカウンター系スペルの魔法陣を描きながら領域の魔力を動かす
    呼び出す
    空間が揺れる
    光が集い、形を成していく
    それと
    状況
    今のデータ
    並行して確認して
    やっぱりアレで死ぬ訳は無いわよね
    よし!
    私はアスピドケロンをこちらに飛ばしている中継機のコントロールを貰い
    その斜角を変える
    僅かに、本当に僅かに、冬馬表情が動く。瞳に光が、纏う空気に感情が漏れる
     (ゲンブ!攻撃対象を貴音の居る熱湯の柱の上部から下にズラすわよ!
      あとで引き継ぎお願い!)
     (委細承知!)
    さっきは拳と踵の二発を打ち込んだのに気分は晴れなかった
    今回はまだ一撃も入れられてない。でも、何か妙に楽というか軽くなってるのよね。心が
    それは逃げる事をやめたからかしら?
    それとも、私の知ってるアンタが僅かにでも見られたから?
    まぁ、どっちでもいいわね
    どうでもいいとも言うわ
    そうよ
    どうでもいいこと
    このスーパー可愛くてウルトラ強い伊織ちゃんにとっては些末な問題
    だからさっさと次のフェーズに移りましょ
    私の周囲に満ちていた輝きは消え、冷たく重い金属が私を囲う様に延びる
     「それじゃ、また後でね。」
    ガトリングガンにキャノン砲
    レールガンも含まれた多数の銃口が一気に冬馬に向けられる
    でも、本命はその後ろ
    もっと単純な爆弾でもよかったけど、どれぐらい通用するかのデータも欲しいし
    艦隊のミサイルに搭載した弾頭をそのまんま呼び出しちゃったわ
    【Fracturing Gust】の白い風に当てられても全て問題は無い様だし、いけるわね
    一瞬、冬馬の瞳に走った光が消えて無くなる
    冬馬の領域が広がり、空間に一気に魔法陣が描かれ始める
    空間
    揺れ
    魔力
    流れ
    エクスカリバーにも、後ろの【Rout】にも
    テンプシコラーにかかる負荷が増大する
    まぁ、無傷って訳にもいかないわよね
    そこまでアンタを過小評価してないし、私も覚悟の上でアンタの前に立ってるし
    カウンター系スペルの青い矢が放たれ、呼び出した火器達が火を噴く
    嵐の様な銃弾の衝撃と榴弾の爆発
    冬馬に確実にダメージはある。
    それでもテンプシコラー越しに感じる重さは変わらない
    左手
    冬馬の
    そこに集中する空間の揺れと爆発とは違う輝き
    私は左手を自分の背中に伸ばす
    握るグリップ
    その後ろ
    ミサイルの弾頭
    それに私は起爆の命令を出す
    冬馬の【Rout】も描き終わってる
    あとはもう


    衝撃
    それを受けながら私はテンプシコラーを支える力の向きを変え
    背中に隠しておいたトゥワシュトラに魔力を流し
    エクスカリバーを持つ冬馬の手に斬りかかった