第一次偶像戦争 【379】 [秋月律子]
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第一次偶像戦争 【379】 [秋月律子]

2018-12-16 22:22

    一息に飲み干すグラッパは、口の中と喉と食道と胃を順に焼き
    私の臓腑を焦がし熱せられた空気は香りを伴い鼻へと抜けていった。
    ……よし。
     「そろそろ食事も終わりかしら?
      何かあるのなら早めにね。」
    私は何も無い。もう準備は出来てる。
    冬馬も同じ部屋に居るサキとルミさんも、ここに居ないリュウとマキノも。
     「私は特にないわ。」
     「わたくしも……。」
     「貴音はお酒を持ち帰らなくても?」
     「ええ。自分で持ってきた分もありますし
      何より下手に持ち帰ってしまうと、頂いた料理が恋しく……。」
    舞さんのお酒に冬馬の料理のイメージが付随しちゃったか。
     「わかったわ。それじゃあ、もう全員何も無しなのね。」
    私の問い。
    部屋に満ちる静寂。
    …………
    ……始まった。
     「サキ。ルミさん。」
    私の声に反応し、ふたりはこの場から消える。
    それと同時に、膝の上に置いていた手にイージスが呼び出される。
    魔力
    繋げて
    土地ではなく
    この城に直接
    建物に流れるマナと魔力の流れ
    解く

    強い魔力
    冬馬
    浮遊城の
    開放
    伊織と貴音の魔力が外に
    城の建材から噴き出すマナと魔力
    場に満ちる。重さを感じるほど

    バキバキと、砕け、折れ、壊れる音
     「アンタ!」
    伊織は勢いよく立ち上がって
     「ん?戦闘開始の合図でもすると思った?」
    私と冬馬、その両方から両方を包み込む魔力の流れが出来る
    双方のイージスが、双方に加護を与えた瞬間
    世界は一気に真っ暗になった
    魂が、感覚が、イージスの加護越しでも僅かに引きずられる
    直後、周囲に満ちていたマナと魔力が消えてなくなる
    黒の向こうに感じていたもの全てが【Armageddon】の光で焼かれる
     (律子さん。)
     (大丈夫。あと、よくやってくれたわ。)
    Damnation】の黒と【Armageddon】の光が降り注ぐ中
    私は自分の魔力を【赤】へと変え
    小さく、けれども濃く、緻密に魔法陣を描いていく
     (あと少しで描き終えるから、浮遊城の方のガードよろしく。)
     (了解っす!)
    二重で入ってるイージスの加護のお陰で魔法陣を描く事自体は楽ね
    今日色々試した甲斐があったわ。早速経験が生きてる。
    あとは、間に合ってるか、そうでないかだけど
    ッと、よし。
     (冬馬、いくわよ。)
     (はい!準備オッケーっす!)
    広げた両手の中で描かれていた肩幅程の【赤】い魔法陣はふわりと浮かぶと
    私の目の前に今なお鎮座する黒い濁流の中へと入っていく


    黒から噴き出し辺りを焼く
    崩れる足下
    広がる穴
    座っていた椅子が落ちる
    衝撃
    外から
    でも
    でもまだ
    まだこれで終わりじゃない
    これで終わってはいけない
    全てを焼く炎と光の中、私はまだ地中深くに残るこの土地への繋がりに手を伸ばす
    ここは私の土地、今焼いている炎も光りも私のもの
    届く。絶対に。貴音よりも早く
    並行して紡ぐ更なる【赤】
    逃がしてはいけない。だから止めてはいけない
    炎を
    光を
    Obliterate】を維持して
    魔力を紡いで
    伸ばして
    描いて
    魔力
    貴音の
     (冬馬!)
     (はい!)
    冬馬が動く
    至近距離まで来ていた貴音の魔力が消える
     (まだいける!?)
     (いけます!)
    私も
    あと少し

    土地の魔力と
    炎と光の向こうにある流れと
    ッ!よし!
    魔力の流れ
    干渉して
    描いている魔法陣と接続する
     (二発目いくわよ!)
    発動するスペル
    Obliterate】が消し飛ばした世界に、沸き立つ水の柱が生まれる

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