ユーザーブロマガは2021年10月7日(予定)をもちましてサービスを終了します

第一次偶像戦争 【798】 [三条ともみ]
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

第一次偶像戦争 【798】 [三条ともみ]

2021-04-14 22:00

     「それでは、適当な距離を取ってから合図しますね。」
     「……はい。」
    重い声でつくられた返事に、私に向けられる切羽詰まった表情。
    無いとは分かっていても
    ここで私を退場させる罠が隠れているんじゃないかと感じてしまう。
    普通ならそう。戦闘とはいえ練習なんだし、そこまで緊張するものじゃない。
    でも、あずささんの場合は……。
    ……あまり深く突っ込むのはアレだと、分かってはいるけど……。
     「……気楽にとは難しいかもしれませんし、楽しんでとも言えませんが
      アポ無しで訪れた後ろめたさの様なものが無ければ
      私の方から、こういったお手合わせをお願いしていたと思います。
      ですから、今回も私の我が儘に付き合って
      無理矢理巻き込まれたと考えて貰っても構いません。
      その上で、あずささんは、あずささんのペースでやって貰えれば。
      こういった練習試合は、試行錯誤や、問題点の発見を目的としたものですし
      あずささんにも何か、やってよかったと思えるものを残せるよう、頑張りますね。」
    長いフォローに添える笑顔。
    少しでもあずささんの緊張を取ることが出来ればと思ってやった行動。
    でも、とれた緊張は本当に少し。というか、緊張に追加で恐縮もさせてしまった様で。
     「それでは、今度こそ。」
    あずささんに軽く頭を下げて、私は一気に距離を取る。
    萎縮しているのを無理矢理奮い立たせようとしている様に見えたから、声をかけたけれども
    本当に裏があった場合だと、マヌケこの上無いわね。
    ああいった風に、ただの練習試合な筈なのに、普通とは違う空気を纏っていても
    それが罠かどうかの確信が持てないというのは、いかにもあずささんといった感じ。
    ……本当に殺してくるのなら、さっきの言葉は牽制になったかしら?
    あずささんの良心みたいなものを刺激は出来たでしょうが……
    ……まぁ、本当に退場させようとしていたとしても、それは覚悟の上。
    本気の殺し合いでしか得られないものもあるだろうし
    結果的に私にとって、この戦争からの退場よりもプラスが大きければ十分。
    アリスちゃん達には悪いけれども、弱い主によしみみたいなもので
    ずっと付いていくというのも、いい結果に繋がるとは言いがたい。
    急遽私の所へ来た身なのに、皆献身的に頑張ってくれたから応えたくは思うけれども
    今の私の実力では、どうしようもない部分というものは確実にある。
    本当の殺し合いで、そういった自体が起こらない様に強くなっておきましょうというのが
    一応、この戦争の建前としてあるから
    このまま罠に引っかかって潰されて
    実体験として、強い悔恨を自身に刻んでおくというのも悪くない。
    ……うん、どんな結果だろうと、勝ち負けの割り切りは出来ると思う。
    終わりは納得出来そう。じゃあ、過程の方は……。
    ……う~ん過程……過程……さて、どうしたものか。
    準備は出来てると答えて、今まさに開始までのカウントダウンの最中。
    ただ、私の言った準備というものは心の平静とか覚悟みたいなもので
    戦術的な面では、全くに近い。
    というか、そもそも、あずささんの戦い方の基本はスペル戦だから
    そこをろくに考えてなかった私の大きなミス。致命的と言っていい。
    どうしてそうなったかというと、サナエさんがいい機会と言っていたし
    何となく接近戦の練習相手みたいな感じだと勝手に想像して
    そっちメインで考えてしまっていたのよね。
    まぁ、正直、範囲系スペル連打への明確な回答がろくに思いつかなかったから
    まだこうすればいいんじゃないかという動きや対応が出せて
    そこから更に詰められる、接近戦への回答に逃げた節はある。
    ……さてと、本気でどうしようか。
    只管防御系スペルに打ち消しを構えて接近戦?
    あずささんなら、それでも行けそうだけれども【白】【緑】使いと考えると
    接近戦こそヤバいのよね。
    あずささんがそこら辺を慣れていないとしても
    一撃を貰った瞬間終わるみたいな事は十分に考えられる。
    ……やっぱり【黒】系スペルでの中~遠距離戦が一番安定かしら。
    そこからスタートして、あずささんの防御系スペルの技量を測っていく感じ?
    ……防御系スペルに長けた【白】と【緑】を相手に
    私の【黒】系スペルがどこまでいくか……。
    ……なる程、キャスタータイプの【白】【緑】使いって大概だわ。
    弱点は……攻撃系スペルがかなり大味だったり、条件が入る【白】系か
    マナ効率が怖ろしく悪い【緑】だから、細かい調整のしにくさと、魔力の枯渇?
    ……魔力の枯渇に関してはあずささんは問題無いし
    調整云々だって、結果的に対象を倒す事が出来ればいいんだから
    そんなもの全部無視して、圧殺してしまえばいい。
    なんというか、あずささんだからこそって戦い方ね……。
    ……ホントどうしよ。……とりあえず私も手探りでいくしかないか。

    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。