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第一次偶像戦争 【814】 [日高舞]
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第一次偶像戦争 【814】 [日高舞]

2021-05-16 22:00

     「元気してた?」
    声に入る艶。完全に娘の同僚に向ける声じゃ無いわ。
     「元気です。前と変わらず。」
    …………
    ……そうよね。ずっと寝てたのなら……。
    ……サチコちゃん、涼ちゃんは前と変わってないそうよ。
    まぁ、いきなり来た私なんかに、いきなり本心話すみたいな事も無いだろうけどさ……。
     「今どれぐらい経ったか分かる?」
     「……何となくですが。
      ……もう終わった……という事では無いですよね。」
    力の無い声は、私が来たから?それとも私が来たという事は……
     「涼ちゃんには残念かもしれないけど、まだ続いてるわ。
      ……サチコちゃんがどうなったか、聞きたい?」
    気付いてるでしょうけど。万が一があるから。
     「……いえ、あとでサチコちゃんに僕の方から聞いてみます。」
    …………
     「それはサチコちゃんに興味が有るという風にとっていいのかしら?」
     「……えぇ、そう取って貰って構いません。」
    ……サチコちゃんにとっては朗報なんだろうけど、何か引っかかりがあるわね。
    ……まぁ、今の私じゃ深く突っ込む事は野暮ね。
    もうちょっと親密になれば違ってくるんでしょうが。
    …………
    ……
     「……どうして私が来たか、聞かないのね。」
    聞いてくれないのね。
    私に興味が無い?こんないい女が、天下の日高舞が訪ねてきてるのに。
     「……伺った方がよかったのなら、察する事が出来ず、すみません。」
    ずっと一緒の声のトーン。感情が無い訳じゃないけど、もの凄く薄い。
     「涼ちゃん、単刀直入に言うけど、セックスしない?」
    興味が薄いというのなら、引き出す。
    涼ちゃんの反応と、サチコちゃんへのなんやかんやで萎えた部分もあるけど
    それ以上に涼ちゃんから感情を引き出すっていう明確な目標が出来て
    私の方も静かに熱が広がってきてる。
     「また、唐突ですね。」
     「嫌とは言わないんだ。」
     「……嫌と言えば、止めてくれるんですか?」
     「どうしてって聞くわね。
      そんで止めてくれることを涼ちゃんが諦めるまで続くと思うわ。」
     「……ここで愛ちゃんの名前を出すのは卑怯ですか?」
    おっ、これはガチの嫌悪?
    でも、それはそれで面白いわね。セックスもいいけど、殺し合いも悪くないわ。全然。
     「問題ないわ。私を抱いてる時に、愛の顔が浮かびそうで嫌な感じ?」
    想像はし易いけど、実際に肌を重ねたら杞憂で終わりそうとも。
     「……いえ、ただ、元の世界に戻った時、ちゃんと愛ちゃんを見ることが出来るか
      そこに自信が無いです。」
    …………
     「涼ちゃん、それは悪手よ。」
    思っても無い事を口にするのはいい。
    でもそれは、私に向けて言って欲しかった。
    愛に対しての誠実さを失うような言葉を言って欲しくは無かった。
    私への直接の嫌悪は無駄だと思ったからかもしれないけれども
    そこで愛を出して欲しくはなかった。
    ホント、的確に私に嫌われようとしてるわね。
     「……かもしれませんね。」
    私に窘められても、涼ちゃんの声は変わらない。
    何の面白みも無い、湿り気だけを僅かに感じる、曇り空の様な声のまま。
     「今の涼ちゃんは誰も見てないでしょ?
      前の涼ちゃんはまだ誰かを見てた様の思うけど。
      ……そうね。りっちゃんは確実に。」
    ヤッては無いだろうけど、涼ちゃんのりっちゃんの間には従妹を超えた何かがある。
    多分、社会や血の距離が諦めさせたもの。最初からダメと決めつけられたもの。
    認めることも、考える事さえ許されなくて、絡まってねじ曲がった感情。
    そんなものが、二人の間にはあると思う。想像だけど。
     「……他の誰も見てない様な奴が、愛ちゃんと一緒に居る事は許せなくはないですか?」
     「そこは別に問題無いでしょ。
      ていうか逆に前以上に安心も信用もしてるわ。実際、色々助けて貰ってるしね。」
    問題があるとすれば、諸々の解決手段が、あの世界では許されるものでは無い扱いな所。
    私はそこを含め、全く問題とは思ってない。
    愛だって驚きはするけどそれ以上は無さそう。
    アイドルなんてやってると、動くお金が大きいから、継続的に関わる人間も多いし
    それ以上に、一期一会の出会いが沢山ある。
    そんな他者との関わりの中で、特定の人間の身勝手さや
    心底、気持ち悪いと感じる瞬間は多い。
    愛が涼ちゃんの今とやってきた事を知ったとして
    納得は出来ないかもしれないけど、多少なりとも共感はある筈。
    むしろ涼ちゃんは、よく我慢できてると思うわ。
    もし、私が涼ちゃんと同じで、勝手に相手の心を読んじゃう様な状態になってたら
    関わった人間の半分は死んでるか、二度とまともな生活は送れなくなってると思う。
     「ん~、涼ちゃん今の自分が嫌いだったり?」
     「……どうでしょう……?」
    もはやそこにも興味が無い?
     「……そっち行っていいかしら?」
     「……どうぞ、僕も出ますね。」
    ん~……まっ今はいっか。
     「先に言っとくけど、絶対に抱くわよ。」
    単純にヤりたいだけが、ある種一番純粋だけど、中々そうもいかないわよね。
    私からセックスを求めて、私の中に受け入れる事で、涼ちゃんの価値の証明とか
    慰めじみたものも、正しいとは言いがたいし。
    でもまぁ、男女の交わりなんて、最初はそんなもんよね。
    互いに求め合って、貪りあって、磨きあって、結果純粋な所が残ればいいわ。
    不純な方へ舵を切っても楽しいしね。

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