第一次偶像戦争 【715】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【715】 [水瀬伊織]

2020-10-28 22:22

     (もう慣れたものね。)
    上空からのカメラに、車内からの映像、そしてゲンブの内にある程よい緊張感。
    それら全てを眺めながら、さっき終わった戦いの情報を纏める。
     (貴重な経験を積むことが出来ていると実感してます。)
     (じゃあ、今回は最終的な判断まで、全部ゲンブに任せようかしら。)
    半分冗談で、半分は本気。
    そろそろ分かりやすい利や損を超えた判断と
    そういった不明瞭な問題に対して出した答えに
    自ら責任を負うという事にも慣れていってほしい。
     (……そういった事が出来る段階まで、自分が成長しているとは思えません。)
     (成長してようとしていなかろうと、戦争やってれば勝手に向こうからくるものよ。
      こういった問題は。)
     (……つまり、拒否権は無いのですね。)
     (拒否権は無いけど、責任は私が取るから、アンタの好きにしなさい。)
    まぁ、最初だし、そして唐突だしね。
     (お二人への質問等も、伊織様からはなく、俺の方で自主的に考え
      聞かねばならないのでしょうか?)
     (そうして欲しい所だけど、向こうが私に聞いてくる事もあるだろうから
      臨機応変にって所ね。)
    微妙にあやふやな所があるのは苦手でしょうけど、これも練習よ。
     (……承りました。)
     (まぁ、頑張りなさい。)
    偉そうに言ってるけど、正直、ミカとリカに対して強さ的な面で私が上だから、というだけで
    私も対等な立場での交渉みたいなものは慣れてないのよね。
    ていうか、私達がどういった存在か認知している者同士の交渉自体
    戦いに勝利した後の処遇をどうするかぐらいしか。
    どの次元だろうと、ここまで派手に長期間動いた事も無いし、私も初めて尽くしだわ。
    他の次元を旅した時の経験が生きる部分もあるけれども
    あっちはプレインズウォーカーっていう立場を隠さないといけないし
    向こうもこっちが旅人って事を分かってるから
    交渉といえば、せいぜい仕事の内容と報酬に対するものぐらい。
    それでも、前に出て知らぬ誰かと物事を取り決めるっていう経験があるのと無いのとでは
    やっぱり差はあるわよね。
    そういう意味で、今回は知り合い同士なんだから、やり易い所はあるでしょ。
     (それにしても、何の用かしらね。)
    早々に隠れるのを止めてたし、状況が状況だけに
    私達の所に合流の願いっていう線が強そうね。
    ただ、一気に情勢が動いている事を肌で感じたでしょうし
    情報だけが欲しかったりする可能性も十分に。
    他は……
    ……流石にミクみたく、強くなりたいから相手になってくれっていうのは無さそうね。
     (これから先、こういった交渉事が増えそうですね。)
    ついさっきまで行われていた
    律とサイネリア対日高舞の情報を纏めているミヤコが話しかけてくる。
     (スーパーかわいい伊織ちゃんの元にどれだけ集まってくるかしら。)
    自信たっぷりという風に言ってみたものの、正直そこまで集まるとは思えないのよね。
    一番私が情報を持っている事は間違いないし
    選択肢としては上がってくるでしょうけど
    残り少ないとはいえ、生活するっていう部分を考えると……。
    確証は無いでしょうが、私と麗華の繋がりを察しているというか
    想定している子も多いと思うから、行くなら麗華の所よね。
    衣食住、特に食事関連は絶対にいい物がでるっていうのは、強いわ。
     (……番長さんはお二人が合流したいという意思を伝えてきた場合
      どう判断するおつもりですか?)
     (内緒よ。そこも含め、アンタが決めなさい。二人の今後を。
      まっ、別の要件の可能性もあるでしょうし
      決めるのが嫌なら、今から合流したいという話じゃない事を祈ってなさい。)
     (……委細承知。)
    ミヤコの感情。今のゲンブの状況を少し楽しんでるのが分かる。
     (次はミヤコ、アンタが交渉役だから、覚悟しときなさいよ。)
     (えっ!?なら今のうちに身辺調査とかしっかりしとかないと!)
    驚きと同時に、妙な興奮がミヤコに芽生える。
    こういうのはミヤコの方が得意かしら?
    ……いや、まだ分かんないわね。相手ありきなんだし
    向こうがこちらに、どういった印象を持つかっていうのも大事。
    さて、どうなるか。どう転ぶか。
    あと数分で、二人は私の基地に到着する。
    ゲンブが予定位置に着くのは、その1分前。
    …………
    ……それにしても、ミカとリカの二人か……
    ……これ、私達の所に合流したとして、その事を麗華に話しておくべきかしら?

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