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第一次偶像戦争 【799】 [三浦あずさ]
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第一次偶像戦争 【799】 [三浦あずさ]

2021-04-16 22:22

    ともみさんが振り向く。私に向けて手を振る。
     (私は準備できました。あとはあずささんのタイミングでどうぞ。)
    タイミング。私の。
    それで始まる。
    戦いが、始まってしまう。
    ともみさんへの返事よりも前に視線が泳ぐ。
    泳いだ視線は定まらず
    それどころか後ろに居るサナエちゃん達の方にまで振り向いてしまう。
     「あずさちゃーん、頑張って~
      あたし達も頑張るから~。」
    声。内容を理解するよりも前に、その音に反応してびくりと心が動く。
    振り向いた瞬間、サナエちゃんは私に声をかけてきた。
    私の瞳がサナエちゃん達を視界に捉え、そこに焦点を合わせるよりも前に
    私の内側を見せる前に、私の背中を押してきた。
    きっと、サナエちゃんは分かっていた。私が振り向くって。
    どうにか止められないか、助けを求めて来るって。
    …………
    ……止められる筈はないのよね。
    ともみさんももう動いているし、サナエちゃん達だって準備をしている。
    私が体調不良で倒れたりすれば違うんだろうけれど……。
    ……それをやってはいけない……のよね……。
    嫌なら嫌と、出来ないなら出来ないと、しっかり言えば、伝えれば。
    ……そして、その結果、本当に大事な時に何も守れなくなって……。
    …………
    ……
    また動悸がおかしくなってくる。
    本当の戦いでも、こんな事は無かったのに。
    自分の手で、大切な人を傷つけるかもしれないって、本当に……本当に……。
    …………
    ……
     「いき……ますね……。」
    自分の声で自分が戸惑う。
    絞り出した様な呟き。こんなの戦う前に出す声じゃ
     「どうぞ~。」
    ともみさんのはつらつとした声が、真っ青な空に吸い込まれていく。
    聞こえた。という事は、始まってしまった。私が、始めてしまった。
    …………
    ……
    ともみさんは動かない。開始はされているけれども、まだ私を待ってくれている。
    …………
    歪な鼓動に乗せて、歪に展開される魔力。
    ともみさんは……まだ動いてこない。
    私は魔法陣を描くのは得意じゃないから
    そこを狙って攻撃してくれば、きっとそのまま倒せるのに。
    …………
    私達側の目的。私のスペルに、皆が耐えられるかどうか。
    …………
    魔力が共鳴し、それと同時に空間が揺れる。
    召喚者と被召喚者との間にある繋がりが道を示し、その道に沿って
    私の魔力がサナエちゃん達の方にも強く流れ込む。
     (だ、大丈夫かしら~?)
    召喚契約によってかなり軽減されるとはいえ
    強い他人の魔力を領域内に取り込むって気持ちがいいものじゃない筈。
     (ん~、あたしは今の所平気。他の皆もそうよね。)
    嘘だと感じない大丈夫という返事を、どうして私は残念に思っているんだろう。
     (えっと……コントロールの方はどうかしら?
      私のスペルへのレジストとして使うなら、領域外側とか
      細かく調整しないといけないわよね~。)
    契約上、流した魔力のコントロールは
    途中からサナエちゃん達に移っている筈だけど……。
     (そっちも平気かな。ただもの凄く重いわね。素直だけど反応が悪いというか。)
     (ごめんなさい~……そんな所まで私に似なくていいのにね~……。)
    やっぱり反応が悪いのね……せめて魔力ぐらいは機敏に動いてほしかったわ~……。
     (そもそもプレインズウォーカーの魔力って特殊だからそのせいもありそうね。
      まぁ、とりあえずこっちは問題なし。続けて大丈夫よ。)
    続けて。
    続き。
    ともみさんはまだ、魔力も展開していない。
    ……続けちゃって、大丈夫……なのよね?
     (あの……ともみさん、もう始まってる……んですよね?)
     (えぇ、私としても、あずささんのスペルというのを体感してみたいので
      最初のスペルは貰う方向で行ってみます。
      そこら辺、ちゃんと決めてから動いた方がよかったですね。
      混乱させてしまい、すみません。)
     (はっ、はい~。急いで描きますね。)
    急かされた訳では無いけど、ともみさんのしっかりとした声を聞くと焦ってしまう。
    それに……本当に大丈夫……なのかしら?魔力を展開しなくて……。
    ……あら?そういえばともみさんの魔力は……
    ……それに、最初のスペルとは言っても
    肉体側への干渉が強い【Wrath of God】系か
    魔力やマナへの影響力が高い【Armageddon】系で対応も全然……。
     (あっ、あの~……【Wrath of God】と【Armageddon】のどちらがいいですか~?)
    一体何を言っているのか、自分でもわからなくなりそうな言葉。
     (出来れば両方でお願いします。)
    りょ、両方!?
    ほ、本当に大丈夫かしら?
    えっと……順番的には、肉体を失った状態で魔力を壊される方が大変だから
    先に【Armageddon】で次に【Wrath of God】の方……で、いいのよね?
    ……ダメね。私の判断だけじゃ信用できないし
    何かが起こってしまうのは本当に避けないといけない。
    ……これも確認をとっておきましょうか……。
     (えっと……先に【Armageddon】で、次に【Wrath of God】でいいでしょうか~?)
    何を聞いているんだろう?自分で言っておいて、もう何がなにやら……
     (私はそれで構いません。よろしくお願いします。)
    お願いします。
    お願いされます……
    ……されました。
    …………
    私の領域から魔力が紡がれる。
    【白】い【色】をもった魔力の糸が絡まり合い、形を成していく。
    いいのよね?
    本当に、皆、これでいいのよね?

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