第一次偶像戦争 【699】 [ミノリ]
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第一次偶像戦争 【699】 [ミノリ]

2020-09-26 22:59

    うねる炎の中から発せられる、弾ける様な魔力の波
    得物同士がぶつかり合う音すら聞こえてきそうな、固く激しいそれは
    移動しながらなのか、同じ場所には留まらず
    間隔は短いながらも、不規則に発生していた
    魔力の感じ、発生している場所、それと炎の動き
    マズいな、完全に押されてる
    いや、問題はそこよりも、もう既にリナちゃんが接近戦が出来るレベルだという事
    この戦争が始まってから、モモカちゃんも、かなり強くなっているのに……
    【青】
    炎よりも奥、僅かに感じる【青】の軌跡
    炎の中に向けても、海面近くに向けても
    ……あの炎の中でも、カウンター系スペルを通せているのか……
    ……リナちゃん相手に戦闘を長引かせるのは、どんどん不利になっていくから
    最初から接近戦で強引に攻めるのがベスト
    接近して攻めてくるモモカちゃんに対して
    リナちゃんが、引き撃ちの形で火力系スペルを多用し始めたら
    戦場の魔力感知がしにくくなり、ミチオさんのサポートが途切れ
    【黒】系スペルの使用も……という流れが、完全に潰された形になっているんだな
    となると、モモカちゃん的には、先にミチオさんを落としたい所だけれども
    あちらからの接近戦で、進む道を塞がれて
    炎の中から逃げることも許されない状況になってしまっている感じか
    ……したい事をさせてくれないストレスに
    【黒】使い相手への、躊躇の無い接近戦となると
    戦闘の中身だけでなく、モモカちゃんの精神面も、かなりキツそうだ
    出来るだけ頑張って欲しい所だけれども
    【青】相手に盤面が出来上がってしまうと、ひっくり返すのは中々難しい
    もう既に壊れているかもしれないプライドを、更に砕く恐れもあるが
    モモカちゃんが落とされる事だけは、避けなければならないし、ここは俺が動くしかないか
    ……というか、動けるの俺だけなのか
    海面近くで発生する、もう一つの魔力の波
    モモカちゃんよりも遠い位置にあるのに、魔力の強さは
    炎の中から発生するそれよりも強い
    魔力の波の強さに、発生点が変わっていない所から考えると
    あちらはより深刻で、足を動かす事も出来ない程の防戦なのかもしれない
    ……なるほど、あのレベルが限界なのか
    ……今回の戦争におけるユキヒロのスタンスを考えると
    今の状態が続いたり、相手をしているフェイフェイちゃんが更にギアを上げてきた場合
    そのまま負けを選ぶ可能性があるな
    身内だろうと、手の内を晒すリスクは十分に理解出来るし
    モモカちゃんの成長という面でも、誰かが落ちるという経験は一度はあった方がいいが
    今日はちょっと、出来る事なら避けたい
    ここで一気に心労をため込むと、これから先の戦闘での成長に支障が出てくる恐れがある
    やはり、動くしかない
    ナナミちゃんを長時間放置は出来ないから
    ミチオさんを落とす以上は難しいが
    フェイフェイちゃんの動きを直接止めることは出来なくても
    ミチオさんのサポートが無くなり、俺の方を意識させる事が出来れば
    ユキヒロの負担は大分楽になるだろう
    それで逆に本気を出してきた場合は、もう仕方がない
    そこら辺、どう動くかを見極めるためにも
    ナナミちゃんには、もう少し下に居て貰わなければ
    【青】い矢
    その起点がズレる
    バレた。そして、動く先は
    っと!マズい!
    雑に下に投げる【Damnation】と【Hymn to Tourach】
    マズいが、多分もう間に合わない
    あの炎の中に逃げられたら、俺の方は恐らく感知は出来ない
    そして、あの炎の中だろうとカウンター系スペルを投げていたミチオさんは
    俺の方の感知が出来る
    モモカちゃんを巻き込むようなスペルを使えない以上
    俺は炎の中から感じ取れる魔力の波を辿り、何とかモモカちゃんと合流するしかない
    モモカちゃんと直接やりあっているリナちゃんを俺が叩いてしまうと
    間接的に手伝っていたミチオさんを叩く以上
    にモモカちゃんのプライドを傷つける事になるが
    もうそんな事は言っていられなくなった
    俺の存在がナナミちゃんから離れたと分かった以上
    ミチオさんとリナちゃんは即座にモモカちゃんを落とし、俺への対応をしてくるだろう

    ヘビの様に、形を変えていた炎が一気に膨れる
    下に広がる海にまで、炎が接する
    反応が早い。リナちゃんも外の状況を知ることが出来るか
    ミチオさんからの連絡が入ったか
    この炎じゃ、テレパスも無理
    魔力の波の感知も鈍るだろう
    ただでさえ、あちらは炎の中でも目標の場所がわかるのに
    どんどん状況が悪くなっていく
    ナナミちゃんの水から出て、周囲の観察と思考をしたが、それも1秒かそこら
    絶対に2秒には届いていないぐらい
    それなのに、この対応
    きちんと想定していたか、それとも、もう全部罠か
    ただ、もうここまで来たら仕方がない
    モモカちゃんを見捨てることが出来ない以上、罠だろうと行くしかない
    その為には、絶対に一発は耐えて欲しい
    モモカちゃんが、大きな一撃を耐えて、こちらは俺の一撃で全部終わらせる
    やる
    まだ俺の血が残る領域に【黒】の魔方陣が描かれていく
    断続的に続いていた魔力の波が途絶える
    近接で足を止め、その間にモモカちゃんの行く先を、炎が先回りしていた形だから
    ちょっかいが無くなったのなら、モモカちゃん的には、真っ直ぐ外へ出ようと動くだろうか?
    だとしたら、入るよりも、外から魔力の波を感じ取って
    場所が分かった後で、突入した方が迷わないか?
    入るか、入らないか
    炎に突入する直前、俺は急ブレーキをかけて、炎の表面を滑るように移動する
    一連の魔力の波の発生場所から
    モモカちゃんがどちらに向いて逃げようとしていたかは分かる
    とにかくそちら側へ。集中すれば、この炎だろうと
    外からでも魔力のぶつかり合いを感じ取れる筈
    それに、ミチオさんが炎の中を感知出来ていたり
    逆にリナちゃんが俺の状況を分かって対応してきたが
    あれは二人が、炎の内と外に別れていたからこそ出来た芸当なのかもしれない
    もしそれなら、今の俺の状況は二人には分からない可能性がある
    希望的観測むなしく、今も俺の動きが分かっているとしても
    安直な最短距離を取るのではなく、別角度からの攻撃となれば
    何らかの対応の変化が起こるかもしれない
    とにかく耐えて
    一発を、一撃を弾いてくれれば

    近いッ!
    俺はいくつもの黒い刃を携え、炎の中に突入して
    極限まで広げる領域
    引っかかる魔力
    振り下ろされそうな斧
    やら
    せるか!
    黒い刃が飛ぶ
    それと同時に、別の魔力が広がり、俺の領域を弾いて
    ミチオさんの領域
    【青】の魔力
    カウンター系スペルで切り落とされるか
    でも、全てはいくつかは残る、全ては無理な筈、俺の血が入っている
    もし、それでも、万が一、全て切り落とされたとしても
    俺は燃えさかる炎の中、前に放った【Doom Blade】に追いつく勢いで加速して
    攻撃態勢に入っているリナちゃんの命は
    俺とリナちゃんの間に入るように伸びてきた、ミチオさんの領域
    その向こう
    リナちゃんの領域に触れる
    広げてきたという事は、少しでも情報が欲しかったか
    ミチオさんが間に挟まる訳だから、精神への侵入はそちらに行く可能性が高い訳だし
    とにかくここで
    落とす
    魔力を込めた拳が、双方の領域の境界を超える
    落と

    感触




    重く、固い
    ナナミちゃんの魔力

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