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第一次偶像戦争 【829】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【829】 [水瀬伊織]

2021-06-16 22:22

    私の言葉に、ピンと来ていないのか、麗華は少し考え込む様な表情を浮かべて。
     「さっき、日高舞が総力戦で、って言ってたでしょ。
      私のガチの総力戦ってなると
      ハッキリ言ってアンタとの共闘時に、それを発揮するのは無理よ。
      だから、アンタと私、双方の総力を日高舞に叩き付けるってなると
      私は城を出た日高舞が、ここに来るまでに叩くしかないの。
      麗華、アンタはそれでいいの?」
    日高舞が手傷を負った状態で来る事になる以外にも
    どのタイミングで到着するか分からなくなったり
    ほぼ確定だった、面と向かってはいスタートからの戦闘開始や
    眷属組の確認なんかもやりにくくなる。
    何より、麗華がそういった横やりが入った戦いを望むのか。認められるのか。
    日高舞一人相手に、こちらは二人だから
    最初から正々堂々みたいなものは存在していないけれども
    そこから更に、互いを助け合う、支え合う様な、自己犠牲と
    それに付随してくる自己陶酔まで失う事になる。
    一応、裏名目としてある、相互の強化、成長みたいな点でも不適切。
    この戦争においては、戦闘こそが目的で
    戦争と言える部分は、最後の序列を分かりやすくする為だけのもの。
    私の行為は、通常の戦争としては正しくても
    この星における『戦争ごっこ』としては、適切かどうか微妙なラインの上にある。
    ……私はアーティファクト使いだから、各種兵器運用は間違って無いし
    相手側も、そういった物量戦を挑んでくる者に対する練習になるから、間違ってはいない。
    ……ただ、それも結局は、一対一での事。
    私は勝つ為に用意していた物を投入し、麗華は、残った者達を刈り取る。
    そこに成長性を見いだすのは難しい。
    私は生産性の向上とか、運用なんかのデータが取れるけれども、麗華の方は……。
     「伊織はどうしたいの?」
    私?
    ……私は……。
     「……全力で戦ってみたいわ。日高舞を相手に。」
    そこは間違い無い。でも、麗華もそうなら……。
     「じゃあ、ベストとしては、伊織は先に動かず、私と一緒に日高舞を迎撃し
      私が負けて、伊織は生き残り、後日フル火力を投入って感じになるのかしら。」
    …………
    ……酷い話だけれども、私のベストはきっとそう。
    麗華と私の戦いから立ち直った日高舞を相手に、今度は私一人だけで勝つ。
    理想を言うのなら、そうなってしまう。
     「……アンタはそれでいいの?」
     「良くはないわね。負けたくはないから。」
    ッ!
     「じゃあなんで、そんな事言ったのよ!」
    もうふざけてる時間も無いでしょ!
    アンタさっき、日高舞に負けたって言ってたじゃない!
    本当なら、早々に練習なり修行なりに移りたいんじゃないの!?
     「まぁ、一応の確認って感じかしら。
      伊織としては、私と組んでの勝利よりも
      自分だけの力で得る勝利の方が重要って事よね。」
    …………
     「……そう取ってもらって結構よ。」
    一番重要なのは、全ての力を使った状態で、共闘が出来る出来ないという話だけれども
    結局の所、そこも間違ってはいないから否定はしない。
    麗華と一緒に勝ちたいという気持ちもあるから、否定をしても嘘にはならないでしょうが
    比べた場合、やっぱり、独りで勝ちたいという気持ちの方が強い。
    ……ここまで来たら誠実さの問題ね。
    色々とすれ違ってそうだけれども、もう最後が近いし、ここで別れるのも仕方がない。
     「じゃあ、伊織は好きに動いて貰っていいわ。
      私は負けたくないだけだし、伊織が舞さんを倒してしまっても
      特にどうこうみたいなのは無いから安心して。」
    淡々と処理していく麗華に、苛立ちと怖さみたいなものが湧いてくる。
    涼のそれとは違うと思うけれども、もし、麗華が私に興味を失いかけているのなら……。
     「……それでいいの?さっきと同じ言葉を繰り返す事になるけど。」
     「色々あったけれども、私のスタンスは最初から変わってないわ。
      私は負けたくないだけ。勝負の内容はその次ね。」
     「……本当?私に遠慮とかしてないでしょうね。」
     「既にさっき負けてるし、そうでなくても課題が山積みだから
      正直、直接勝負するよりも、今はやりたい事の方が多いのよ。
      それに、日高舞と水瀬伊織の底っていうのにも興味があるしね。」
    ……そう来たか。
     「……分かった。それじゃあ、私は好きにやらせて貰うわ。」
    いいわ。見せてやろうじゃない。
     「……日高舞を襲うとして
      そこで負けそうになったら、伊織は私に救援って出すつもり?」
    声。さっきとちょっとだけ違う音。
     「出したら来てくれるのかしら?」
    最初の取り決め。今も生きてる?
     「行くわよ。伊織の頼みなんだもの。」
    迷いなんて微塵もなく。
     「……アンタ負けたくないんじゃないの?」
     「まぁそうだけど、待ってたら負けない訳でも無し
      伊織の頼みなんだしね。それなら、負けても納得は出来るだろうから、動くわ。」
     「……なら乞うてやんないわ。」
     「じゃあ、突然連絡が取れなくなるんだ。
      ……それも寂しいわね。」
    この期に及んで寂しいとか……。
     「勝つわよ。……勝ってみせるわ。」
    ……あーあ、言っちゃった。
    麗華と戦って貰って、疲弊したところをっていうのが一番楽だったのに
    先に私が動く事になってしまった。
    ……はぁ……仕方ないわ。こういう戦い方って伊織ちゃんしか出来ないわけだし。
    …………
    ……個人の勝利、私以外の誰かの勝ち、日高舞の負け、私の敗北……。
    …………
    ……日高舞が具体的にいつ来るかは分からない。でも多分、明日じゃない。早くて明後日。
    ……今すぐに動いた方が良いわね。

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