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第一次偶像戦争 【803】 [三浦あずさ]
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第一次偶像戦争 【803】 [三浦あずさ]

2021-04-24 21:22

     (皆さん、大丈夫ですか~?)
    頑張って、いつもと同じ口調で言ってみて、今残っているのは後悔だけ。
    自分で傷つけておいて、大丈夫って聞くなんて……それなら最初からやらなければ……。
    ……だからまた、無意識に目を伏せてる。ともみさんを見るのが怖くなってる。
    私のせいで苦しんでないか、知る事すら避けようとしている。
     (へーきへーき、あずさちゃんの魔力が上手く働いてるわ。
      なんなら近くに来て確認してみる?)
    明るい声が私の内側に響く。
    ……確かに、皆さんに預けた魔力からも
    ダメージ自体は大したことはないと、分かる……。
    ……でも、私からすれば【Armageddon】と
    【Wrath of God】を、一発ずつ撃っただけとも……
    ……いつもの私の戦いをするならば、相手の方が動けなくなるまで、ずっと……。
    そして、その相手は……ともみさんは……
    恐る恐る上がる視線。
    大丈夫だとは思うけれども、もし怪我をしていたのなら。
    嫌われたりするのはもう仕方がないとしても、大切なお友達に、もしもの事があれば……。
    視線が上がる毎に、ギチギチと鳴るスイッチを捻る様に、胸が締め付けられていく。
    大丈夫。きっと大丈夫。
    大丈夫……でいいのか分からないけれど……。
    視界に入る足。さっきと同じ場所。同じ姿。
    そのまま私の瞳はともみちゃんの姿を捕らえる。
    同じ。肌も、髪もさっきと同じ。
    ホッと胸を撫でおろす。
    ……そうじゃいけないって分かっていても、どうしても私は……。
     (ともみさん……大丈夫だったでしょうか?)
    【Wrath of God】もだけれども【白】のマスディストラクション系スペルは
    放射線みたく内部の細胞へダメージも大きい。
    そのせいで、外からは測りにくいダメージがかなりある。
    受けた当人は、肉体側からの魔力回復量が一気に減るから
    ダメージに気がつかないという事は少ないけれども……。
     (えぇ、そこまで支障はないです。
      でも、流石あずささんですね。)
    流石。
    ……これぐらいが丁度?少なくともダメージは確かめられたし
    サナエちゃんも、ともみさんも納得してくれている。
    ……これは、いい嘘?
    いや、嘘という訳では……ない……のよね?
    実戦レベルの意力で描いたことは、間違いないんだし。
    …………
    ……けれども、私の本気かと言われると……。
    …………
    ……本気……。
    ……私はそもそも本気でスペルを描いたことがあるの?
    描いたことがある以前に、私は本気の魔力で魔方陣を描ける?
    本気で描く為の努力……魔方陣の改良とか
    もっと魔力を上手くコントロール出来る様にとか、している?
    ……もし、相手が舞さんと同じか、それ以上の強さなら……。
    ……その時は負けるだけ?
    ……死にたくはないし、消えてしまうのはとても怖い。
    ……でも、どこか、仕方がないと思っている自分が居る。
    ……アイドルをやっている時でもそう。
    竜宮小町として活動しているときは違うかもしれないけれども
    私独りの時は……オーディションに負け続けて忘れられても……
    …………
    ……私がアイドルをやり始めたのは、運命の人に見つけてもらう為。
    本当にそれだけ。ただ、多くの人に私を知ってもらえれば
    運命の人が現れて、私に手を差し伸べてくれると……。
    ……多くの人に知ってもらう……
    ……そこまで昇るのに
    どれだけの人の夢を踏みつけて、上に行かなければならないなんて、まるで考えずに……。
    ……考える様になった時にはもう、私独りで物事が決められる高さをとうに過ぎていて。
    ……いえ、止める事はできた筈。今だって……。
    …………
    ……求められているから、周りが私の活躍を願ってくれているから。
    大きなお金が動いているから。
    私の活動が、私以外の人の生活に、人生に、無視できない程関わってしまっているから。
    そんな風に、言い訳を作って……。
    ……運命の人……一番最初の、私の願い……。
    ……もし、今出会ったら……。
    …………
    ……運命の人は、私を選んでくれるから運命の人?
    ……だから、今の私でも……もう人間ではなくなってしまった私でも……
    …………
    ……戦う事だけじゃない、負ける事、死ぬ事、消える事にも、言い訳を作ってる。
    きっとここは、私が居たい場所とは違う場所。
    私は……なんというか、あまり考えなくても
    自分の幸せとか、心地いいもの、安らぐ場所を、自然と選んでこれた。
    ……それでいいと思っていた。
    ……けれども、今はそうじゃない。
    今、私が居る場所は、私を幸せにも、心地よくもしてくれない。
    色々な人と出会って、楽しい事も沢山あったけれども
    その下にあるのは、決して私が願ったり、望んだりした世界じゃない。
    そこを認めないと。
    諦めるのなら、まずはそういう世界に居るという事を
    もう戻れないという事を、諦めないと。
    そして、考えないと。
    この世界でどうすれば幸せになれるのかを。
    ……そう……幸せになるために、生きているんですもの。
    ただ、生き残るだけじゃダメなのよね……。
    また、当たり前のことを私は分かっていなくて。
     (あずささん?)
    ……あぁ、またやっちゃったわ~。
     (待たせてすみません。ちょっと考え事をしていて……。)
     (いえいえ、構いませんよ。)
    ……少し区切りは出来た……のかしら?
    ……でも、じゃあすぐに戦えるかは……難しいわね……
    頭でちゃんと考えて、判断して生きている人なら出来るんでしょうが……。
     (えっと……それじゃあともみさんの思ったタイミングで……。)
    私は既に二発大きなスペルを使っているんだし、この方が公平よね。
    ……いつまでたっても、始められないみたいなことも、これなら……。
     (分かりました。それではいきますね。)
    いきます。
    来る。
    …………
    ……
    ……あれ?ともみさん動かない?
    もしかして、もう幻覚とか見ているの?

    緩い風……だけど、なんだか……重い?普通の風とは少し……
    【色】
    私の周囲に急に魔力が現れる。
    えっ?何?どういう事?

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