第一次偶像戦争 【701】 [モモカ]
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第一次偶像戦争 【701】 [モモカ]

2020-10-01 22:00


     (あー、あー、聞こえる?
      そっちはどう?こっちは終わったわよ。)
    終わった?
    終わり?
    これで
    終わり?
    炎が消える
    空が、海が、わたくしの世界に戻ってくる
    わたくしの意志に関係無く
    わたくしの願いなんて、全く知らずに
     「あーやっぱダメだったか~。」
    強い風の音に混ざっても、ハッキリと聞こえた声は
    負けた悲壮感や、悔しさなんて微塵も無かった。
     「残念ではあるが、きっと何かを得ている事だろう。
      勝ち負けも重要ではあるが
      次に繋げるという事は、もっと大きな意味がある。
      我々も同様に。」
    …………
     「……本当にそれでいいんですの?
      皆さまだって、勝たせようと頑張っていたんじゃ……。」
    わたくしは舞様を勝たせたくて……。
    …………
    ……勝たせる……
    ……でも、わたくしの力なんて……。
     「勿論、勝ってほしいとも思っていたし
      勝つ事が出来たのなら、それはとても喜ばしい事だったのは間違いない。」
    意識の焦点が、ミチオさんの声に引っ張られる。
    あぁ、またわたくしは、俯こうと……
     「しかし、今回の戦争における現実的な強さや、意義を考えた場合
      我々が舞さんに勝つという目標を達成するには
      実力を超えた運や、緻密な策が必須で
      ともすれば、漁夫の利を狙う様な動きをする事が、推奨されてしまっていた。
      それでは一番大事な部分を落としてしまう事にもなりかねない。
      我々はそれを選ばなかったというだけだ。
      モモカ君とは、そもそもの立場が違うという事だろう。」
    立場。
    わたくしの立場。居る場所。
    それに意味はあるのでしょうか?
    舞様は何でも出来る方。
    むしろ、わたくしの様なものが近くに居るせいで
    舞様の評価が下がっているのでは……。
     「そそ。アタシ達だって、そーゆーノリだったしねー。」
    あぁ、やはり……。
     「……本気をだせば、わたくしなど、すぐに落とせた……という事なんですね……。」
    わたくしは必死だった。
    けれども、刃を交えたリナさんは余裕があって
    遠くに見えるミチオさんだって、本気を出していない様に見えた。
     「2対1だかんね~。ま~そこは、しゃーないっしょ~。」
    2対1。最初から数の上での負けているという事実。
    ……でも、それを舞様はひっくり返した。
    誰であろうとも、何人で来ようとも、舞様が負ける事は無かった。
     「……こういう事を部外者が言うのは間違っているかもしれないが
      あまり自分と舞さんを比較するような事はしない方がいい。」
    わたくしを慰める様な言葉と声色。
    ただ、今のわたくしには、とても苦くて、とても辛くて……
     「……舞様と比べるなんて……
      ……わたくしは、そんなおこがましい事が出来る立場じゃありません……。」
    わたくしは、居ても居なくてもいい存在ですらない。
    わたくしは、居ない方がいい存在。
    舞様に関わる者であるのに、舞様の足を引っ張り、舞様の評価を下げている。
    わたくしに、舞様の眷属という立場である資格は無い。
     「だが、舞さんの眷属である以上、全く意識しないという事も難しいだろう。
      モモカ君は責任感が強い様に見えるし
      自分がどう思うか、舞さんにどう思われているかだけでなく
      周囲からどの様に見られるか所まで、考えてしまっているのではないか?
      もし、違っていたのなら、申し訳ない。」
    …………
     「……実際に、わたくしは力も意識も……何もかもが足りていない訳ですから……。」
     「足りていない事は、そんなに悪い事なのだろうか?」
    ……言葉が出ない。
    わたくしの心にのしかかる重さが、わたくしの喉を潰してる。
    えぇ、そうです。悪い事ですと、言わなければならないのに
    それを言った瞬間、また、何かが崩れ落ちて、もう手の届かない所に行きそうで。
     「立場上、我々は眷属という事になっているが
      そこに明確な上下関係はあまり無い様に私は思う。
      特に舞さんは、周囲からの評価という面で、利があるか無いかという基準で
      関わる者を選んでいる訳では無いだろう。」
    そんなことは……
     「……そんな事は、分かっています。
      けれども……。」
    居ていいから。居たいから。
    それでは足りないのです。
    悔しいのです。
    もっと舞様が胸を張れるように。
    舞様の弱みではなく、誇りになれるように。
     「けれどもと思う気持ちは、立派なものだと思う。
      だからこそ、今ここで、これから先まで決めつけないで欲しい。
      舞さんも、敗北を経験している。
      そもそもこの戦争の発端も、あの敗北が原因かもしれない。」
    敗北。
    舞様の、敗北。
    舞様も負けている。常に勝ってきた訳じゃない。
    でも、それを拠り所にするなんて。
    少し遠くに感じる魔力
    黒い【Damnation】の球体
    わたくしには……
    ……わたくしには……

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