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第一次偶像戦争 【316】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【316】 [東豪寺麗華]

2018-08-10 21:12


    空になるボトル。
    アイスペールを覗き込めば、まだ削り取られた面を綺麗に残している氷達。
    良いお酒だから無くなるのも早かったわね。
    勿体なかった様にも思うけれど、無駄に長く話したら他の所……
    ……具体的には伊織の話題に触れないといけなくなりそうだから
    早めに切り上げられそうなのは助かった。
    ……外に出ていないと言ったけれども
    私は自ら攻めずに、こちらを攻めてきた相手を叩き潰すだけだとも伝えているし
    他所の話を聞かないことが不自然かは微妙なラインね。
    嘘を掴まされる可能性だってあるんだから。
    ……ただ、私と伊織の交友まで考えると
    聞かないことはどちらかというと不自然寄りかな?
    ……まぁ、単純な親友っていう間柄でも無いし、頭からおかしいとは思われないでしょ。
    ていうか、準備期間中の訪問含め
    律子の方から聞いてこないのはやっぱり疑ってるって事かしら?
    真偽を確かめる手段もないのに情報を仕入れても仕方ないし
    下手に探りを入れて関係を悪くするのもよくないから、避けてる可能性もあるか……。
    ……逆にそういう面では伊織からの情報がある分
    真偽を確かめやすい私の方が有利なのよね。
    まぁ、伊織が正しい情報をくれるかは分からないから
    比較できるチャンスがある分マシ程度。得た情報を鵜呑みにしないよう気をつけましょ。
     「あらかたルールの確認も出来たし
      あとは日程だけかしら?」
     「詳しい所は詰めなくても大丈夫?」
     「ルールに適応されないからって好き勝手やるのなら
      それ相応の対処をするでいいでしょ。双方とも。
      突き詰めていくともう禁止行為を纏めたブラックリストじゃなくて
      許される方を定義したホワイトリストの方での対処になっちゃうんだけど。」
    ホワイトリストの方でも、あやふやな部分は残るから
    結局、細かく定義したり個別にピックアップするしかないんだけど。
     「分かったわ。麗華がいいのならこちらからは何も無し。」
     「ちなみに、律君とサイネリアの所はどうだったの?」
     「ほぼ一緒ね。
      あっちは海の上だったから波の影響とか考慮して
      範囲スペルの制限が少しキツかったぐらいかしら。」
     「数一緒だし、2対2でやったの?」
    伊織経由で知ってるから、確認と引っかけ。
    空のカップとお皿を前に、冬馬が少し目線を下げたのが分かった。
     「いえ、1対1を2回ね。」
    伊織の情報と一緒。
     「結果聞いてもいい?」
    少しの笑み。結果に関しては、律子の方は確定じゃ無いって言ってたのよね。
    まぁ練習なんだし、勝ち負けに大した意味は無いでしょうけど。
     「私も冬馬も、両方負けに近いわね。」
    冬馬の目線が更に下がる。……やっぱり冬馬は負けてたか。
     「組んだ時の強さがフォーカスされがちだけど
      ソロでも十分強いって事ね。」
     「こことは距離的に近いから、脅威に感じるかしら?」
     「来たら倒すだけよ。それ以上でもそれ以下でも無いわ。」
    ヤバイのは分かってる。でも、倒さなければならないのなら、倒すだけ。
     「……そういや、練習相手の情報を
      他に喋ってはいけないっていうルールは取り決めてなかったわね。」
     「……自分たちも公開するから、他所の情報をよこせって事かしら?」
    勿論、当の本人達は見られても問題無い程度の力しか使わない。
     「……そういった側面もありそうね。
      で、麗華はどうするの?」
     「話してもいいわよ。
      どっちにしろ練習で全部の手の内を見せる様な事はしないでしょ。」
    律子から冬馬へ、薙ぐような視線の移動。
    律子が二つ目の能力を隠しているのは知っているけれど
    冬馬にもそれを持っている可能性がある。
     「わかった。
      まぁ、積極的に話すつもりも、交渉カードにする気も無いわ。
      あくまで聞かれたら答える程度。詳しい事は喋らないから安心して。」
     「配慮に感謝するわ。」
     「それじゃあ……後は日程になるかしら?」
    律子はもう湯気が立ちのぼっていないコーヒーに口を付けて。
     「私としては、今日一回やっておきたいんだけど
      都合が悪ければ後日でも良いわ。
      今日これからだと律子と冬馬は連戦になるしね。」
    カップを傾ける律子の瞳が私の方へ動く。
    そのままゆっくりとカップはソーサーの上に戻される。
    ソーサーの上に置いてあったコーヒースプーンが僅かに音を立てた。
     「断る理由は無いわ。願ったり叶ったりだから。
      相手の指定はあるかしら?」
     「特にないわね。お好きにどうぞ。二人がかりでもいいわよ。」
    軽い挑発に手応えは無い。背筋を凍らせるヤバい律子は鳴りを潜めたまま。
     「じゃあ、私が相手をするわ。
      冬馬は浮遊城まで引かせた方がいいかしら?」
     「別にいいわよ。他の子達を連れてきても問題無いわ。」
     「それじゃあ、お言葉に甘えて皆呼びましょうか。
      お留守番してるだけじゃ、つまんないでしょうし。」
     「うちの子達もつれていくわね。
      コズエは寝てるし、ノノは出たがらないだろうから希望者だけになりそうね。
      何なら、ケーキでも食べられるスペース作るけど?」
     「人数が人数だから、今から準備するんじゃ大変じゃない?」
     「熟成させてるフルーツケーキの味見をお願いする感じかしら。
      お土産として渡すつもりだったけれど、帰り際に渡して反応を想像するよりも
      目の前で一度食べて貰った方が色々と安心出来ると思うのよ。
      ラムを使って熟成させてるから、少し癖があるのよね。」
    あっ、これミスったかもしれない。
    前に誰かにお土産として渡したっていう線を自分で持ち上げちゃった。
     「それなら……。」
    律子はちらりと隣を見て。
    いつの間にか冬馬の視線が上がっていた。目に光もある。少しだけど。
     「なら、スペースを作る方向で行くわね。」
    私はまたパンパンと手を叩く。入り口の扉が動いた。
    ……フルーツケーキの件どうしようかしら?
    ……今後バカと鉢合わせした時に伊織の存在がバレる可能性が高いし
    初日の報酬がわりに伊織に持たせたで行くのが一番問題無さそうかしら。
    ……よし、それで行きましょう。

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