第一次偶像戦争 【577】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【577】 [東豪寺麗華]

2020-01-22 22:22

    森の中、鳥の囀りに耳を澄ますように
    静かに、ただ上で繰り広げられる戦いの魔力を感じる事に集中する者達。
    本当なら上の動きに合わせて、下に居る者も動く可能性があるから
    しっかりと目の前の敵も注視しとかなきゃダメなんだけど
    どうもそういった事は起きそうに無いのよね。
    星井美希はアズキちゃんと合流しても相変わらずふてくされてるし
    四条貴音は半分瞑想してる様な状態
    舞さんは誰かが動いてくれるのを楽しみに待ってるような感じで
    サチコちゃんに動きは無い。
    私も私で、伊織の決着がつくまでは動く気は無いから
    最低限の緊張は残しつつも、森の中は妙に穏やかな空気が場に漂っていた。
     「出てくると思います?」
    サチコちゃんのつぶやき。
     「近くに居るのなら、出てくるわね。」
    そう言った直後、上空に新たな魔力が現れ、伊織の生み出した炎の中に消える。
    やっぱり出てきたか。
    参戦するだけ損な状況といっていいのに、出てきちゃう辺りアズ君も相当なお人好し。
    伊織もわざわざ釣り出す様な事しなくても見つけられたでしょうに
    戦闘はガチな癖に、そこら辺すごくふわっとしたままで居るわね。
    まぁ、結果的に日高舞を刺激せずアズ君を釣れたんだから
    今のところ伊織の狙い通りに進んでる。
     (ノノの様子はどう?)
    好きにしろとか言っておいて、私も私。
     (今の所さっきと大して変わってないです。
      それで、アズさんがこちらに来た場合なんですが
      俺達で迎撃することに決めました。)
    ……そっか。
    ……そうするしか無いわよね。私がここを離れると
    乱入してきた新たな敵に、戦った相手を全部任せる事になってしまう。
     (分かった。特殊な相手だし色々あるでしょうけど
      それ含めて良い経験と思ってくれる事を祈ってるわ。)
     (麗華さんの期待に添えるよう頑張ります。)

    アズ君が突入していった炎とは別の伊織の魔力が現れる
    炎の更に上を取った形かしら?
    さて、これから

    反射的に広がる魔力
    衝撃

    衝撃と轟音が体の中にも入り込む
    直撃はしてない。ただ、それでも樹に落ち、そこから地面へ伝った雷が
    私の体の中にも入り込んでくる
    さっきまであった筈の深い森の中の闇と静寂が
    絶え間なく落ちる雷の光と音で、跡形も無く消え去ってしまう
     「アズキちゃん大丈夫?」

    体を走る衝撃が消え、光と音が遠くなる
     「なっ……なんとか……。」
    焦点の定まっていない目をパチパチさせながら答えるアズキちゃん
    彼女の頭の上にあるドーム状に広がり、全員を包み込む日高舞の魔力は
    伊織の雷を歪め、そこから生まれる音と光も隅においやっていた
     (麗華さん!?)
     (こっちは平気。
      そういや聞いて無かったけど、コハルに状況は伝えてる?)
     (いえ、コハルちゃんがどう動くか分かりませんから
      言葉は交わしてますけれども、見て感じる以上の事は何も。)
     (分かった。それじゃあ、私からの命令扱いでいいから
      コハルにも状況を伝えておいて。
      これから貴方達がどうするかもね。声じゃなくて領域使ったテレパス系で。)
     (かしこまりました。)
    声にしてしまうと、伊織に音を拾える可能性がある
    伊織ならアズ君をこのまま逃がさない様に動ける筈だから
    ここで私が失敗した場合みたいな事を考え、対策を立ててる事が伝わるのは
    伊織に良い効果を与えない。少なくとも、意地を張ってるであろう今は


    雷が止む
    その代わりに現れる巨大な魔力の塊
     「わぉ!」
    舞さんの声は本当に楽しそうで
    そしてその声に反応する間も無く、巨大な魔力の塊は落ちてきて
    さっきの雷で反射的に展開していた魔力が反応する
    けれども、今回の伊織の攻撃は森の中までは届かなかった
    ただ、熱持つ光が、森のすぐ上を陣取ってジリジリとこちらを焼いてきていた
     「上手く溶岩で閉じ込めたみたいね。
      赤系のスペルなのに外に漏れる光にほとんど魔力が乗ってないし
      伊織ちゃん本当に物質を介したスペルの扱いが上手いわ。
      映画じゃ雷バチバチしてたのに。」
     「アレですか。」
     「そうよ。アレ。」
    ボスと黒幕がそこで転がってるアレ
     (コハルちゃんに事の次第と今後の動きを伝え終わりました。
      アズさんの狙いがコハルちゃんだった場合
      俺達ってどう動いたらいいですか?)
    ふむ。
     (そこも好きにしたらいいの範囲に入ってるわね。
      戦ってみたいのか、自分達を守るために動くのか、貴方達で決めなさい。)
     (コハルちゃんをこちら側につける様な事を考えている訳じゃ無いんですね。)
     (ええ。だから恩を売るとか、そんな事も考えなくていいわ。
      結果的にそうなってしまうパターンもあるでしょうけど。)
     (了解しました。話し合ってみますね。)
     (難航する様なら私への報告はいいからギリギリまで話し合いなさい。
      アズ君が動いてくるとするならば、残り時間少ないかもしれないわよ。)
    溶岩の中から放たれる魔力の塊と、そこに打ち込まれる雷
    そして、溶岩を包み込むように広がる【Disintegrate】の魔力
    伊織は殺る気でアズ君はそれに対抗してる
    このまま真っ直ぐぶつかり合うか、それとも大きく変化するか
    森の中に粘度の高い汚れの様な溶岩の飛沫が降り注ぐ中
    上空で展開された【Disintegrate】は発動した

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