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第一次偶像戦争 【796】 [三浦あずさ]
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第一次偶像戦争 【796】 [三浦あずさ]

2021-04-10 22:00

    えっと……名前……名前……。
    ……私の能力って、何というか、もの凄い量の魔力を取り出せる……これでいいのよね?
    プレインズウォーカーの皆は、多かれ少なかれ
    次元の裂け目からの魔力の供給を受けているけれども、その量が私だけおかしいとか
    次元の裂け目からの魔力に頼らない、魂とか肉体側からの魔力回復量も
    私だけ桁が違うとか……
    ……他の皆と違って、何か特殊な動きが出来るみたいな事は無いし
    私にとってはこれが当たり前で、普段から意識している訳でもないから
    聞かれて答えて、自分でも初めて分かった部分。
    愛着みたいなものがあるかも正直分からないし……名前って言われても……。
    名前……
    ……名前……
     「あずさちゃん、そろそろいいんじゃない?」
    えっ?
    あっ
    飛ぶのを止めて、ふり返る。他の皆も同じように止まって、私を見てきて。
     「えっと……ここ……どこでしょう?」
    どれぐらいの距離を飛んだのか、どの方向に家があるのか
    目的地を意識しても、いつの間にか別の所へ行ってしまっていたのに
    別の事を考えてしまっていたら……。
     「距離的な話なら、もう十分離れたわよ。
      ……まさか家を出た理由も忘れてないわよね?」
    呆れが半分。もう半分は、本気の心配というサナエちゃんの声。
     「えっと……大丈夫。ちゃんと覚えてるわ。」
    練習とはいえ、これから戦うという事。ちゃんと覚えていた。
    ……そう、これから私は戦う……。誰かを傷つける……。
    ……能力の名前の件が無くても、どこかへ飛んで行ってしまっていたんでしょうね……。
     「よかった。
      それじゃあたしら巻き込んでスペル使ってね。
      あっ、シロウ君は離れておいて。人質がわり……は厳しいか。」
    進む話。その内容。その意味。最後に添えられた酷い言葉。
     「まー確かにな。
      でも、マジで向こうがオレを人質として使ってきたら、どうすんの?」
    シロウ君の言葉で、視線が再び私に集まる。
     「えっと……私が決めないといけない……のよね……。」
    だって、私は皆を率いているリーダーだから。
    私を無視して勝手に決めると、それはそれで問題になってしまう。
     「まー、そうなるわね。
      ……面倒なら切っちゃえば?」
    サナエちゃんの言葉が軽い。さっきの人質も、今の切ってしまえも。
     「そんな……。」
     「オレは別にそれでも構わねーぜ。
      恨むとかもねーし。」
    シロウ君の声の重さは、サナエちゃんと一緒。
    ……じゃあ、重くとらえているのは私だけ?
    フミカちゃんは?セイジさんは?ヒデオさんは?
    …………
     「……人質を取ってからの要求……によりますが
      見捨てる事は無しでいきましょうか~。」
    もしかしたら、そうやってあちらから非道な事をされれば、戦えるかもしれないから。
    ……こうやって、私もシロウ君を利用してる。
     「分かった。
      他にはある?待たせちゃってるし、少しでも時間かかりそうなら
      声かけないとアリスちゃんに怒られそうで怖いわ。」
    ぐるっと全員を見回したあと、サナエちゃんの視線が私で止まる。
    見抜かれてる?それとも、私の言葉が無いと動けないから?
    どちらにせよ、早く言わないと。
     「その……さっきサナエちゃんが言っていた
      私のスペルに皆を巻き込むというのは……。」
    ともみさん達が合流する前に出ていた話題だから、それ程驚きはしなかったけれども
    まさかこんなにすぐにとは……。
     「このチャンスを逃したら、多分、次はいきなり実戦よ?
      正直、さっきはあたし達をナメるなって言ったけど
      相手を焼き切るレベルのあずさちゃんのスペルを
      本番でいきなり食らうっていうのは、ちょっと不安だから
      突然本番が来て、連携も連絡も出来ない状況でも
      想定と覚悟ぐらいは出来る様、あたしの為に、今日やってみて欲しいのよ。」
    サナエちゃんの為。そして、私の為。
     「……分かりました。」
    喉が空気を揺らして、言葉が音として伝わる。
    その反動が、喉が生み出した振動の喉側の波が
    大きくなりながら私の体を、全身を走り両手に集う。
    手の震え。照りつける太陽の下なのに感じる肌寒さ。
    ミスをしてはいけない。ミスをしたら、間違いを犯したら、私が死ぬだけじゃ終わらない。
     「大丈夫、あたしらあずさちゃんの眷属よ?」
    少しだけ下がっていた目線が上がる。シロウ君も含め、皆頷いて。
    ……それでも怖い。やりたくない。
     「んじゃ、あたし行ってくるから。
      シロウ君も変な疑惑かけられたらアレだし、向こうと一緒でいいでしょ。」
     「おう。」
    サナエちゃんとシロウ君が動く。
    二人ともふり返って、少し離れた場所で待機している、ともみさんの方へ向く。
    止める?
    迷っている間に、二人のの背中は遠くに行ってしまって。
    ドクンと強く心臓が動く。
    さっきとは違う波が、私の全身を伝っていく。
    いつの間にか手の震えは止まっていた。

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