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第一次偶像戦争 【126】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【126】 [東豪寺麗華]

2017-07-04 22:11

     「いいの?まだ出来そうだけど。」
    出来そうに見えて出来ないっていうのは、やっぱそういう事よね。
     「いいの。これ以上課題を積まれると
      取りかかる気力も失っちゃいそうだわ。」
    伊織は自嘲気味にそう言った。
     「課題っていうか、私対策?」
    図星なのか伊織は黙り込んで私を睨み付けてきた。
     「……アンタ本当に何なのよ。」
    何なのよと聞かれても。
     「それが知りたくて戦ってたぐらいだから
      この戦争が終わるぐらいには何か少しでも掴んでることを祈るわ。」
    領域に対して領域が反応し潰れたりするのは理解出来る。
    でも、スペルに対してここまで明確にバリアの様な働きをするとは思わなかった。
    領域干渉力が強い【黒】のスペルだからという線もあるでしょうけど
    飛んできていた銃弾は途中で落ちたし、確かに他者の魔力に対する明確な反発はある。
    そもそも領域同士が干渉するのは展開した魔力が互いに繋がっているから。
    けれども、その繋がりは完全な密ではなく、網……いや目の粗いスポンジね。
    とにかく穴だらけだから、通常のスペルは何もしなければ貫通してしまう。
    この繋がりに最も強く作用するのが【黒】系のスペル。
    領域破壊は繋がりごと壊し、精神侵入は繋がりを辿り意思や精神、魂に干渉する。
    他にも伊織のアーティファクトから打ち出された銃弾の様に
    物質に魔力を乗せた攻撃は
    領域を密にして防御態勢を取られた場合でも最小限の影響で済む。
    筈。
    筈だった。
    ……やっぱり私の領域は妙よね。
    スポンジの空いた空間を埋めるというか
    領域に斥力でも発生しているのかしら?他者の魔力を弾く。
     「アンタの実験に付き合わされた訳ね。私は。」
     「伊織が相手の時ぐらいしか出来ないでしょ。こんなこと。」
    伊織の表情が少し綻んだ様に見えた。
    悲観に暮れてた訳じゃ無いだろうけど、負けを認めた事のダメージは大きそうね。
     「【黒】で戦ってくれたのは正直助かったわ。
      舞さんを想定して動けるって中々無いから。」
     「私としては大きなミスよ。
      別の色ならもっと戦えてた気がするわ。」
    途中で変える事は出来なかった?
    それとも出来たけど却下した?
    ……ここら辺は伊織の生命線に関わる部分でもあるし
    教えてはくれないでしょうね。
     「確かに【緑】を選ばれてたら多分負けてたでしょうね。」
    色々試せないという意味で。
     「【緑】で強化しての殴り合いねぇ……。
      マシナリーベースだと再生が意味を成さないから
      あまり使わない色なのよね。」
     「完全な復元より効率が良いってだけだから
      毛嫌いせず使ってみるのもいいんじゃない?
      形は違えど伊織も【五色】使いなんだから
      どの色の戦い方も出来た方が動きやすいわよ。」
    【緑】でのガン押しか……強化の度合いにもよるけれど
    確かにヒットアンドアウェイをやられたら厳しかったかな?
    私の【黒】じゃ近距離じゃないと伊織を捕らえられないでしょうし
    肉体と違ってマシナリーの体なら
    全身の細胞を支配下に置くために脳その他臓器が必要な上に
    そこから更に魔力を通わすために魂のとも強い繋がりが~みたいな
    枷とも取れる要素が無いから、相対的に見ると【黒】への耐性は高いわよね。
    捨てる捨てないをすぐに実行、完了出来るのは強いわ。
    捨てた体に残った魔力も事前に魔法陣を刻印しておいたり
    アーティファクトに近い動きをする機構を組み込んでおけば
    無駄が無いどころか戦いに組み込めるレベル。
    【黒】以外の色も、魔力が通う金属の体なんだから生身よりもずっと強い。
    ……でも伊織以外はやりにくいのよね。
    肉体も肉体でメリットはあるし、何より魔力や魂の性質とか。
    私が頑張ってもせいぜい美希みたく
    視覚や聴覚を介さずに直接的なデータのやり取りが出来る用になるぐらいでしょうね。
     「考えておくわ。
      ……聞きたい事はあるけどこれ以上は無理ね。」
    これ以上は秘密。だって私達は敵同士だから。
     「私の強さ、納得してくれた?」
    添える笑み。
     「……勝者が言うとホント嫌味ね。」
     「伊織は本来の戦い方じゃないでしょ。
      私は勝ったというか、勝ちを譲って貰った気分よ。」
     「お互い様よ。麗華だって能力を封じられてる状態だったじゃない。」
     「伊織相手だと使う方が難しいわ。
      そもそも私の能力が使える状況で戦う気は無いでしょ。」
    超長距離から攻撃できるんですもの。
    トドメを刺すのに伊織自身が出てこないといけない場面は
    私の戦力を落とせるだけ落として、削れるだけ削って、その後。
     「……そうね。
      でも、私と麗華がこの戦争で最後に残ったふたりになったのなら
      今日と同じ様に正面からサシで戦うわ。
      ……次はどちらかが死ぬまでだけど。」
    絡む視線。
    瞳。
    そこに宿る不敵で自信に溢れた光。
     「いいわ。そうなった時はまたここで会いましょ。」
    負ける気はないけれど、あり得ないと思う。
    それでも、約束をするぐらいはいいでしょ。
    ……いいよね。伊織。……涼君。

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