第一次偶像戦争 【547】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【547】 [東豪寺麗華]

2019-11-22 22:11

    地面の上を跳ねていた星井美希の体がぐたりと動かなくなる
    拉げた顔も、抉られた胸も、何故か未だに勃ってる乳首も
    全部クレーターの壁面にへばりついていたまま固まってしまう
    まだ戦える力はあるだろうし、気は抜けない
    ……でも一区切りはついたって事かしら?
    もし上の存在に気付いていて、それに賭けてるのなら大したものね
    二人はそういう事をやってのけるタイプだから、裏をかかれない様注意しましょ
    ……そういう小手先のなんやかんやをあの人が許すかどうか……
    ……許しそうかな?それに賭けるっていうのもアレだけど
    面白くなる方向ならあの人は邪魔しないでしょうね
    ……そうなると、やっぱ私が不利な感じか
    ……まぁ、今のところ運に助けられてるから、そのツケって所かしらね
    ……そう……運はとてもよかった……
    四条貴音はもうちょっと頑張って私の防御系スペルを減らすべきだったし
    星井美希はエンチャント系に固執せず、数で押すスペル戦をやった方がよかったと思う
    私に掛かってる防御系スペルは【白】や【青】に特化したものも含まれてるけど
    弾ける限界は勿論ある。星井美希は【青】使いでもあるから
    無理をすれば、追加で入る防御系スペルも打ち消せた筈
    ……正直、体にダメージがあるとはいえ、今もそういった動きは出来るでしょうから
    上の存在関係なしに気を緩める訳にはいかないのよね
    ていうか私にかかっている防御スペルや【緑】系のバフ切れ待ちっていう線も……
    緩く吐く息
    現状勝っている者が吐くとは思えない重く湿ったそれは、まだ肺の中に大量に残っていて
    ……けど、戦いなんて大体こんなもんよね
    諦め混じりの納得で全てを胸の奥に押し込んだ後
    私は各種防御系スペルとバフの効果時間を確かめ
    こちらに近づいてくるものの距離と速度から残ってる時間を計算し
    キュンと遠くまで張っていた領域を閉じた
    ある程度精神侵入系への抵抗力はあるけれども、それを信用しすぎるのもアレ
    大体、これから先の事は上から来てる人の気分次第だから思い切り不透明
    それでも、星井美希と四条貴音の二人が立ち上がってきて、更に向かってきた場合
    私は迎撃して、今度こそ動けないレベルまで追い詰めないといけない
    ……現状、それを行うには魔力的な余裕はないのよね
    Ghostly Prison】は未だに生きてて、もう馬鹿にならない量の魔力を
    そっちに持ってかれてるし、回収できる分は回収しとかないと
    ガン逃げされたときは……伊織に頼むことになるかな?
    ……四条貴音と星井美希の無抵抗っぷりは
    私から逃げても伊織の飽和火力を受けなければならないっていう
    先の事を考えての選択かもしれないわね
    あと……
     「まだ助けるつもり?」
    領域を広げて分かった事
     「……助けたい……けど、ちょっと厳しいよねー。」
    まだ【Blaze】の炎が残る森の中
    10メートルほど先の木の陰から、黒い小紋に身を包んだアズキが出てくる
     「流石に死ぬ気で来たらここから逃がす事ぐらいは出来るんじゃない?」
     「えっ?そうなの?じゃあ今からでもがんばちゃった方がいい?」
    割と本気な様で、炎に揺れるアズキの瞳に別の光が見えた
    ……で、アンタはどうなのよ?
    足下に転がるトップアイドルの全裸変死体に向け視線を落とす
     「会話ぐらいやろうと思えば出来るでしょうに
      アズキが命を賭けてくれる事に期待してたりするの?」
    少し
    ほんの少し星井美希の表情が動いた気がした
     「あっ、そうなんだ。もしかして失敗しちゃったかな?」
     「そうでもないと思うわよ。実際、こうやって攻撃を中断してる訳だし」
     「でも麗華ちゃん私が出るよりも前から止めてたよね」
     「状態をキープするっていうのも立派な仕事よ。
      ……まぁ後、もう二人共勘づいてるって事だと思うわ」
    直接であれ、私の対応からの間接的な何かであれ
     「えっ?どういう事?」
     「すぐに分かるから、心構えだけはしておきなさいね」
    それと……まぁ分かってると思うけど
     (伊織?通じてる?
      もうすぐ舞さんと接敵するわ)
    ヤケになってるとも取れる言葉。そこまで自暴自棄にはなってないけど
    伊織がそう受け止めたのであれば、別にいいかな
    さて……
    両手と右足。一番早く解除出来そうなのは左手かしら
    あとちょっとで核の部分まで届きそう
    それにしても、魔力の供給無しの独立したエンチャントに
    ここまで耐性って持たせられるものなのね
    なんというか、本当に運に助けられてるわ
    ガチの状態の星井美希と初見で戦うっていう状況なら
    ここまで上手く事は運ばなかったと思う
    ……私だけじゃなく、あのバカは本当に関わった人間を不幸にしてくわね
    いわゆるサゲマンって奴かしら?
    …………
    ……さて
    見上げた先
    Blaze】の炎に焼かれてなお、濃い木々の葉の向こう
    ぽっかりと穴が開く
    葉が燃える。黒い炎に焼かれる
     「……マジで?」
     「そうよ」
     「……アズキ、とっとと逃げた方がよかったかな?」
     「そこの判断は間違って無いと思うわ
      下手に逃げたりして気を引いちゃうのが一番ヤバいんじゃない?
      目立ちたがりだし」
     「あぁ、確かにっ!」
    ヤバい様で、そうには思えないアズキのテンション
    それが振り切れちゃったからではない事を祈りながら、視線はどんどん落ちていく
     「よっ。」
    黒と赤のドレスに身を包んだ日高舞は
    屈託の無い笑顔と軽い手の動きも添えた言葉を、何の抵抗も無しに私に投げてきた

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