第一次偶像戦争 【548】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【548】 [水瀬伊織]

2019-11-24 21:21

    背中
    すぐ後ろ
    魔力が通う
    火が入る
    瞬間、私のすぐ後ろで魔力が膨れ上がり爆発が起こった
    背中から全身を突き抜けるような衝撃が走る
    でもこれは
    首をつかむ左手の感触と目の前の存在に注視しながら
    全身の状況を確かめなおす
    爆発の衝撃はおおむねシミュレートした通りだった
    でも、それに付随するアズの魔力は
    私が想定していたよりもずっと浅い所までしか入り込んではこなかった
    相互に干渉されにくい魔力なら
    冬馬のそれの様に私の体に流れる魔力の抵抗を無視して入り込んでくる筈
    でもそうじゃなかった
    あくまで爆発の衝撃で体に流れる魔力が乱れたところ
    人工皮膚は超えているけれども、その下の装甲部を貫通してくる様な事は無かった
    破片による浸食のムラもほぼ無い所を見ると
    コフィンメーカーの本体にはあまり魔力を流していなかったようね
    銃口は開いちゃってるわけだし、下手に強化したら
    爆発の衝撃が全部そっちに流れる可能性があったから仕方が無いか
    ていうか、そんな事考えてる場合じゃないわね
    爆発後も体に流し続ける強い魔力
    アズの魔力を押し出しながら爆発が近かった左半身を中心に
    私の意思と実際の体の動きのラグと正確さを測る
    ッ!
    いける!
    アズの魔力が入り込んでいる範囲こそ広いけれども
    四肢の末端まで通常とほぼ変わりないレベルで反応出来てる
    魔力を強く流してるからみたいな疑問は後
    少なくともコイツの処理が終わるまで今の状態をキープできればいいのよ!
    右手が、握られているテルプシコラーの切っ先が動く
    デスペナルティを弾いた刃がくるりと向きを変え
    そのまま迷いなくアズの横っ腹に突き立てられた
    クリス状の波打つ刃の切っ先が固い腹筋の中に押し込まれ
    ずぶずぶと入り込む刃に巻き込まれるよう、表皮と筋肉が沈み込んでいく
    テルプシコラーの刃を止めようとする魔力に、筋肉の動き
    それを超えた先で感じる内臓の柔らかい感触
    たまんないわね!
    アズの腕
    右も左も動いてくる
    あら?まだ抵抗する気?
    いいわね。じゃあ次はその両腕
    テルプシコラーにかかる力の向きが変わる
    突き刺した刃が引かれながら、アズの背中側に向けて一気に滑り始める
    断ち
    引き
    抜く!
    私の意志に抗おうとするものを切り裂き
    抵抗から解放される快感が刃から腕から魂に直接伝わる
    横一文字
    アズの背中から出てきた刃は、どす黒い血と絡んできた内臓を飛ばしながら
    一文字の軌跡を描く
    傷口は脇腹だから、派手な盲腸跡みたいには出来なかったわね。残念
    それじゃあ次は
    かたや肘から先の腕にテルプシコラーの刃を捻りこまれ
    そのままウナギを割く様に手首までパックリ切り裂かれた左手
    もう片方は握っていたコフィンメーカーの爆発をモロに受けた右手
    無事なのは間違い無く右手の方
    その右手で私の首を後ろから猫みたいに掴んで離す?
    それとも背中を殴りつけてくる感じかしら?
    どちらにせよ
    甘い
    炎の中に生まれる別の光
    切り裂かれた脊髄に直接撃ち込まれる【Lightning Bolt
    アズの首を掴む左手全体が首の筋肉の痙攣を感じ取る
    いいわ。もっと踊りなさい
    私に抱きつくように動いていたアズの両腕も私へ向かう動きを止める
    痙攣した様に乱暴に震えるアズ左腕
    その肌の下から刃が生えてくる
    血を吸って成長する植物の様に
    傷口から血を噴き出させながらどんどん太くなっていく波打つ刃は
    一瞬だけ動きを止めると、ビッ真横に動き、アズの腕の大半を切り取る
    刺して切る。これじゃ一回で完全に断ち切る事が出来にくいのが玉に瑕ね
    皮と少しの肉で繋がっている腕同士を繋げるように、切り裂いた断面から飛び出す雷
    私を離そうと、懸命に動かそうとしていた腕が、今や狂った様に震えるだけ
    右手
    まだ健常と言えるアズの右手
    再び動き始める
    足掻く?
    当然よね?

    これも当然
    魔法陣の輝き
    私の背中スレスレを走る光
    炎とも雷とも違う、焼き切る光
    レーザー状の【Incinerate】が私の背後に回っていたアズの右手を包み込む
    やかれてもなお、私の襲いに来なさい。切り裂いてあげるから
    いいローストになりそうだわ。切ってお皿に並べるだけで料理として出せそうな

    麗華の領域が無くなる
    あら?終わった
    じゃあこっちも終わりにしないと?
    四肢全部切り落とすつもりだったのに、さっさとやっとけばよかったわ
     (アズ。最後になにかある?)
    諦めたのか魔力が抜け始めてる体に向かって
    …………
    ……
     (ん~、欲張るとやっぱりろくな事はないね。)
     (そうよ。いい勉強になったでしょ。)
     (凄くね。)
     (それじゃあ終わらせるわよ。)
    私の領域が紡がれ捕縛スペルの魔法陣が描かれ始める
    魔力の揺れ
    テレパスの
    ただ、内容は
    この魔力の感じだと麗華だろうけど
    上も終わったって事?
    仕方ないとはいえ感知妨害に振りすぎたわね。もうちょっと調整が必要かしら
    何かあったかもしれないし、さっさとアズを捕縛して炎も


    アズの体に火がつく
    えっ?
    全身が炎に包まれ、魔力がどんどんと消えていく
    どうして?
     (ちょっと!アズ!)

    そういやさっきも返事は
    ッ!?
    まさか!?
    してやられた!?

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