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第一次偶像戦争 【131】 [響 梓]
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第一次偶像戦争 【131】 [響 梓]

2017-07-14 22:22

     【我那覇響】

    揺れ。
    揺れてる。
    動いてる。
    ゆっくりと、上下に。呼吸の様に。
    ……なんで?
    ……あれ?
    自分何して……
    魔力
    感覚
    記憶
    意識
    横から縦へ、文字通り飛び起きて。
     「麗華!どこだ!」
    周り!いない!
    どこいったあの女!
     「おはようございます~。」
    声。
     「コハル!無事だったか!」
    よかった。本当に……。
     「コハル!あの馬鹿女どこいった!」
    コハルが生きてたのなら!
    自分も無事だしコハルがどうにかして助けてくれたんだな!
    空も飛んでないし、きっとどこか別の場所へ。
     「麗華さんの事ですよね~。」
    コハルはいつものゆっくりとした口調で。
     「『さん』なんてつけるな!襲ってきた相手だぞ!
      それもいきなり!卑怯者だ卑怯者!」
    卑怯者という言葉が口から出たせいで余計に腹が立ってきた。
     「コハルは襲われてないので『さん』をつけますね~。
      えっと、麗華さんは4時間ぐらい前に向こうへ帰って行きました~。」
    は?襲われてない?
     「麗華はコハルを襲ってないのか?」
    どうして?
     「されてませんよ~。響さんが倒れた後、少しお話ししただけです~。」
     「なんで襲ってきた相手と話なんてしてるんだ!
      殺されるかもしれなかったんだぞ!」
    自分を攻撃した後だから、上手く口車に乗せて
    また不意をつくチャンスを作り出す作戦だったかもしれないのに!
     「麗華さんにその意思が感じられませんでしたし
      コハルが戦って勝てる相手とも思えなかったので~。」
     「何で他人事みたいに話せるんだ!?自分は殺されかけたんだぞ!」
    危機感がなさ過ぎる!もう戦争は始まったんだぞ!
     「響さんが退場になってないのは分かってましたから~。」
    それは先に自分を落としておいてその後
     「それで、響さんは麗華さんを追うんですか?」
    ヒョウの背の上で、コハルは下から覗き込むようにそう問うてきた。
     「当たり前だ!自分は麗華を絶対に許さないぞ!」
    不意をついてくるような卑怯者をのさばらせちゃいけないし!
     「……多分、負けると思いますよ~。」
    はじめて少し言葉を詰まらせるコハル。
     「自分が?麗華に負ける?」
    …………
    ……これコハルも何かやられてないか?
     「……コハル。落ち着いて自分の言葉を聞いて
      それからゆっくり思い出すんだぞ。
      ……本当に麗華は何もやってないか?」
     「えっ?」
     「多分記憶か認識か何かに干渉されてると思うぞ。
      麗華の奴やっぱりコハルにまで……。」
    ……許せない……自分も何かやられてるかもしれない。
    ……そうだ、殺さなかったって事は後で何か利用を……。
     「さっきコハルが教えてくれた方向も本当か分からないし……。」
     「あの~響さん~。」
     「……とりあえず予定通り麗華の拠点へ向かうぞ!
      自分が周りの警戒をしておくから
      コハルは精神操作されてないか確認しておいて!」
    太陽が昇ってるから予定よりも大分遅れてる。
     「じゃあ出発!」
     「……わかりました~……。」
    ヒョウが動く。大きく羽ばたいて空へと出る。
    光。太陽の。
    ……光?
    ……そういや、麗華が来る前に何か光ってたけど……。
    ……まぁいいや。麗華を殺さないことには自分の戦争は始まらないし
    何が起こったとかその後考えればいいでしょ。




     【三浦梓】

     「お帰り。ちょっと遅かったね。」
    シュウコはヘッドフォンを外し、細く白い首に引っかけた。
     「ごめんごめん。
      連絡いれたかったけど、ちょっとやりにくい感じだったんだよね。
      目の前に宝の山があるかもって状況だったし
      帰るに帰れなくて。」
    頭を下げて、申し訳なさを演出して。
     「借りな。」
    満面の笑み。
     「……はい。」
    これはまぁ……仕方が無いな。
     「ええ返事やな。
      で、お宝の方は?」
     「……持ち帰れたのはなけなしの情報だけです……。」
     「そんな事やろうと思ったわ。」
    俺の徒労を笑うシュウコ。
    こんなんでも楽しんでくれてるのならまぁプラスか。
     「響ちゃんの方はちょっと移動してるわ。
      ヒョウ君の分身達も今は地面の上。」
     「そこまで動いてはないんだ。」
    捕縛はされてない。けれども大きく動いても無い。
    ……響ちゃんの性格からして意識があるなら動く筈。
    コハルちゃんもいつ響ちゃんが起きるか分かってないのか?
    ……もう日も昇ってる。
    麗華ちゃんが響ちゃんを襲ってから4時間以上経った。
    ……う~ん、響ちゃんの監視は俺が引き継いで
    シュウコとミッちゃんには麗華ちゃんの方へ行って貰った方がいいかな。
    ……というか、ミッちゃんがヤバいよな。
    風呂敷の上に積まれた空のバスケット。その隣で寝るミッちゃん。
    まだパンは残ってはいる様だけれども、今日一日が限界。
    ……死体の一つでも回収出来てればなぁ……
    コウメちゃんが仕事をしたって事か。
    北斗の植物も綺麗に焼かれてたし、対策されてるっぽいんだよな。
    音。
    沢山の重なった。風を切る翼の音。
     「運があるんか無いんか分からんなぁ。」
    またシュウコはにんまりと笑って。
     「……仰る通りで。」
    俺は急いでミッちゃんの側へ駆け寄り、その体を揺り動かした。

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