第一次偶像戦争 【644】 [伊集院北斗]
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第一次偶像戦争 【644】 [伊集院北斗]

2020-06-06 22:44

     「本当にここなんですか?」
    容赦なく照りつける太陽は、ひび割れた大地の下まで
    熱持つ光の矢を通そうとしている様だった。
    乾燥した肌から白く薄い皮膚が剥がれ落ちる様に
    ひび割れた大地から剥離した土が風に舞う。ここはそんな荒野のど真ん中。
    いや、定義的にはここも砂漠か。イメージしやすい砂まみれの砂漠も
    ずっと向こうの山を超えた先だが、あった筈。
     「ここになっちゃったんですよね。」
    集合地点を決める時、伊織ちゃんに悟られない事を重要視した結果
    この星を地域で区切り、そこに番号をつけて
    サイコロを振って出た目から絞っていくという
    物凄くアナログなランダムピックをする事になった。
    サイコロによる選択は最終的に座標になり、結果、選ばれた場所がここ。
    海に近いけれども、ひび割れ、荒れた砂漠のど真ん中という
    上空、地表共に、物凄く察知されやすい場所。
    そこに加え、地平線の向こうだけれども
    はるか彼方とも言い切れない位置に伊織ちゃんの基地がある。
    まぁ、伊織ちゃんの基地は全大陸にあるから、無視することは中々難しいが。
     「……見つけられるでしょうか……。」
    風で揺れる髪を抑えながら、小鳥さんはぐるりを周囲を見渡して。
     「やはりある程度大きさは必要ですよね。
      高さはもう仕方がないですが。」
    準備期間中に決めていた流れは
    上から見つからない様に地上10メートル弱の位置に面での感知妨害を描き
    その下に目印となる建物を建て、集合場所とするというもの。
    ただ、広い。本当にこの荒れた砂漠は広く、そして何にも無い。
    座標は決まっているとはいえ、GPSも無い訳だから
    来られるかどうかは、結局の所、俺が建てる家を見つけられるかにかかっている。
     「オアシスでもあればもっとわかりやすかったかもしれませんね。」
     「ですね……海からそれ程離れていませんから湾の形と
      ずっと向こうにある山の頂きの位置を結ぶ線を目安にと、決めてはいますが
      かなり上空からでないと湾と山を同時には見えませんし
      その状態では集合場所の建物が分からないというジレンマが
      中々に面倒な状況に、更なるストレスを重ねる状態になってしまっていますね。」
     「地図のデータとリンクして自分の位置を取るにも
      リンクさせられる情報は地形の映像ぐらいですよね。」
     「ですね。こちらから発する系は控える様にしていますから。」
    元の星とは桁が違うレベルで日々変化をしているし
    最初に配られた地図の情報もどこまで正確かは分からない。
    大体、山ぐらいならプレインズウォーカー組は勿論
    眷属の子達でも消し飛ばせる子は居る。
     「大丈夫かなぁ……。」
    小鳥さんは心配そうにそう呟いて。
     「まぁ、大丈夫と思いましょう。
      そもそも全員が揃うかも分かりませんし。」
    優先度高めでお願いとは伝えているけれども、絶対に集合では無い。
    だから、適当に探して見つけられなかったのなら、帰るだろう。
    探しに探して半分遭難するような子はノース君ぐらいしか思いつかないし
    ノース君もダメな時はダメ、無理なときは無理とちゃんと割り切れる子だから
    そこまで心配はしていない。
     「久しぶりですし、会いたくはないです?」
     「う~ん……。小鳥さんとの日々が楽しかったので
      あまりそういった感情を抱く暇は無かったですね。
      今この瞬間だって俺は小鳥さんと一緒に居られる事を楽しんでますよ。」
     「えっ?
      あっ……あのっわっ私もそうですッ!」
    赤面しながらそう言う小鳥さんを愛おしく思い
    それとは別に、これから起こりそうな事を想像してみて。
    ……
    想像上に出てきた絵と言葉に、ゾワッと寒気が背中を走る。
     「……皆と会うことは楽しみですが、それ以上に怖い気はしますね。
      舞さんの城でやった事を知ってる子は居るでしょうから。」
    まぁ、ただじゃ済まされんだろうな。
     「あぁ……それは……。」
     「多分、俺が全く後悔していない事も見透かされて
      ボロカスに言われる事は間違い無いと思います。」
    だからできるだけ正直に話そう。
    事前に決めていた訳じゃなく、本当にその場で思いついてやっちゃった事だから
    皆には伝えられなかったと、言い訳せずに伝えよう。
    その結果、迷惑がかかったという部分は、もう甘んじて受け入れる。
     「その時は私も謝りますッ!」
    俺の方を向いて、強くそう言ってくれる小鳥さん。
     「……では、その時は二人して謝りましょうか。」
    俺がやった事で、小鳥さんはついてきただけというのはちゃんと伝えた上で。
     「はいっ!」
    返事に添えられた満面の笑み。
    ……やっぱりやって良かった。その点に関しての後悔は本当に無い。
    ……さて、それじゃあ始めますか。

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