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第一次偶像戦争 【811】 [サナエ]
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第一次偶像戦争 【811】 [サナエ]

2021-05-10 22:55

     「私も他の【色】とか使える様になった方がいい……のでしょうか~?」
    お茶の用意をする横で、カップをトレイに並べるあずさちゃんが呟く。
     「ん~……それもアリかもしんないけど、他の【色】って
      もっと残酷だったり、面倒よ。
      あずさちゃんはさ、殺すかもしれない相手と
      言葉や拳の触れ合い以上の関わりって持てる?」
    私はそう言いながら、棚から紅茶の葉が入った缶を取り出す。
    他の色ねぇ……。
    【赤】はそこら辺シンプルだけど
    既にあずさちゃんは【白】と【緑】でキャスターとして立ち回れているし
    今から【赤】を取っても、単純に攻撃系スペルの魔力効率と
    対象を絞りやすいかどうかぐらいしか変わらないのよね。
    そもそもあずさちゃんの場合
    狙って撃って当てるっていうのが、そこまで得意じゃないし
    扱えるようになったとしても、実戦で使える様になるかは微妙。
     「……それ以上の関わり……。」
     「今までのあずさちゃんの戦い方なら、見ない事も出来た
      相手の心の内を直に知る事になるし
      そういった相手の、感情や記憶を理解した上で
      自分の手で壊す様になるって感じかしら。
      殺し合いの場で、相手への感情移入なんてしていたら戦えないでしょ。
      あずさちゃんはそうならないって言える?」
    勿論、そういったスペルや魔法を使わない方向で行くという手もある。
    ただカウンター系スペルなんかで考えてみても
    結局の所、相手のスペルを打ち消すというのは
    相手のペースを崩す、自分の身を守るという事だから
    今のあずさちゃんの防御系スペルでも、かなりの部分でカバーできるのよね。
    防御系スペルにはない、こちらのスペルを相手に直撃させるための打消しというのも
    あずさちゃんの場合、魔力的なアドバンテージの損失をほぼ無視できるから
    燃費が悪かろうと、防がれようと
    通るまで連発したり、より強いスペルを叩きつける事で解決が出来ちゃう。
    今ある武器で、あずさちゃんは十分に戦える。やりたがらないだけで。
     「……私には難しそうですね~……。」
     「まぁ、気が向いたらぐらいでいいんじゃない?
      少なくとも今日の負けは別に引き摺る様なものでもないし。」
    本当は「誰かに急かされて決めるもんでもなし」って言うつもりだった所を
    じゃあ、あずさちゃんのスペル対策で新しい【色】に手を出すあたしは何なんだと
    あたしの中の、お酒飲んでる時に他の誰かをおちょくる言葉を投げる部分が
    素面でツッコミを入れ、急遽、口の中で言葉を変える。
     「……はい……。」
    あずさちゃんの残念そうな声。
    ここで新しい【色】を使える様にするとなると
    残りの期間、戦う必要がない大義名分が出来るし
    それでも前に進んでいるという事でもあるから
    あずさちゃんとしては、一番楽な道だったのよね。
    あと、やっぱり今日負けた事も引き摺ってそう。
    もっと軽くて、早く描ける相手への牽制が出来るスペルがあればみたいな。
    一応、大量のマナで細かい所全部すっ飛ばした【Rout】の他にも
    【Settle the Wreckage】みたいなのはあるけど
    あれ、逆に利用されるパターンもあるし、面倒なのよね。
    使った後、即座の【Armageddon】が出来ないと、泥仕合になりがち。【青】相手だと特に。
    あずさちゃんの戦い方や能力を考えた場合でも
    短期決戦が出来る量のマナを得られるとマズいし
    【Rout】頼りになっちゃうのは仕方がない所はある。
    ……でも、解決方法が他の【色】っていうのはやっぱりオススメしかねるかな。
    最終的にはあずさちゃんが決める事だし
    あたしらはあずさちゃんが何を選ぼうと、サポートするだけなんだけどさ。
    ……う~む……。
     「そこら辺気になるなら、いい例が近々出来ると思うから参考にするといいわ。」
    いい例とか、自分で言う?下手打つ気はさらさら無いけどさ。
     「いい例……ですか?」
    そそ、いい例。失敗なんてしない、いい例。
     「あたし新しい【色】に挑戦しようと思って。」
    あずさちゃんも参考にするといいわ。
     「……もしかして私のスペルがキッカケで……。」
    ……こういう所は鋭いのよね。
     「まぁ、それもあるわね。
      ただ、あずさちゃんのスペルからのダメージを
      軽減したいからってだけじゃないわよ。
      共闘するのなら、あずさちゃんに出来ない動きが出来た方がいいし
      あたし自身、もうちょっと動きの引き出しが欲しいっていうのもあるしね。」
    確かに、このままずっと【赤】を使い続けて、極めるっていうもいい。
    けど、他の【色】を上手く扱えるようになったからって
    別に【赤】を極めることが出来なくなるわけでも無し
    逆にハッタリでもいいから他の【色】を見せる事で
    【赤】が強い遠距離スペル戦へ相手を動かしやすくもなるのよね。
     「引き出し……。」
     「あたしの場合、一通り【赤】の動きは出来るから
      そこを更に伸ばすためにも別の【色】を入れるのはアリなんじゃないって感じ。
      あずさちゃんの場合、まだまだ出来ることはあるでしょ。」
    どうしても、今はそこに追い込むしかないのよね。
     「……はい……。」
     「あれこれ言ったけど、先にやる事を決めてから打ち込むんじゃなくて
      色々試してみて合うもの、いけそうなものから選ぶっていうのもアリだと思うわ。
      あずさちゃん以外は分からない部分で、あずさちゃんにしか決められない事だから
      あたしの言う事なんて無責任なファンの
      心底どーでもいい、イメージ押し付け程度に考えるのが一番よ。
      思い切り悩むのも悪くないしね。
      確実なのは、あずさちゃんが何を選んでも、あたし含め眷属の皆は
      あずさちゃんを否定しないし、支えて行くって事。これからもね。」
    ついさっきの戦闘で、おもくそ足引っ張っておいてこれだもん。ホント無責任よね。
    ……好きに生きて欲しいけれども、死んでほしくはない。
    ……これがままならんって奴かしら。因果なものね。

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