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第一次偶像戦争 【260】 [秋月律子]
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第一次偶像戦争 【260】 [秋月律子]

2018-04-18 22:00

    マキノも来て、ルミさんも相変わらず。
    一応、見かけは上手く回ってる。お酒も進んでるようだし。
    …………
    ……
    だめだ、疑い始めたらキリが無い。
    それよりも出てきた、確定した事の方にリソースを使うのが確実ね。
    思考を誘導されてるとも言えるけれど。
    ……しかし、ここで再び貴音の名前が出てきた……いや、出してきた……。
    そして、会えてはいないと言っていた。
    ……言ったことを鵜呑みにはできないけれども
    貴音の性格……というか、なんというか……。
    ……始まる前から貴音は誰とも組まないだろうと思っていた。
    始まった今は、やはり誰とも組んでいないし、最後まで組まないだろうと
    確信めいたものまで得てる状態になってる。
    例え響だろうと、美希だろうと、元の世界の繋がりは今の貴音には関係無い。
    貴音はプレインズウォーカーになった事を幸運だと思っている者の一人。
    出来る事が増えた。
    永遠に近い時間を得た。
    貴音が手に入れた物はそれだけじゃない。
    手に入れたというか、鎖や枷のようなものが外れたと言った方が正解かしら。
    元の世界、アイドルとしての貴音は変わらないけれども
    元の世界から外れた時、同時に貴音は自身を縛るものから解放されている様に見える。
    だからか、貴音は自由で、自分の意思のみで行動したがって。
    孤独とも、孤高とも違う。気ままで、我が儘な自由。
    誰にも束縛されず、好き勝手に他者を動かす王や姫ではなく
    何もかもが自分一人で出来て、自分一人の意思で全てを動かせる、神のような自由。
    ミカちゃんとリカちゃんがついてきたのは、本人達がそうしたかっただけなんだろう。
    ……貴音はコントロール出来ない怪物。
    ただ、上手く誘導できれば、利を拾えるかもしれない。
    ……そこまで向こうは不利でも無いし、やけっぱちになってもいないか……。
    ……まぁ、貴音が本気で暴れるのなら、まず真っ先に彩音を落とすでしょうしね。
    あえて再び名前を出して、私の方にも対策だからと念押ししてきたのは
    僅かばかりの組んでるという可能性を潰してきたって事かしらね。
    ……いや、一度追加の条件をのんだんだから
    次の条件もとハードルを下げるために、わざわざ言ってきたのかもしれない。
    ……それだとマズいわね。
     「他に追加の条件は?」
    先手。
     「今のところは無しかな。」
     「食事が終わったら始めるのよね。」
     「俺はそのつもりだったけど、彩音ちゃんはどう?
      少し時間欲しい?シャワー浴びるとか。」
     「そういうのって、誰かが来る前に終わらせるものジャないデス?」
     「そりゃそうだわ。」
    テーブルの向こうの二人は、緊張感があるのか無いのか。
    でも、油断だけは出来ない。
    律君は笑いながら人を刺せるタイプだし
    彩音も直情的に見えて、スイッチが入ってしまえば、かなりの演技派。
    もう既に戦闘に入ってると見ていい。
     「律子さん、ピザ食べます?」
    隣。
    声の主を見ると、楽しそうに私に微笑んでいて。
     「頂くわ。今日のオススメは?」
     「そうっすね!
      アッチューガとかペスカトーレみたな魚介系とかどうでしょう!
      あと、燻製にした肉を乗せたカプリチョーザなんかもあります!」
    嬉しそうに、大皿に並ぶ自分の料理を説明する冬馬。
    ここが敵地である事を忘れてる気もするけれど
    変に気を張り続けるよりも、今はリラックスしてくれていた方が助かるわね。
     「全部頂くわ。」
     「了解っす!」
    冬馬は小皿を手に取り、目の前のピザをその上に乗せる。
     「これがペスカトーレっす。」
    手渡されるピザの上には、イカに蛸にエビに貝に
    様々な具がバランス良く並べられていて。
     「ありがとう。美味しそうね。」
     「いえいえ。他のも今取りますね。」
    そう言うと、冬馬は少し離れた場所に声をかける。
    ……今も結構な人数だと思うけど
    ひと月と少し前はこの数倍の人数で毎晩飲んでたのよね。
    懐かしいとはまだ言えない。でも、あと二ヶ月近くあるから、終わる頃には。
    ……その日までに生き残ってたとして、私はどれだけ強くなってるのかしら?
    そもそも、初日の、最初の戦いを経て、私は強くなってる?
    実感が無い私の目の前に、お皿に載ったピザが届けられる。
     「どうぞ!」
     「ありがとう。頂くわね。」
    私は手を伸ばし、ピザを持ち上げ
    ゆっくりと滴り落ちようとするチーズに注意しながら口へと運ぶ。
    トマトの酸味に魚介類の旨味、塩気。
    それを口いっぱいに堪能した後、ワイングラスに手を伸ばす。
    口の中を洗う白のワイン。
    重く濃いものに、重く濃いものが重なり
    飲み込んだ後、香りと共に解放された様な感覚に陥る。
    ビールもいいけど、ワインもいいわね。ジン辺りもいきたいけど、今は我慢我慢。
    ……そういや、練習が終わった後どうするんだろ?


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