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第一次偶像戦争 【319】 [秋月律子]
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第一次偶像戦争 【319】 [秋月律子]

2018-08-16 21:21


    テーブルに着いた冬馬は頑なに私と目を合わせようとしなかった。
    まぁ、そのどこぞの貴族か王子様みたいなナリは……何というか
    七五三で無理矢理ネクタイ締められた子供みたいな微笑ましさがあるわね。
    これでカボチャパンツとかだったりしたら、声を出して笑ってたかもしれないけど
    本人が恥ずかしがってる所を除けば、上手く纏まってると思う。
    色や雰囲気から見て、キラリちゃんのコーディネートっぽいわね。
    キラリちゃんが着てるドレスと合わせてきてる様だし。
    キラリちゃんのドレスもドレスで、形状や色合いはスタンダードだけど
    アクセや小物の柄が大分ファンシーね。
    どちらかというと、キラリちゃんの隣のアンズちゃんの方が
    素のキラリちゃんが好みそうなドレスかしら。
    いつものキラリちゃんらしい、ポップな感じなのに
    場を壊さないギリギリのラインなのは流石。
    やっぱりキラリちゃんセンスあるわ。
    こういうシチュエーションでもいけるなら
    今度舞台の衣装の相談とかもしてみてもよさそう。
    私はどうしても既存の路線の延長でしかものを見られない所があるから
    キラリちゃんみたいな他を自分の世界に落とし込める存在は貴重なのよね。
     「先にケーキ出すから、それ食べた後にする?」
    麗華も今から軽くランニングにでも行くようなラフな格好に変わって。
     「私はいいわ。日も傾いてきてるしね。」
    そこまで戦闘時間は長くない。だから、ただ単純に私の我慢が出来ないだけ。
     「わかった。それじゃ移動ね。」
    給仕をしている自分の眷属達に目配せをし、麗華の体は草原から離れる。
     「私も行ってくるから、皆は楽しんで。」
    席に着いて少しは気が楽になったのか
    皆、私の声に頷いたり、軽く手を振ってくれたり出来る様になっていた。
    冬馬だけは私が行ってくると言った直後
    一瞬目線が動いて、僅かに動いただけで止まって
    そして意を決したかの様に私に視線を向けるという、ギクシャクした動きだったけど。
    私はそんな冬馬にニッと笑顔を向けると、そのまま背を向けて麗華の後を追った。
    切り替える。
    切り替わる。
    自分の中の魔力がゆっくりと、確実に、静かに、大きく、動く。
    本日二戦目。でも使った魔力はそれ程でも無いし、問題無く動ける。
    ……そういえば、二戦とも相手のメインの得物がナックル系ね。
    ただ、彩音の場合は守りを固め接近し、そこから重い一撃を重ねていく様なタイプ。
    魔力を通わせた拳の一撃を通す事が最優先で、そこから勝ちをもぎ取っていく。
    それに対し、麗華は拳での攻撃も相手を倒す為の手段の一つでしかない。
    他のプランを生かす為に接近し、連続した攻撃で
    こちらの動きを封じたり、細かいダメージを重ね、別の手段でトドメも有り得る。
    麗華が得意なチャーム系スペルは魔法陣の状態を維持しなくても
    発動後に物質の形を取ったり、タトゥーの様に自分の肌に刻印できるから
    カウンター系スペルで打ち消しにくいのよね。
    そこら辺で魔力のアドバンテージを取っていくというのは諦めた方がよさそう。
    ……今の所、考えられる戦い方は二つ。
    カウンターとエンチャントではない防御系スペルをフル搭載し
    私の方から接近戦を仕掛け、何もさせない、逃がさないまま潰すのが一つ。
    もう一つは、逆に完全に距離を取って極大スペルで潰すという戦い方。
    どちらとも麗華のカウンター系スペルで
    私の全てのスペルが撃ち落とされる事は無いという事が前提。
    そこから更に、接近戦を選んだのであれば
    同系統の【青】のカウンター系スペルと
    一発でも入ったらマズい【黒】の精神攻撃の他に
    逃がさないために【緑】のバフ系も打ち消す必要がある。
    残った【赤】の攻撃系スペルは【白】で対処。
    あちらの【白】系スペルは、攻撃系でない限りは無視。
    …………
    ……う~ん……手間を考えると接近戦は面倒ね。
    チャーム系スペルも最初は魔法陣の形を取らないといけないから
    全て吐き出させれば問題無くなるけど、戦闘中それを確認するのは難しいし
    恐らく、私を混乱させる為に軽めのスペルを大量に展開する可能性も高い……。
    領域の展開速度、空間の広さ、魔法陣を描く速度……そこら辺、麗華に隙は無いのよね。
    ホント、領域の魔力濃度、密度が低いぐらいしか弱点らしい弱点が無いわ。
    ……そこを克服してくるか、逆にもっと自分の強みを伸ばしてくるか……。
    ……麗華はどう強くなりたいのかしら?
    ……相手の事を考えるよりも自分の事ね。
    私が望む姿、求める戦い方。
    ……これも違うか。
    そういったイメージを、目標を持つ事は正しい。
    ごり押しも相手に対応して動くことも、何も間違って無い。
    けど今は……今の私が一番強くなる方法は……。


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