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第一次偶像戦争 【739】 [東豪寺麗華]
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第一次偶像戦争 【739】 [東豪寺麗華]

2020-12-16 22:44

    体の感覚。流れる魔力。いつでも戦える様に熱をもっていたそれらが
    目の前の光景により一瞬で研ぎ澄まされ、硬度を持つ
     「行くわ。」
     「分かった。私も動
    後ろから聞こえる声の最後が消える。
    静かに、けれども速く、早く
    見える背中を、サチコちゃんを貫く槍を持つ者を
    私が狙う者の向こう
    貫かれた体が飛ぶ
    サチコちゃんの上半身が舞う
    そのまま間髪入れず、魂を捕縛するルーンがサチコちゃんの上半身を包み込む
    抜けられるぐらいの力は十分残ってるでしょうに、全く抵抗しない辺り
    上手い具合に終わるチャンスを得たぐらいに思ってるかもしれないわね
    サチコちゃんはこれで退場
    これで終わり
    集中している意識の外側で、また妙な感情が芽吹く
    一体何なのか、確かめる間は無く、私は拳を構えて
    水谷絵理の領域
    そこに私の体が触れた瞬間、私も領域を展開し、体にも大量の魔力を流す
    槍の柄。水谷絵理の体。同時に動く
    この状態。有利不利で言ったら、私が不利ね
    得物を握っている水谷絵理に対し、かたや私は無手の状態だもの
    まぁいいわ
    振り返る水谷絵理と目が合う
    変わらない瞳。何もかもを見透かした様な視線
    そこに向けて私は拳を放つ
    拳に乗る魔力と、跳ね返ってくる衝撃
    私が叩いた白銀の柄は、握られた手をそのままに数メートル先に移動していた
    ふむ、こんなもんか
     「意外?」
    束縛された日高舞を後ろに置いたまま、水谷絵理はそう言って
     「まぁ、そうよね。」
    私がサチコちゃんを好いていない事は水谷絵理も知っていたでしょうし
    私と伊織が出てくるタイミングは
    サチコちゃんと舞さんの処理が終わったタイミングだと考えるのが自然
    ただ、今も、さっき殴りかかった時も驚いていなかったし
    言葉とは裏腹に、現実的なレベルで想定はしていたんでしょうね。
    そこまで私が読むと分かってて、わざわざ口にする辺り、本当に変わってないわね。
     「サチコちゃんと一緒に居て絆された?」
    静かな声とは裏腹に、ニィと笑う表情には、嘲りの色が混ざっていて。
     「勝手に解釈すれば良いわ。」
     「それは困ります。ボクも興味がありますから。」
    封じられようとしているのに、サチコちゃんは呑気に話しかけてきて。
    口から漏れるため息。その主成分は『面倒くさい』なのは間違いない。
     「もっと早く終わると思ってたわ。」
    本当に。
     「ボクも意外でした。楽しめていたんだと思いますが
      麗華さんを相手にしていた方が好みですね。」
     「そりゃどうも。」
    水谷絵理の表情が更に歪む。
     「絆されたどころじゃない?もう深い仲?」
    だからなんなのよ。そんなに面白い事?
     「クラスメイト以上ぐらいにはなってるんじゃない?
      単純な関係じゃないから、当てはめにくいわ。」
     「涼さんのオマケ以上になっている様なので、満足しておきます。」
    思いのほかサチコちゃんのハードル低かった。
    まぁ、前の私だと、殺意と羨望と嫉妬ぐらいしかサチコちゃんには向けてなかったろうし
    サチコちゃん的には大きな前進なのかもしれないわね。
    私的には正直、殺意も羨望も嫉妬も、前と変わってる様な感じはしないけど。
    ……だから、変わったとするならば、別の感情が出てきてるって事ね。
     「へぇ……
      ……それで、出てきたのは仇討ち?」
     「正真正銘の仇討ちなら、こんな会話してないと思うわ。」
    会話をするとしたら、四肢を捥いで地面に転がしてからでしょうね。
     「じゃあ、わたしを殺したいから?」
    水谷絵理が浮かべる笑みは変わらない。
    でも、今その笑みの下にある感情は、さっきまでのものとは明らかに違う。
     「恐らく、そういう事ね。」
    恐らく
    ……もし不意打ちをしたのが律子なら……別の……
    …………
    ……それでも出たでしょうね。
     「サチコちゃん。」
     「はい。」
     「クラスメイト以上って言ったけど、もっと上かもしれないわ。
      何やかんやあって、結構気に入ってるみたいね。私。」
    水谷絵理の感情が一瞬戻った気がした。
     「ありがとうございます。」
     「けれども、サチコちゃんの望むようには動けないと思うわ。」
     「では、そこはまた次の機会に。」
    機会。
    時間。
    ……本当にあるのかしらね。
    …………
    ……なんかもう、色々やっちゃってもいい気がしてきた。
    丁度、水谷絵理が居て、日高舞が居て、サチコちゃんも居る。
    あとは、四条貴音と……律子はどうだろう?
    …………
    ……どうでもいいわね。
    さてと、それじゃあ、あと確認しておかないといけない事は……

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