第一次偶像戦争 【673】 [日高舞]
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第一次偶像戦争 【673】 [日高舞]

2020-08-04 22:44

    黒く焼けた巨大で真っ平らな岩肌は、所々溶岩の光を宿していた。
    赤く輝き、汚れ、滴り落ちるそれは
    まるで焼け焦げた皮膚の下から滲み出てくる血の様に見えた。
    まぁ、ぶっ叩いて割ったんだけど。
    でも、割ったはいいけど、その後よね。
    今は割れた二つが私をホットサンドにしようと上から下から迫ってきてる。
    いや、たい焼き?ワッフル?違うな、もっと薄い、エビ煎たこ煎系か。
    あれオツマミにいいんだよね。城に戻ってもお酒ないけど。
    ていうかさ、これのどこが忍ぶ者の術なのよ。
    もう一般認識として、遁走する為の術から離れてるのは分かるけどさ。
    ていうか、これ忍術をスペルまで高めたんじゃなくて
    スペルに忍術的要素を足したって感じよね。
    【Stone Rain】だってメインは物質を介していないマナ・魔力の破壊だけど
    相手に直撃させれば、多少のダメージはある。
    完全にそれしか出来ないっていうスペルの方が少ない。
    しっかし、そうなると、次のスペルが予想出来そうで出来ないわね
    律君の事だから、同じ属性の遁術でも何パターンも持ってそうだし
    変に予想とかしない方がいいか。そっちの方が楽しいし。
    ただ、この岩はもう終わりにしましょ。鬱陶しいの嫌いだから。
    ぎゅっと握った手の炎が強くなる。
    黒い炎が新たに宿すスペル。土地のマナとアーティファクトを壊す【Pillage】の熱。
    よし。
    拳を引いて、目標を見定める。
    改めて見ても、上の岩は、もう目と鼻の距離。先に下の方が触れて着地しちゃうわね。
    足。感触。
    やっぱり?
    まぁいいわ。
    私は下からの押し上げを無視し、上から迫ってくる大岩に、炎を宿した拳を叩きつける。
    乾いた音を立てながら、さっきと同じように砕ける岩。
    でも、確実に違う所があった。
    殴りつけた時の感触
    そこから拳に宿した熱が血管を走る血の様に、岩の中を伝う感覚。
    それらは最初に砕いた時には無かったもの。
    今も確かに、感じるもの。
    上手くいったわね。ほいじゃ、下も。急がないと、次が来ちゃう。
    上下の視界が潰されても見えていたもの。いや、別に見なくても感じられるけど。

    新しい魔力の広がり
    竜巻の次をもう用意してきたか
    岩、次が竜巻、ならその次は、氷とか冷気?
    大岩の次が竜巻って事で、遁術回しっぽい感じはするけど
    今の所、意味は無いわね。耐性ダウン的な奴、私に入ってないし。
    まぁ、耐性が下がっていなくても、単純な魔力を持った暴風よりも
    そこに質量と、同じく魔力を持った岩が混ざれば飛躍的にダメージは伸びるし
    相性は悪くないわね。私がまた単純に砕いただけなら、面倒な事になってたかも。
    だから、はよこっちも!
    足元に叩きつける拳。上と同じように砕け散る岩。
    空気が動く、砕いた岩が吸い寄せられていく。
    ただ、もう岩に律君の魔力は無い。
    黒い炎とその熱が、岩が持っていた全ての魔力を焼き切った。
    自由落下を始めた岩が、どんどん竜巻に巻き込まれていくけれども
    渦巻く風から岩が魔力を得たとして、竜巻全体の魔力量が増える訳じゃない。
    こうなるともう結局の所、放った竜巻が強いか弱いか
    どんなスペルをベースにしているかにかかってる。
    さぁ、何で来る!?
    忍具を使用しているせいか、律君の魔力以上は感じ取る事が出来ない竜巻に
    私は興奮を隠さない視線を送る。
    律君は【青】【赤】【白】使い。今の所、竜巻と一緒に炎が上がっている感じはしないから
    【赤】ベースのの可能性は低いけど、炎ではなく熱に特化した
    【Searing Wind】をベースに組んでるかもしれない。
    海の上にある熱持つ竜巻なのに、蒸気が上がってないのは、なんか色々してるから!
    予想はしないけど、想像はする。こうだったら楽しいとかどうしても考えちゃう。
    さぁ、何で来る!何が来る!
    私の両手の黒い炎が僅かに揺れ始める。
    魔力を持った風が、私の肌の上を走る。

    肌に流れていた魔力に僅かな抵抗が生れれる。
    あっ、やっぱそっち系。となると、多分【Sudden Storm】ね。
    魔力の流れを阻害して、猛烈な風で体の自由も奪いつつ
    魔力を壊してダメージを与えるという面も出してきたか。
    元々拘束系は肉体の中の魔力に干渉するし、そこに魔力破壊は相性いいわね。
    雷系じゃないけど、レジストすり抜けてくるわ。
    ちゃんと干渉して流れを止めている魔力はそのままに
    その周囲にダメージて感じで
    拘束力に悪い影響を与えない様にしているのもポイント高い。
    まぁ、でも
    全身に流れる魔力が一段上がる。干渉してくる力をはね除ける。
    日高舞を完全に止めるには、まだまだこんなんじゃ足りないわよ。
    だから、次、当然、あるわよね?

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