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第一次偶像戦争 【774】 [シュウコ]
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第一次偶像戦争 【774】 [シュウコ]

2021-02-26 22:11

    静かな部屋に満ちる、圧。というか重さ。
    空気じゃなくて、水か鉛でも満ちてるんじゃないかな、これ。
    強めの監視をされてるって事だけろうけど、さっきみたく
    見られてる方向は分かんないわね。
    後ろに感じた気配は、やっぱりわざとだったか。
    もう城門を潜った段階で、あたしに逃げ道なんて無かった訳ね。知ってたけど。
    しっかし、この警戒のキツさ。昨日、あれから舞さん相当ヤバかったっぽい?
    命からがら逃げ出してきたとか、そんなレベルだったり?
    『負けるかもしれない瞬間があった』と
    『逃げる事だけは成功した』の違いは、やっぱ大きすぎるよね。
    で、そんな時にノコノコやってきた私は、他の連中尖兵の可能性もある訳だ。
    こりゃ締め上げられて、拷問でもされるかな?
    まぁ、この戦争のルールだと、そこら辺は微妙なラインだよね。
    洗脳に近いものや、主従の魔力的繋がりを書き換えるタイプのスペルは禁止だっけ。
    アバウトな所で、戦闘以外で本人の意思をねじ曲げる様な行為は禁止って感じ。
    ただ、拡大解釈はやろうと思えばできるわよね。
    椅子に縛り付けるけど足だけは拘束しないで、蹴りを入れられる位置に拷問官が居るから
    これは拷問ではなく戦闘みたいな感じで、無理を押し通す事は出来るっちゃあ出来る。
    裁判やってる訳じゃないし
    身内のからの評価はガタ落ちするから、やんないとは思うけど。
    ん~、ホントここまで来たら、殺されるか入れてくれるかの二択なんかな?
    でも、今回の相手は舞さんな訳で、モモカちゃん達が心配とか無視して
    ムチャクチャな判断をしてくる可能性もあるわよね。
    弱ってるから来いって、りっちゃん辺りに伝えてとか。
    本来なら、あたしをここで帰すと、そういった情報が
    外部に漏れるかもしれないから、殺すしかない訳で
    逆にそれを望むのなら、私の動きを縛らないといけないし、身内に入れた方が確実。
    ……やっぱ中途半端な所は無いかな。
    ……ホント、どうなるか。
    ……今感じる重さに舞さんの色みたいなのが無いから
    周囲の方が過敏になってる可能性が高い。
    そう考えると、希望は十分。けれども、それは相手がマトモな思考の持ち主なら。
    素面の舞さんがマトモかと言われたら、100%マトモでは無いし、結局答えは出せないわね。
    音。扉の向こうから、こちらに近づいてくる靴音。
    いよいよかな。
    そして、このリズム。
    浅く息を吐く。多分、こっから先否が応でも緊張する。
    靴音が扉の前で止まる。直後、閉じれていた扉が動いて。
    ……やっぱりか。
    ドアノブを回し、入ってきたのは、日高舞本人。
     「やっ!なになに?うちに来たいって?」
     「はい。昨日はアレでしたけど、まぁアタシもたまたま行った先がって感じでしたし。」
    少しの安心は、あたしを驚かすために扉を蹴破ったりするんじゃないかと想像してたから。
    あと、いつもの舞さんと変わらないってのも。
     「昨日歌ってたし、絵理ちゃん側だったわね。
      なんでわざわざ私の所に?
      アリスちゃんたちと一緒に行くって選択肢もあったでしょ?」
    なんか凄いマトモで、逆に驚いちゃってる自分が居るわね。
    そして……
     「あたし途中で逃げちゃったんですよ。
      なんで、舞さんがどうなったかも正直分かんなくて
      今はまぁ、察してますけど。」
    ニィと笑う。日高舞が、笑う。
     「見逃してもらったのよ。情けないものね。
      だから、勝ち馬に乗ろうってんなら、私ん所は結構危ういわよ。」
    さっぱりとした受け答えに、少しの悔しさが滲んでる。
    でも、笑みは変わらない。日高舞は、笑ったまま。
     「そこら辺は興味ないんで問題ないです。
      正直、消去法で選んだな所もありますが
      まぁ、なんていうか、舞さんに相談したいことがあるってのも。」
     「相談?それは入るか入らないか決めないと言えない事?」
     「あ~、全く関係ないですが、興味ありそうですし、交渉の材料で。」
    変わらぬ笑み。でも瞳の焦点があたしに合わさる。多分、初めて。
     「んじゃ、聞きましょ。」
    おっ、当面の寝床は確保できた。
     「実は、あたし今ミクちゃんに殺意抱かれてるんですよ。
      この戦争関係なく、めちゃくちゃな。」
    興味の色。少し薄い?もうちょっと引っかかってくれるとと思ったのに。
     「へえ、なんでまた?」
     「色恋沙汰の逆恨みですね。
      あたしとケイさんが居るのが気にくわないみたいで。」
    さっきより釣れてはいるけど、期待してた程じゃない。
    言い方マズった。あたしもちょっと余裕なかったり?
     「それで殺されかけるって相当ね。」
     「ミクちゃんの狂った所に触れちゃった感じですね。
      相談っていうのは、その対処です。
      八つ当たりしてくる相手との関係構築。
      あくまでベースは恋愛関連なんで、そこら辺の経験値とか考えると
      舞さんしか居ないかなぁと。」
     「殺して消しちゃう気は無いの?」
    軽い。でも、本気で。
     「ん~……今ん所ないですね。
      変な話、前のミクちゃんより、今のミクちゃんの方が好みかもしれないですし。」
    そう?
    ……かも。
     「おちょくりやすいから?」
     「そこもありますね。あとは、優等生もやっぱそういうのあるんだなって。」
     「今までせめる側だったのが、反撃食らって驚いてるだけってオチじゃないわよね?」
     「それも大きいんでしょうね。
      ただまぁ、ミクちゃんのアレはあたしが死んでも終わりそうにないですし
      着地点がミクちゃんも分かってないというか
      今の所なさそうなんで、そこら辺の誤魔化し方のアドバイス求むって感じです。
      いきなり殺されかけて驚きましたが
      今はあたしも殺されてもしゃーない事したんで
      ミクちゃんの殺意に関しては、まぁ納得してる感じですね。」
    さくさくパンダの件があたしの予想以上だった可能性もあるけど。
     「私よりも圧倒的に絵理ちゃんに相談案件じゃない?」
     「そうなんですけど、絵理ちゃんに相談しても、結局
      面白さと面倒さの天秤って所に落ち着きそうなんですよね。
      だから別の視点が欲しくて。出来るだけマジメでない人の。」
     「あー、そりゃ私になるわ。」
     「分かって貰えた様で。」
     「ん~……んじゃ、こっから先はお酒入れましょ。
      戦争終わるまで飲まないのもアリかなと思ってたけど
      お土産をないがしろにするのもね。」
    おっ。
     「よかった。てっきり処分されるかなって思ってました。」
     「しないしない。んな勿体ない事出来る訳ないない。」
    舞さんは楽しそうで。
    ……やっぱり、負けた事を引き摺ってるのかな?ほんの少しだろうけど。

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