ユーザーブロマガは2021年10月7日(予定)をもちましてサービスを終了します

第一次偶像戦争 【78】 [キッカ]
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

第一次偶像戦争 【78】 [キッカ]

2017-03-28 22:22

     「まっ、こんぐらいでええやろ。」
    海。
    島。
    越えて。越えて。
    崖。
    大地。
    切り立って。
    何かのスイッチの様に、海の中にただ真っ直ぐあって。
    それでもそこには植物が生えていて、鳥が飛び、竜が居て。
     「……皆さん大丈夫でしょうか?」
    地面に降り立ったかぶの助が見上げてくる。
     「一番心配されてんのはかぶの助やろけどな。」
    言ってみたものの、本当に心配されてるかは微妙か。
    相対的には一位なんは間違いないやろけど
    コウメとショウコは目の前の事しか見えてなかったし
    ルテアとユメルにはウチが行くって知ってたから
    心配してるとするとミズキとトキコ辺り?
    カンナはなるようにしかならないって主義やから
    心配しているとすればミズキとトキコってのは間違ってはなさそうやな。
     「……すみません。勝手な行動をしてしまって。」
    下げた頭が戻ってこない。
     「さっきも言うたけど別に謝らんでええよ。
      一応北斗の眷属って扱いやけどウチら別に軍隊やないんやから
      勝手気ままに動いても何の問題もなし。
      ウチがかぶの助を追いかけたんもウチの勝手。
      まぁ、他ん所の連中はそうやないかもしれんから
      何が起こってもおかしないなんて言うたけど
      あの発言は殆どキヨミをちょっと小突きたかったってだけやからなぁ。」
    色々あるのは向こうも同じ。だからちょっとは情報が欲しかった。
    律子がガチで舞さんを倒そうとしていたから
    冬馬もそれに追従していて間違いない。
    それが冬馬の眷属の天使達まで徹底されているか
    徹底はされていなくても、キヨミ自身が判断して
    ウチとかぶの助をハメて来るような素振りを見せるのか、試したかった。
    舞さんが来る前の小競り合いは
    戦っているという事を周囲にアピールする事がメインだったから
    イマイチそこら辺が分からなかった。
    分からないまま舞さんが来て、その戦いにキラリが突然参加してきた。
    キラリの乱入は十中八九感情のままの行動やろうけど
    ウチの中の危機感は一気に跳ね上がった。
    万が一キラリの乱入も予め決められていたのなら……。
    無いやろなぁと思ってた側。眷属連中まで初日のこの戦いに勝つ為に
    命を捨てる覚悟と計画を持って戦ってるパターンがマジやった場合
    判断をミスったらウチらは勿論
    北斗も舞さん相手の戦いから逃げることを許されない状況に
    追い込まれる可能性は十分にあった。
    そしてその疑惑はキヨミと直接話すまで消えることは無かった。
    スッキリ追われたんやし、かぶの助の行動はむしろプラスに働いてる。
    他の面での今後の展開も面白そうやしな。ようやってくれたわ。
    ……でも、まだ顔は上げてくれんか。
     「……後悔はしてないんやろ?」
    スッとかぶの助の顔が上がる。真っ直ぐにウチを見つめてくる。
     「はい。」
    真っ直ぐで純粋な声。
    キヨミはこれで落とされて、これから先何人も同じように落とされていくんやろな。
     「それが一番大切な事やから
      やっぱりかぶの助は間違って無いわ。
      ……まぁ、後悔なんてどう足掻いてもついてくるもんやけど
      納得ぐらいはしたいわな。」
    アイツは納得してるやろな。
    ウチらをこんなに振り回して、投げっぱなしにした張本人さんは。
    後悔は……まぁ、後々?
     「あっ……あの……。」
     「ん?どしたー?」
    かぶの助は反射的に視線を逸らし、またすぐウチの方を向いて。
     「キッカさんがぼくの事をかぶの助って言うのが何か懐かしくて……
      ノースって最近はずっと言われてたから……。」
    そういやそうか。なんでやろ?
     「サシやから……ってんでもないな。
      何やろ?緊張感の有無とか?
      ウチも時々私なんて使ったりするし
      そこら辺めっちゃ適当なタイプなんかもしれんな。」
    そういや北斗もウチの事きっちょんやったりキッカちゃんやったりするな。
    真面目な状況で愛称は無いってなると何も言えんくなるけど
    言われる側からすればいつもと違うってのはやっぱり変か。
     「どっちがええ?かぶの助とノースの。」
    ニィと笑みを添えて。
     「えっ……あの……好きに呼んでくれたら……。」
    いつも通りのノースに戻ってきたな。
     「ほなまた暫くはノースでいこか。
      戦うのは先になりそうやしな。」
    プレインズウォーカー同士の戦いはまたすぐに起こりそうだけれど
    戦争を左右するというより私怨からくる戦いだろうから
    事態がどうこうってもんやないやろ。
    ……問題が起こるとしたらその後。
    私怨から来る戦いで疲弊した者を狩る動きが出てきた場合
    一気に戦いの渦が生まれ、ドミノ倒しの様に戦乱が起こるかもしれない。
    ……そんで割と美味しい位置にいてるのが北斗と小鳥さんの二人と。
    ……う~ん、でも舞さんの存在を考えるとな~……。
    ……舞さんを休ませないって方面から考えれば
    新たに舞さんが介入出来る戦いを用意するってのは間違いじゃ無いか……。
    ……でも既に今日はある程度満足しちゃってるだろうし
    舞さんの自由意志で参加が決定されるから弱いな。
    ……やっぱりどうにも、舞さんがどう動くかで流れが決まるな~。
    最初に落としておきたかった律子の気持ちがよーわかるわ。
     「……キッカさん。」
     「ん?」
    ノースの瞳にまたあの純粋な輝きが戻っていた。
     「その……ぼくに戦い方を教えてくれませんか?」
    純粋な瞳で、純粋な声で。
     「キヨミ相手に十分戦えてたやん。
      それじゃ足らんの?」
     「はい。」
    一言。言い切って。
     「……もっと強くなりたいんです。
      ……キッカさんは炎を介して相手に幻術にかけたり
      精神に入っていったりも出来ますよね。
      ……ぼくももっと毒を上手く使って立ち回れるようになりたいんです。」
    ほうほう。
    【青】と【黒】を重点的に伸ばしてるのは知ってたけど
    そっから更に幻術系へ絞るか。
    ……確かにウチの他にユメルも居てるし
    幻みたいな間接的なものから精神に直接働きかけるものまで
    スペシャリストは揃っとるな。
    ……師事できる存在がおったからそっち方面に進んだか
    それとも素地があってそこから興味まで枝が伸びたか。
    ……軽いもんでもあると無いとじゃ大違いやし、ここはいっちょやったるか。
     「よっしゃ!ほなやろか!」
    【Tome Of Lost Knowledge】は無いけど、まぁ何とかなるやろ。
     「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
    ノースは深々と頭を下げて。
     「よっし!ほな最初は家つくらんとな!」
    流れ的にはそのまま修行なんやろけど、生活基盤がなさ過ぎる。
    というか、ここに残るかどうかも決めてない。
     「わかりました!がんばります!」
    調子狂うわ~みたいな感じになるかと思ったら、相変わらずの真っ直ぐな反応。
    素直さに感心するけど、幻術使いとしてはどうなんやろ?
    ウチもユメルも捻くれてるからな~……。
    しゃーない、おいおい様子をみていこ。


    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。