第一次偶像戦争 【380】 [サキ]
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第一次偶像戦争 【380】 [サキ]

2018-12-18 22:44

    暖色の光が照らす部屋。
    いつもなら置いてある筈のテーブルも椅子も、全部片付けられていた。
    あたしはすぐさま周囲を見渡し、全員この場に居る事を確かめる。
    ……全員……居る。確かに見知った顔は揃ってる。
    ホッと胸に降りる一瞬の安堵と、間髪入れない切り替えと。
     「マキノちゃんお酒は!?」
     「全部持ってきてる。」
     「リュウの方も大丈夫!?」
     「キッチンにあった食材は全部持ってきてるよ!」
    それならッ
    ゴゥッ!
    浮遊城の持つマナが、とうまの魔力が迸る。
     「始まった!」
    あたし達は急いで窓から外へと出る
    行儀が悪い上に他人様の城だけど、そんな事いってらんないよね
    外は夜。でも、星の光と窓から城の窓から漏れる光が
    地面に敷き詰められた芝生の緑と敷石の白を浮かび上がらせてる
    皆は多分前の方の庭園に居る筈
    ドウッ!
    別の音。二発目!?
    こっから先は時間との闘い
    とにかく状況を確認して、それから動かないと
    マナ
    また浮遊城のマナが動く
    それと、これは、この魔力は

    衝撃
    浮遊城が揺れる
    星の光とも窓から漏れる光とも違う光が、世界を照らす
    浮遊城の周囲の空間が輝く
    光源は下から
    直接当たっては無いけど、浮遊城のバリアで弾いてるからその光がきてる
    で、このバリアが弾いてるものの魔力は
    ドゴゴゥ!
    爆発音
    単一じゃない
    って事は!
    あたしは地面を強く蹴り、そのまま【Flight】を使い
    窓から光が漏れる城の傍を一気に抜ける
    左側の視界が開ける
    もう空に星もオーロラも無い
     「キヨミちゃん!状況は!?」
    城の前面にある庭園へ出た所で
    庭園の中央に浮かんでいたキヨミちゃんに向かってあたしは叫んだ。
     「初撃の【Damnation】二撃目の【Armageddon】ともに滞りなく!
      そのふたつが生きている中で
      律子さんが恐らくですが【Obliterate】を使った様です!」
    りっちゃんやっぱり自分で壊したか!
     「いおりちゃんの船は!?」
     「律子さんの【Obliterate】の範囲内ですので、恐らく破壊されたか
      破壊はされていなくても、攻撃は無効化されるものと思われます!
      先程の爆発は単一のものではありませんでしたし
      僅かながら伊織さんの魔力を確認出来ましたから
      ミサイルか本体か、どちらかは必ず爆発しています!」
    とうまの【Damnation】と【Armageddon】を耐えてスペルを放ったんだから
    ミサイル数発ぐらいならりっちゃん達は問題無いか
     「わかった!あたしはパピっと上行ってくる!」
    あたしの仕事。あたし達の仕事。
     「クラリスさんとスズホさんが既に上がってます!
      サキさん達もご武運を!」
     「キヨミちゃんもね!」
    あたしは上を向く。キヨミちゃんももう自分の仕事に戻ってる筈
    あたしは浮遊城の庭園から急上昇し
    りっちゃんの【Obliterate】を弾いて出来た柔らかい光に満ちた空へ飛び込む




    領空外
    りっちゃんの魔力
    でも、浮遊城の影に入っているせいか、そこまで強くは感じない
    光は副次的なもので、炎か熱かに魔力を振ってるっぽい?
    ……こういう状況になった時のマニュアルはあった
    けど、確定しているのは敵が居ない側からの先制攻撃と、その後の動きぐらいで
    使用するスペルなんかは決めてなかった
    ……決めてたとしても、今のりっちゃんはその通りに動かなかったかな……
    対応を決めてる時のりっちゃんと今のりっちゃんは全く違う
    今日、伊織ちゃんと貴音ちゃんと一緒に居る時も
    りっちゃんは戦いたくて仕方がないみたいだった
    攻めてこられたとか、侵入されたとか
    そいういうあってはいけない、あってはならない状況に陥った悲壮感みたいなのは
    全く感じられなかった
    りっちゃんは変わっちゃったけど、あたしはそれでもいいと思う
    起こった事をウジウジ考えても仕方ないし
    別に楽しんじゃいけないって決められてる訳でもない
    それに、ただ敵が来たから戦うんじゃなくて
    あたし達が逃げられる様に、あたし達が働ける様にちゃんと考えてくれてる
    だからあたし達はりっちゃんが勝てるように動くだけ
    りっちゃんを勝たせるために来たんだもの。ちゃんと仕事しなきゃね



    ギャアアン!

    上で弾かれて
     (クラリスちゃん!大丈夫!?)
    揃ったビーム状の魔力が落ちてきて、それをクラリスちゃんが弾いたっぽい!?
     (こちらは平気です!)
    ビームの照射は続いてるけど、対応はできてそう!
     (わかった!ミサイルとか見かけたらこっちからも情報流すね!)
     (お願いします!)
    上空の戦艦からの攻撃が来たって事は!
     (それじゃみんな!後でね!)
     (ああ!)
     ((ええ))
    纏まって昇っていたあたし達は降り注ぎ続けるビームを囲う様に4方向に分かれ
    そのまま宇宙を目指す
    夜空

    動いて
    流れて
    ッ!早速!?
     (南東の方角からミサイル来てる!)
     (わかっとー!
      もうちょっと引き寄せて纏めて叩くけん心配なか!)
     (全方位っぽいけど大丈夫!?)
    あたし達の城はもう無い
    なら今ここで浮遊城を失うわけには
     (大丈夫じゃないから大本よろしくー。)
    この状況でも余裕がある声。
    アンズちゃんも動き出した。それなら暫くは!
     (分かった!それじゃパピっと落としてくるね!)
    下からの光が消え、魔力の感じも変わってきてる
    でも、振り返らない。振り返っちゃいけない
    あたしは、あたしの仕事をしないと
    上に見ていたオーロラの光が降りてくる
    この先に落とすべきものがある
    輝く星空にまたいくつもの流れ星が見えた

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