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第一次偶像戦争 【127】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【127】 [水瀬伊織]

2017-07-06 22:22

    蠢いていたスペル達が消え、土煙も落ち着いた戦場は、僅かに日が高くなっていた。
    眷属達の元へ戻る麗華を追って、私も大地から離れる。
    律子は私の知らない何らかの力。
    麗華は私には想像すら出来なかった魔力の性質。
    先に情報収集を優先させたのはやっぱり正しかった。
    ただ、情報収集と並行して私自身ももっと柔軟に動けるようにしないとダメね。
    今回は完全に身内戦だから、いつもの戦いよりも意地や感情が先に来ちゃうわ。
    そこら辺を含め、麗華との戦いの収穫は大きいわね。
    …………
    ……実際に戦ってみても未だ底が見えない麗華の力。強さ。
    一緒に戦えている内は頼もしいんでしょうけど
    いつその力が私に向けられるかはわからない。
    そこを安定させる為にも、涼の行方を掴む事は急務ね。
    涼の態度や行動次第で麗華が一気に敵になる可能性があるから
    変な動きをされる前にコンタクトを取っておきたいわ。
    戦闘に関してはさっきも思ったけれど変に固執するよりも柔軟な対応を心がけましょ。
    今回の負けから得られるものも大きいけれど
    今回負けたからって振り回されるのはよくないわね。
    【黒】を使って負けたのは相手が麗華だったからっていうのが大きいし。
    …………
    ……いや、そこも見直した方が良いわね。
    考え方自体は間違ってないけれど、現実に照らし合わせた場合、正しくも無いわ。
    問題は【黒】そのものじゃなくて
    ほぼ全員が何かしら対応を考えている相手が【黒】を使ってくるという部分。
    麗華も「舞さんを想定出来た。」って言ってたしね。
    正直、攻撃に転じられるような対応策は無いと踏んでたけど
    律子や麗華は持ってた訳だし、他も無いとは言い切れない。
    そういう意味では【黒】を使うリスクは高いわね。
    【色】の切り替えの情報は出来るだけ渡したくないし
    当面は【緑】も含めバランスよくいきましょ。
     (ゲンブ。ミヤコからのデータはそっちで受け取った?)
     (問題無く回収できてます。)
     (わかった。じゃあ引き続き監視お願い。
      ミヤコも一度上がって舞さんに張り付いて。)
     (了解ですッ!)
    詳細な分析は麗華と響の戦いが終わった後ね。
     「響が起きるまでまだ時間があるわね。」
    私は少し飛ぶ速度を上げ、ゆっくりと飛ぶ麗華の隣へつけた。
     「もうちょっとやってもよかったかもしれないわね。
      別に魔力をフルまで回復させる必要も無いし。」
     「……舐めてる訳じゃ無いとは思うけど
      そんなに麗華の中で響って格下なの?」
    もの凄く強いというイメージは響にはないけれど
    逆に弱いとも思えない。初期組の一人だし。
     「単純な強さで考えても勝てるし、読みやすいから尚更って所ね。
      あのバカは前の戦いから何も成長してないと思っていいわよ。」
    戦争の準備期間に言われたのなら本当かどうか疑わしい言葉だけれども
    麗華は既に響を一度倒して帰ってきてる訳だから、私の想像なんかよりも説得力がある。
     「流石にあの時よりはレベルは上がってるでしょ。」
    疑ってるんじゃなくて一応、確認のために。
     「それは全員同じでしょ。だからそれ以上がいるんじゃない。
      でもあのバカはそこを分かってないの。
      何も、全く、理解してないの。」
    あぁ……確かに自分が成長したんだから勝てるって本気で思うタイプよね。
    相手の事を考えないというか……。
     「データを期待されても何も無いと思うわ。
      精々今の響の強さが分かるぐらいかしら?
      伊織に見せた力は響相手に使うつもりはないし。」
     「響の炎にも効果があるか知りたくないの?」
     「知りたくなった時は伊織に頼むわ。
      舞さんクラスの瞬発火力は伊織じゃないと無理でしょ。」
    信頼されてるのか便利屋扱いなのか。判断に困るわね。
     「でもまぁ、こういうのは最初で最後でしょうね。」
    隣を覗くと、麗華は前を向いたままでいて。
     「……そうね。
      ……もう戦争が終わるまで止まらないのよね。」
     「全員殺すまでじゃないんだ。」
    麗華は横目で私を見て。
     「……アンタ涼に近くなってない?」
     「涼君ならそう言うかなって思った。」
    また麗華は前を向いて。
    麗華。その言葉を涼が口にした時、アンタはどうするの?
    アンタは涼にどうして欲しいの?
    アンタは涼にどうなって欲しいの?
    崖。近づいてきて。
    結局、私達はそれ以上言葉を交わすこと無く地に足をつけた。
     「お二人ともお疲れ様でした!」
    かけられる声。
     「ありがと。勝ってきたわよ。」
    笑いながら眷属達の元へ向かう麗華。
    さっきほんの少しだけ麗華の表情に見えた物悲しさは、もう消えて無くなっていた。

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