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第一次偶像戦争 【261】 [秋月律子]
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第一次偶像戦争 【261】 [秋月律子]

2018-04-20 22:55

    テーブルの上にあった料理も、もう殆ど残っていない。
    みんなよく食べて、よく飲んだ。クラリスはまだ食べ足りなさそうだけれども。
    ……さて、言うべきか、言わざるべきか。
     「何か気になる事があったり?」
    向かいのテーブルから射られる矢。
    バレたか。じゃあ、正直に行こう。
     「終わった後の事を全く話してないなって思って。
      そこから色々と想像してた感じね。」
    ジッと私は向かいのテーブルに視線を送って。
     「あぁ、そういう事。」
     「えっ?終わった後も何かやるんデス?」
    納得する律君と、逆にキョトンとする彩音。
     「約束は戦闘の練習までだから
      終わった瞬間、契約が切れる事を懸念してるんじゃないかな。」
     「あァ、そうイウことですカ。」
     「そういう事だから、終わった後の事もハッキリさせておきたいの。」
    これ、絶対彩音も分かってたわよね。なんか腹立つな。
     「じゃあ、日が落ちるまでは練習以外の戦闘は行わないでいいかな?」
    日が落ちるまで……。
    ……予想よりすごく具体的な回答が来たわね。
    ……ていうか、これ私の方が寝ぼけてたわ。
     「それでいいわ。」
     「よかった。
      ……そろそろ片付けも視野に入れた方がいいかな。」
     「その前に食後の飲み物の準備しマスね。」
     「あっ、私はいいわ。来た時頂いたし。」
     「俺も。」
     「分カリました。」
    席を立つ彩音と、それを追いかける数名。
    ……しかし、ホント寝ぼけてたわね。
    終わったら完全に飲みに入ると、何故か決めつけていた所がある。
    プレインズウォーカーになってから、ほぼ毎日
    仕事や冒険が終わった後は、浴びるように飲んでたせいかしら?
    ……今の状況があまりにも、北斗の家での飲みに似てたから?
    いずれにせよ、目の前の事しか見えてなかったわね。
    終わったら帰って寝る。それが普通で、今日もそうすべき。
    とっとと浮遊城に戻り、私の拠点に帰る。拠点の放置だけでもマズいのに……。
    …………
    ……
    ……この場から離れるのが嫌っていうのも考えられるか……。
    ……確かに、今この場には4人プレインズウォーカーが居て
    舞さんが来たとしても、即座にやられる様な事は無い……と思う。
    ……今の私の実力じゃ、自分の領土に戻るよりも、この場に留まる方が安全?
    私はそんなに舞さんを恐れてる?
    …………
    ……恐怖してる訳じゃ無い。絶望ともまた違う……。
    ……ただ、強く残ったのは敗北感。負けたという事実。
    それが重くのし掛かってきてる。
    ……もう二度と負けられなくて……。
    ……もう二度と負けたくなくて……。
    次負けてしまったら……。
    ……多分、舞さん本人よりもその部分を恐れてる。
    じゃあ、目の前の二人には負けても?
    ……不意を突かれた、約束を反故にされた。今この状況だと言い訳は出来るわね。
    ろくに最近の情報も無いのに
    真っ向なら勝てると思ってる時点で、二人をナメてるんだけど。
    あと……個人的に舞さんみたいな、どうしても許せないという部分も無い。
    私は……舞さんだけは……日高舞にだけは……。
    …………
    ……今は二人でも勝てない。
    それを、あと二ヶ月で二人で勝てるようにして
    いつか、必ず、私独りで……。
     「コーヒーと紅茶、どちらがいいッスか?」
    奥からの問いに、テーブルの周りが騒がしくなる。
    私はグラスに残っていたワインを飲み干し、ゆっくりと息を吐く。
     「なんつーか、懐かしかったっすね。」
    冬馬の声。落ち着いていて。
     「……そうね。」
    練習と称してここに来られるのも何回ぐらいかしら?
    私としては、中一日二日ぐらいのペースで実践的な戦闘をしておきたいし
    帰りに麗華の所に寄って、次の練習の話をつけておきたいわね。
    ……涼の件は……。
    ……こっちから聞く必要は無いわね。恐らく伊織と組んでるでしょうし……。
    ……聞いてきた場合は、伊織も涼を捕らえていないか
    もしくは、全ての情報をやり取りするような関係では無いか……。
    ……まぁ、今の段階で身内を売る様な事はしないでしょうから
    そこに付け入るみたいな事は無理でしょうね。
    ……そもそも麗華は、涼の居場所が分かった所で……。
    ……とりあえず、麗華の件は本人に会ってからね。
    ……何より必要なのは力。
    まずはそれを手に入れないと。


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