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第一次偶像戦争 【800】 [三条ともみ]
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第一次偶像戦争 【800】 [三条ともみ]

2021-04-18 22:44

    ゆっくりと丁寧に描かれていく魔法陣。
    その構造はシンプルで、ほぼデフォルトの様に見えた。
    数少ないイジってある所は、スペルの出力と魔方陣の強度に関する部分?
    それもカリカリにチューンしている感じじゃなくて
    シンプル……というか、素朴といった感じ。
    出力に関する部分は、魔力の効率を無視して
    とにかく基本威力を上げましたみたいな感じだし
    強度に関する所も、カウンター系への対策を強く打ち出しているとかでは無く
    単純に魔方陣に魔力を流す時に、流した魔力が溢れたり、魔方陣が壊れたりしない様
    ガワを厚くして対応しましたというもの。
    普通なら、ああいった魔方陣を見た場合、スペルの扱いに慣れていないと見て攻めるか
    罠かどうかを警戒しつつ確かめる方向に動く。
    ただ、ことあずささんに関して言えば……。
    …………
    ……魔力を紡ぐ段階で、細い流れをより合わせると言うより
    もの凄い粘度の高い……そう、熱した飴みたいな
    重くて固いけれども、力で何とか形を変えることが出来る塊から
    引きちぎる様に、一気に流れを作って描いているというか……。
    ……あれがあずささんにとっての普通のやり方?
    こちらに都合良く考えるのであれば
    スペルを用いた戦いそのものに慣れていないとも、見る事が出来るけど……
    ……見る事は出来るけれども、近づきたくは無いわね。
    今、あずささんが展開している領域は、練習とは思えないレベル。
    【緑】系の魔力は肉体側との相性が良いし、スペルとかそういうのを関係無しに
    今展開している領域以上の魔力で殴られる可能性を考えると
    こちらも相応の準備をしないと痛い目を見る。
    ……あれはあずささんの本気……なのかしら?
    あずささん側も検証をしている訳だから、ここで手を抜くわけにはいかないし……。
    ……確実なのは、魔法陣を描く速度は、多分抑えてるわよね。
    恐る恐るというか、私達が意見を言う時間を確保しているというか……。
    ……まぁ、とりあえず、描いている今の段階で実戦レベルなのは間違い無いから十分ね。
    あずささんを倒すとか、そういうのは受けきってから考えましょう。
    私の魔力の挙動も確認しておきたいし。
    広がっていく感覚。増えていく情報。
    フワリと緩く肌を撫でる春の風の様に、静かに私の領域が増えていく。
    見えないし、触れられても分からないであろうレベルでも
    領域で囲んでいる物体の輪郭や
    近くにある魔力を、かなりの精度で感じ取る事が出来る様になった。
    領域の広さと精度、そして見えない様、感じ取れないよう魔力を隠す能力は
    この戦争が始まる前とは比べものにならないぐらい上がってる。コントロールだって。
    ……それでもまだ、見えない感じないレベルの魔力に
    他からの攻撃への強い耐性を、直接持たせる事は出来てない。
    もしかしたら戦闘で使えるレベルの耐性を持たせることは不可能かもしれないかもしれないし
    真っ正面から受け止めるんじゃなく、もっと他の方法……
    ……上手く躱すみたいな感じでも、魔力破壊への対応できるか試さないと……。
    【白】いラインが繋がる。あずささんの傍らで【Armageddon】の魔法陣が完成する。
     (えっと……【Armageddon】を撃った後
      一度皆さんが無事か確認したいのですが、構いませんか?)
    許可を求めるというより、躊躇うような声。
     (はい。私はそれで問題ありません。)
    改めてあずささんの描いた【Armageddon】を見る。
    濃密な魔力で描かれた魔法陣は、やはりほぼ手は加えられていなかった。
    デフォルトの【Armageddon】は光をベースに、一帯の魔力を焼き払うスペル。
    今でも他者の魔力に触れたり、圧力を感じた場合
    その流れに逆らわない様にはしているけれども
    熱による圧力なんかで吹き飛ぶよりも前に、光によって魔力が焼かれる方が恐らく早い。
    薄く広くという私の今の領域だと、どう考えても相性最悪ね。
    そこをどうするか。
    一応、魔力の伝達速度は物理法則に左右されないし
    発動を感じた瞬間、反射で散らして影響範囲外まで飛ばすという手も、あるにはある。
    あとは……。
    指先から腕に昇ってくる風。
    ……空気との結合はかなり上手くいってる。
    物質と結びつける事で耐性を上げるという方向は悪くない。
    空気と私の魔力との相性がよかったのか
    結びついた魔力をすぐにほどいたり、その逆も、今の段階でも実戦で使える速度で行える。
    ただ、結びつけたとはいえ、空気の軽さでどれだけ耐性を上げられるか。
    高温高圧になる時も有るし、物質的な反応も怖い。
    風を戦闘に組み込むなら、空気と私の魔力が結びつけている事は相手にも分かるし
    酸素の燃焼の様な物質的な反応を、魔力側から抑制してもいいけれども
    隠して動くのなら、そこら辺への干渉は避けたい。
    ……画一的な動きではなく、相手や状況によって色々な事が出来る様にしたいし
    その為にも、基本となるデータは必要ね。
     (……それでは……いきますね。)
    最終確認。念押しと言っていいあずささんの声。
     (お願いします。)
    私のテレパスに、あずささんは目を瞑る。
    私の目に映るあずささんは、落胆した様な
    静かに覚悟を決めたような、繊細な表情を浮かべて。
    魔力が動く。
    魔法陣を描く濃密な【白】が動き出し、全体が輝く。
    来る。

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