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第一次偶像戦争 【602】 [シロウ]
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第一次偶像戦争 【602】 [シロウ]

2020-03-12 22:00

    こりゃ十中八九ミクねーちゃんが負けるな。
    ゲートを潜ってすぐ思った事。
    それはシュウコねーちゃんが地上に現れた今も全く変わってない。
    ミクねーちゃんも分かってると思うのに、それでも突っかかるのは
    もう後に引けなくなってるからとか?
    あとは、感情が先行して勘が働いてない可能性もあるか。
    まぁ、俺もミクねーちゃんの強さは大体ぐらいしか知らないからアテにはなんねーな。
    ただ……。
    鼻をつく土と水と、それらが焦げた匂い。
    見渡す限り広がる掘り返され荒れた大地。
    オレの一歩前にある、ずっと向こうまでぐるっと囲う様に続く深く巨大な溝。
    ……こんなんに耐えたんだよな。
    半径数キロか、それ以上の土地に通うマナを全部集めたんだから
    シュウコねーちゃんが耐えた事も、周囲の土地がこの有様なのも理解できるけど
    理解できるからといって、誰でも再現が出来る様な事じゃない。
    個人の強さっていうのが、特殊な才能や能力を含めたものである以上
    これだけの事をやってのけたシュウコねーちゃんが弱い訳はない。
    視界の中心にあるミクねーちゃんの背中。
    指先の神経が体の方に引っ張られるような感覚を覚える。
    知らないうちにに眉間にも力が入っていた。
    聞こえてくる会話も右から左へ流れていってる。
    …………
    ……
    視線が移る。隣に居るミヤコねーちゃんの方に。
    綺麗な瞳の奥にある、固い光。
    こうやって静止した状態だと、やっぱどっか違和感があるな。
    動いてる時は大して感じねーのに。
    じわりと薄く領域を広げる。そんなオレの動きに気が付いたのか
    ミヤコねーちゃんは俺の方に視線をよこす。
    薄い雲が張った春の空の様な水色の瞳が
    少し不思議そうな表情と一緒にオレに向けられる。
    表情がついた事で一気に違和感が減ったな。まぁ、そんな事はどうでもいいけど。
    絡んだ視線を引っ張るように、オレはミヤコねーちゃんに頷く。
    ミヤコねーちゃんも察したのか、オレと同じようにほんの僅かに領域を広げて。
    スッと指先で確かめるようにオレとミヤコねーちゃんの領域が触れ合う。
     (ミクねーちゃんの集中を乱したくないからこっちで話すけどいい?)
     (問題ありません。どうぞ続けて下さい。)
     (ありがと。
      それじゃ質問なんだけど、アズはどうなってんの?)
    シュウコねーちゃんがフラっと居た所を狙った訳じゃないだろう
    だって美希ねーちゃんの魔力も感じるし。
     (……少々お待ちを。)
     (情報引き出すためにいろいろする気はねーから
      言えないなら言えないで別にいいぜ。)
    時間も無いだろうし。
     (……確認取れました。問題無い様なのでお伝えします。)
    やっぱはえーな。
     (そこでなのですが、どうなってんのというのは
      アズ様が現在どの様な行動を取っているのかではなく
      どういった状況に置かれているかで間違いないでしょうか?)
     (うん。知りたいのはそこだから、それでお願い。)
     (でしたら、アズ様は生存しておりますが
      次に狙う対象を舞様に固定されてしまったといったというのが
      シロウ君の質問に一番近い答えだと思われます。)
    特に想像なんかはしてなかったけど、想像してても思いつかない結果が返ってきた。
     (じゃあ、生きてるには生きてるんだ。)
     (仰る通りです。)
    それにしても舞さんが絡んできてんのか……。
    ……舞さんが絡んできてて
    シュウコねーちゃんは美希ねーちゃんの死体か何かを持ってる……
     (美希ねーちゃんもアズと一緒で舞さんを強制的に狙わないといけねーの?)
     (御推察の通りです。)
    アズと美希ねーちゃんか……。
    ……いや待て、二人だけとも限らねーんだよな。
     (そいういった指定が入ったのはアズと美希ねーちゃんだけ?)
     (あとは貴音様も同じ条件が入った様です。
      私が把握してる限りでは、アズ様、美希様、貴音様のお三方に
      今後の動きに対する制限が入った形となります。)
    貴音のねーちゃんも……となると……。
    得た情報とミクねーちゃんの勝負と、これからのオレと。
    色々考えようとしていた所を、唐突に生れた声ではない音が揺らしてくる。
    右から左に流れていたミクねーちゃんとシュウコねーちゃんの会話を
    引っ張って戻そうと記憶に手を突っ込んだ時
    視界の中のミクねーちゃんの背中が動いた。

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