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第一次偶像戦争 【202】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【202】 [水瀬伊織]

2017-12-16 22:11

    視覚に映し出される情報と、聴覚で感じるアコギの音と歌声。
    カンナが私の所へ来てから何があっても
    カンナは変わらず、歌っているだけだった。
    ここまで反応が薄いと、わざわざ艦橋に情報を出すのが無駄な労力に思えてくるわね。
    一応、見てはいるようだし
    反応が無いからって出すのを止めるようなケチくさい事はしないけど。
    ……北斗達の情報でもあれば、何か反応するかしら?
    ……無さそうな感じもするわね。
    いつもと同じように歌って、ニンマリと笑って、また歌ってで終わりそうだわ。
    歌う曲目とか声色で、情報を得て感じたものを表現してる様でもないし……。
    ……気にはなるけど、また今度ね。
    今はこれからの事。それこそ今日これからやるべき事を考えましょ。
    ……ここ数日の戦闘に、舞さんの火球、そして今現在の律子達の動き……。
    状況的には、やっと戦争らしくなってきたって所かしら。
    ただ、未だに脱落者は出ていないし、あくまで様子見の範疇ではありそうね。
    最後まで生き残って初めて勝者なんだし、消耗戦に突入するのは早すぎるわ。
    私からすれば、大きく動かない、動けない状況っていうのは助かってる訳だけど
    そろそろ狙われ始めてもおかしくないのよね……。
    ……麗華と組んでることをもう少し大っぴらにした方がいいかしら?
    響と麗華の戦いに誰か介入してきてくれたら宣伝になるんだけど
    多分、最初の一ヶ月は放置に近いわよね。
    ……いやでも、響がずっと生き残ってるっていうのは……
    …………
    ……確かに疑問符はつくけれど、わざわざ見に来るには弱いわね。
    麗華と戦ってる時は大分アレだけど、響も弱くはないわけだし。
    ……まぁ、あの二人は恋敵なんだから、二人にしか分からない所はあるわよね。
    ……その点は、組んでる私としても怖い部分……。
    麗華が約束を破るとは思えないけれども、何かあった場合……
    ……響の失言……は、まだギリギリ大丈夫かしら。
    ……そうね。そこは大丈夫そう。
    そもそも今の麗華の状態からして、響の相手をしてあげているっていう感じだから
    感情に触れる様な事があっても、響を見捨てればいいだけなのよね。
    ……そういう方面から分断を狙ってくる事が無いのは助かるわ。
    響は意図的にそういう事をするタイプじゃ無いけれど
    誰かと組んだ場合、狙ってくる可能性はあったのよね。
    ……だから問題は、涼本人が出てきたパターン……。
    涼本人が出てきてしまった場合は……。
    ……難しいでしょうね。
    この戦争が全て、この戦争に勝たなければ終わるなんて誰も考えていないでしょうけど
    麗華と響にとって、涼はそういう存在。
    私との約束を優先しろって方がそもそも無理なのよね。
    …………
    ……涼か……。
    ……舞さんが動いて、そして消えた。
    ……やっぱり涼の所へ向かった可能性は高いわよね。
    戦い以外で日高舞を動かす存在なんて
    この戦争に参加してるメンバーだと限られる訳だし。
    …………
    私は火球の直後から今現在に至るまでの情報に改めてフォーカスを当てて。
    火球の強さ。方向。
    律子達の動き。浮遊城の位置。
    …………
    無いわよね。律子に逢いに言ってる線は。浮遊城が動いた時にも考えたけど。
    秘密裏に接触をするだけなら、先の火球の意味が分からなくなるし。
    …………
    ……あの火球……
    ……船の被害はすぐにカバー出来るけど、こういう所で悩ませてくれるわね……。
    ……メッセージだとしても、確実に伝わったとなるのは私だけでしょうから
    遠くから覗いてきてる私への警告か、気まぐれな嫌がらせ程度にとっておきましょ。
    もうそれでいいわ。それでおしまい。
    万が一、舞さんと戦う事になったのなら
    麗華を除く全員の拠点に、今ある全部の兵器を打ち込んでぐちゃぐちゃにしてあげる。
    ここで日高舞を落としておかないと終わるっていう状況に追い込めば
    否が応でも出てきてくるでしょ?
    死なば諸共じゃなくて、生き残る為に、勝利の目を潰さないために
    全員付き合ってもらうわよ。
    …………
    ……そう、舞さんはそれでいい。
    ……問題はやっぱり涼。
    舞さんが刺激をしてなければいいけれど、そこも難しいわよね。
    涼に届く前に全部サチコが止めたとしても
    サチコはサチコで、強さも、どう動いてくるかも分からないから、如何ともし難いわ。
    …………
    ……サチコと舞さんが戦った場合、涼は出てくるのかしら?
    出てこないのなら、麗華と響も動かないだろうし……。
    ……そもそも、サチコと舞さんが戦い始めた場合、麗華に伝えるべき?
    ……伝えない……のは後々しこりが出来るわよね。
    けど、そこで万が一麗華が落ちる様な事になれば……。
    ………
    ……仕方ないか……。それが麗華の判断なら……。
    ……それでも、今は麗華を失うわけにはいかない。
    完全に私の都合だけど、麗華に死んで貰っちゃ困るのよ。
    だから、麗華が動くのであれば私も動く。腹をくくる。
    ……よし。
     (ゲンブ、マツリ、今から地上に降りるわ。)
    今後の対応を含め、麗華と会って話しておくべきよね。
    舞さんだけじゃなく律子も動いてるし、何が起こってもおかしくはないわ。
     (委細承知!)
     (了解しました!)
    二人の返事を聞いた後、麗華の方にも合図を送る。そして……。
     「カンナ。麗華の所に行くけどついてくる?」
    私の声に、バッと止まるアコギの音。
     「お!それじゃついて行っちゃおうかな!」
     「私はRecallで飛ぶけど、アンタはどうするの?
      必要なら座標か、先飛んでポータル開くわよ。」
     「う~ん……アタシはこのまま外に出て、星に落ちちゃう感じでいいかな。」
    カンナは立ち上がるとアコギを背負って。
     「分かったわ。それじゃ後で合流しましょ。
      ……場所は分かるわよね。」
     「分かる分かる。あ~、でも合流場所はお城で良いの?」
     「そうね。麗華に話をつけておくわ。」
     「お願い~。それじゃ、後で!」
     「ゆっくり空の旅を楽しんできなさい。」
    私とカンナは同時に魔力を展開し、そして同時に空間が揺れた。
    匂い。
    温度。
    体の重さ。
    様々な情報が一気に変化する。
    軽く息を吐いた後、私はコックピットを降りる準備をして。
    全身で感じる、体の位置が動く感触。
    開くコックピットの隙間から、地面の反射光が差し込んできた。

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