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第一次偶像戦争 【667】 [冬月律]
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第一次偶像戦争 【667】 [冬月律]

2020-07-22 22:22

    少しでも心を揺さぶる事が出来るならと思ったけど、舞さん相手には意味が無いか。
    まぁ、冷静に考えれば、動揺なんてする筈は無いな。
    素でスタァな舞さんからすれば、他人からどう思われようと
    自分が気に入っているのなら何の問題も無いし、そこに恥も も無いんだろう。
    動揺するかもなんて思ってしまったのは
    俺はそこら辺、完全に仕事モードに入らないと処理できないから。
    妙にプライドが高いのか、精神面に限って言えば、俺はアイドル向きではない。
     「いい名前ですね。」
    お世辞?嫌味?自分で言っといて、どういう感情で言葉を発したか分からない。
    いや、適当な相槌に、いちいち感情入れてないか。
     「そうでしょ。気に入ってるわ。」
    舞さんは真っ直ぐにそう言って。
    ……やっぱスタァってこういう人の事を言うんだな。
    ……しかし《Little Goodbye》か……一体どこら辺がリトルなのか……。
    リトル……少しのお別れ?出直してきなさい的な?
    舞さんは自分を強者だと自覚してる訳だし
    実際、大半の存在は舐めてかかっても問題ない訳だけど
    何となく……というか、ほぼ間違いなく
    舞さんは、相手を舐めてかかる様なタイプではない。
    今の二対一みたいに、結果的にそう取られかねない状況は多々あれど
    相手の強さを計った結果、サシよりこちらの方が適正だから、そうしただけだろう。
    舞さんは全力を出したい。きっとただそれだけ。
    じゃあ、この場合のリトルは
    お前の存在をここで消すけれども、私にとっては些細なものよ的な?
    ……こっちもこっちで、相手を舐めてる様な感じはあるな。
    そもそも、怖ろしいほどの暴力の塊である能力にリトルって付ける時点で
    どうしても嫌味に聞こえてしまう。
    あえてのギャップみたいなのも、こういう殺し合いの場では
    名付け親の遊び心を理解し、余裕を持って受け止めるみたいな事は難しい。
    まぁ、散々考えたけど、名前に大した意味は無いが正解かな?
    ……いや、こうやって聞いた相手に色々考えさせる事が……。
    ……それは無いか。折角の名前を、そんな妙な目的の為に使うのは勿体ない。
    舞さんならやるかもしれないけれども。
    ……結局、分からないな。
    分かっている事は、日高舞があえてリトルという名前をつけた事と
    それが物凄く、今の俺には嫌味に聞こえるという事。それだけ。
     「聞いておきたい事はそれで終わり?
      そろそろはじめて欲しいんだけど。」
    揺らめく漆黒の向こうに居る舞さんは、待つことに飽きているのを隠さずにそう言って。
    ……一度由来の質問を挟んで、そこから更にと思ったけれども、これは無理だな。
    表情は飽きてつまらなそうにしているが、目はもう完全に得物を前にした獣。
    歯を食いしばって欲求に耐えている、理性を持った化物。
     「……彩音ちゃんの《Wake Me Up》が
      舞さんを一撃で殺せるレベルまで、強くなるのを待つのはアリです?」
    能力名を訪ねた時、聞きたい事は一つだけと言ってしまている。
    ただ、これはルール確認に近いからノーカン?
     「別にいいけど、ただ待つのもアレだし、これ以上は私も準備するわよ。」
     「それは困リますネ。」
     「だね。」
    一瞬で終わる損得勘定。待つのは悪手。
     「それじゃ、いつでもどうぞ。私も勝手に進めるから。」
    キュンと、舞さんの周囲に魔力が展開される。
    さっきよりも範囲は狭いけれども
    触れただけで何も残らず焼き尽くされそうな、怖ろしい魔力。
    隣。
    彩音ちゃんと目が合う。
     「準備は?」
     「イツでも。」
    言葉を交わし、二人して頷いた後、視線が外れる。
    目の前の舞さんを見て、息を吐く。
    全身に流れ、外に広がる魔力。
    俺の周囲に広がる空間。
    戦う為に、勝つ為に、準備しているもの。
    ……行くか……。
    ……行く。
    心でそう決めた直後、視界の中に広がる【白】
    舞さんまでの5メートル程の隔たりに現れる幾重もの魔法陣の壁。
    輝き、溢れ
    始める
    始まる
    始まった
    始めてしまった
    始まってしまった

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