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第一次偶像戦争 【807】 [三浦あずさ]
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第一次偶像戦争 【807】 [三浦あずさ]

2021-05-02 22:55

    展開していた【Feat of Resistance】が砕け散る
    淡く光る壁に遮られていた沢山の黒が一斉に動きを取り戻す
    体が縮みあがる様な恐怖で、本当に皮膚が縮まったのか
    嫌な汗が同時に全身から吹き出し、吹き付ける冷気が体温を一気に奪っていく
    後ろ
    沢山の黒が動き出すのも怖い。でも、私の真後ろには
    領域で感じ取っていた指の形がブレる
    ともみさんの領域?いや、それにしては圧が無い
    けれども、確かにさっきと違う。今はまるで膨れ上がったみたいに指の形がブレてる
    これは逃げた方がいいの?
    あっ、でも、描いている【Armageddon】を動かすのは難しいかも
    カウンター系スペルへの耐性を上げるために、エンチャントみたく
    空間へ干渉しながら描いてるから、今から動かすのは大変
    座標の基準点のメインは私だけれども、星の動きとかとも連動させて安定させているし
    やっぱり逃げる時に一緒は難しそう
    こういう時
    こういう時やらなきゃいけない事
    律子さんなら
    伊織ちゃんなら
    私はふり返りながら、領域を閉じ、今私にかかっている防御系スペルに集中する
    今私にかかっている防御系スペル。そのうちの、今一番働いているもの
    感覚を辿り、それを探す
    私に迫ってくる黒に領域で触れてはいけない
    だから、触れない様に、触れられない様に、領域を閉じて、他で感じる
    【Feat of Resistance】以外の防御系スペルもちゃんとかけていたでしょう
    だから、大丈夫
    だから、落ち着いて
    ちゃんと見て、聞いて、感じて、考えて、動く
    得られたものから想像するのも大事だけれど、今はダメ。私の頭じゃ間に合わない
    今は、確かなものを掬いあげて、その中で考える
    そして、確かなものを掬いあげても、答えが出ない時は、すぐに逃げる
    そう、逃げる
    私は【緑】使いだから、逃げる事は出来る筈
    欲張らずに、次を待つ。焦らずに、またの機会に繋げる
    私は律子さんみたいに素早く考えられないし
    伊織ちゃんみたく、色んな確度から情報を集める事も出来ない
    だから、自分に出来る範囲を決める
    出来ない事で迷わない
    予めかけておいた【Autumn's Veil】が迫るいくつもの黒を、全て歪める
    さっきまで【Feat of Resistance】で防いでいた方はどうにかなりそう
    でもまだ
    後ろ
    視界に入る直前、強い【黒】の魔力が感覚に飛び込んでくる
    唐突に現れたとても強い【黒】の魔力の気配
    やっぱり【Feat of Resistance】を壊しにきただけじゃない
    ふり返って分かるもの
    輝く【黒】の魔方陣
    それを目の端で捕らえた瞬間、私は迫ってくる黒を無視して、距離を取る
    私から近づいたことで、迫ってきていた黒いスペル達の軌道は急激に歪み
    いくつかのスペルはじけ飛んだのか、纏まっていた魔力が散る感じがした
    私は間髪入れず、魔力が散った様に感じた場所へと飛び込んだ
    未だ吹き付ける砂嵐を無視し、散ったスペルの残滓を更に弾きながら
    私はその場から逃げ出した
    領域は閉じてるし、防御系スペルもまだ生きてる。うん、大丈夫
    【黒】系のスペルに触れてはいない
    ……さっきのは多分、スペルが自分の圧で自壊した……のよね
    私をしっかりと追う様には設定されていた様だけど
    威力や強度は、それ程でもなかったみたい
    そういえば、避けられない時は防御系スペルを沢山纏わせた拳で殴りつけて壊すって
    誰かが言っていた様な……サイネリアちゃんか、いぬ美ちゃんだったかしら?
    魔力の動き
    魔方陣の輝き
    冷たい砂嵐の向こう、今も感じるともみちゃんの領域の傍で
    私の後ろで感じたものと同じ?砂嵐があるから、ここからじゃ詳しく分からない
    分かるのは強い魔力が放たれたという事
    そして間違いなく、さっき私の後ろで発動したものと一緒に
    これから私に襲い掛かってくるという事
    一応、今までのスペルはどうにかなった
    じゃあ、次のスペルも、どうにかなる?
    でも、そういう私の考えを読んで、あえて弱めのものを放ってきたのかも
    ……やっぱりダメ。こういう所で悩み始めたら、何もできずに終わってしまう
    私は冷たい砂嵐の中を上に飛ぶ
    相手の対応を見て、そこから返すみたいな戦い方は、まだ私にはまだ難しいみたい
    そもそも日常生活でも
    想像を働かせてよく考えないといけない時は、物凄く迷ってしまうタイプだし
    結局、よく考えても、最後まで自分で決断が出来ず
    他の誰かに頼るという事すらあるんだもの
    練習なんだから、一発は受けておいた方がいいかもしれないけど……
    ……受けた方が私にとってもいい?ともみさんにとっては……
    ……いえ、まだダメ。まだ倒れちゃダメ。戦う事を止めてはダメ。
    出来る事。私がいつもやってる事。皆が居る時でも。試さないと。
    飛ぶ方向を真上から斜めに変える
    竜巻を出たら、やらなきゃ。いつもの私の戦いを、少しでいいから
    ともみさんが強くて、出来ないかもしれないけれども、やってみなきゃ
    光が差す
    激しく、冷たい風が消える
    口から息を吐く。まるで固くて大きな何かを吐き出した様な、今までやった事のない呼吸
    考えちゃダメ。迷っちゃダメ
    広げた領域がすぐに【白】を紡ぎ始める
    竜巻が動く
    竜巻の中、下の方から色迫ってくる
    灰がかった青が混ざる黒い何か
    悪い夢が、現実に形を得たみたいな色が、下から昇ってくる
    スペル。別の。防御をもっと
    そして
    シンプルな魔方陣に流れる大量の魔力
    ちょっとの時間でいいの。【Rout】を、放つ事が出来れば
    放つ事さえ出来れば


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