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第一次偶像戦争 【320】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【320】 [東豪寺麗華]

2018-08-18 22:59


    地上からは50メートルぐらい。
    うちの子達が給仕をしてるテーブルからは500メートルぐらいかしら?
    情報共有があるから、こっちに背を向けてる子も私の状況が分かるのは便利ね。
    自我が目覚めた事でそこら辺が弱体化されるかと思ったけど
    逆に明確なラインが出来たおかげで強化されたのは意外だったわ。
    ……さてと……。
     「範囲系スペルはあんまり使わない方がいいわね。」
    冬馬達が居るテーブルを見ながら、律子はそう言って。
     「最初だしね。」
     「得物は?」
     「私は無しで行くわ。律子は好きにどうぞ。」
     「じゃあ私も無しで良いわ。
      舐めてるって訳じゃ無いわよ。」
     「分かってる。
      実際、そこまで違いは無いと思うんだけど、やっぱ感覚的にね。
      刃だろうと格闘武器だろうと
      魔力を通わせてそれを相手に叩きつける訳だから。
      切る動きと殴打する動きの違いぐらいかしら。」
    格闘武器を持ってたら掴み系は出来ないから
    正直、アドバンテージは慣れた動きかそうでないかぐらいの差しかないのよね。
    得物の特性は武器種によらないし。
     「開始の合図は麗華に任せるわ。
      私はもう準備出来てるから、いつでもどうぞ。」
    準備出来てる?
    私は感覚を研ぎ澄まして、改めて正面に居る律子を見て。
    準備出来てる言った律子は、構えを取るでもなく、魔力を展開してる訳でも無い。
    声を掛けてきて、適当にお喋りでもするような、そんな無防備な姿。
    距離だって、10メートルも……。
    …………
     「……やっていいのよね?」
     「お好きに。」
    律子の声を聞いて。
    声の意味を理解して。
    体が動く
    声を越える速度で
    空気。風。抵抗。壁
    一瞬の間も無いほど魂で感じたそれを、展開した魔力がはじき飛ばす

    魔力
    強く
    通わせて


    握って
    狙い澄まして
    触れる
    殴る
    律子の顔を
    そのまま
    振り抜く
    ぐるぐると空中で回転しながら律子の体が飛んで行く。
    まき散らされる赤に混じって、他の色も見えた。
    砕いた。顔を。頭骨を。
    頭を貫通はしなかったけど、骨を砕く感触と、何かが弾けた様な振動が伝わってきた。
    入れた。
    入った。
    始まる。
    でも、律子の魔力はまだ外にはでてない。
    律子は。
    私が殴った律子の体は
    から……
    回転してていた律子の体がぴたりと止まる。
    首が据わっていない赤子の様に首がぐりんと後ろにズレた体。
    それが私の方を向いてる。
    喉の所が裂けたのか、血で濡れて、無傷のドレスを赤黒く染めて。
    手。
    律子の体の四肢の内の一つ。右手が後ろに回る。
    その手がゆっくりと、背中側に垂れ下がっている頭を戻す。
    ビッと緊張と恐怖と不快と罪悪が斑になって、私の全てに伝播する。
    両目が飛び出し、右目は千切れて消えていた。
    むき出しの顔の骨の白が太陽光に反射する。
    ずるりと下あごが落ちる。纏められた髪は解かれ、血と脳に濡れていた。
    私。
    私の方。
    目は無い筈なのに。
    表情なんてもう分からない筈なのに。
    笑ってる。
    楽しんでる。
    今度は純粋な恐怖が私の中から生まれ、広がる。
    頭のイッちゃってる相手とは何度か戦ったことがあるけど
    普段を知ってるせいか、それとも他の理由があるのか……。
    ……とにかく、今の律子はヤバい様に見えた。とても、とても。
    …………
    でも……
    ……私は両手の拳を強く握る。
    強く展開する魔力。膨れあがる領域。
    そこに描かれる魔法陣達。
    きっと、涼君も……いや、涼君はもっと……。
    今、私が抱えている羨望と、悲しさは誰に向けてのものなのか。
    そして、何に希望を見いだそうとしてるのか。
    涼君が、舞さんが、そして律子が出来たのなら……。
    苛立ち。自分への。
    無理と分かっているのに。
    分からないと理解できているのに。
    【緑】の魔法陣が解ける。
    律子はカウンター系スペルどころか、未だに領域すら広げていない。
    発動した【Blossoming Defense】は緑色の流れとなり、私の体の肌の上を走る。
    動く
    斜め下に居る律子へ
    次は
    右拳が狙う先は
    血みどろの顔の下
    様々な体液と固形物で汚れたドレスの中央
    私の右拳は律子の心臓を打ち抜いた


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