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第一次偶像戦争 【848】 [三条ともみ]
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第一次偶像戦争 【848】 [三条ともみ]

2021-07-24 22:44

     「さてと、そんじゃ話した通り、絵理ちゃんの領土に向かいましょ。」
    朝日の眩しさにまだ目が慣れてない中
    そんな地平からさほど離れて居ない朝日を背に、日高舞はそう言って。
     「あの……今更ですけど、本当にいいんでしょうか~……?」
    あずささんの不安そうな声。私も正直、当事者なら聞いたと思う。
     「絵理ちゃんの土地を使う事?
      それとも、あずさちゃんの練習自体の方?」
    ……双方不安っていうのも問題だけど
    面白いものを見てる様な声色で聞き返してくるのもアレね。
     「えっと……りょ、両方で……。」
    勇気をふり絞った様な声。それに対する舞さんは、逆光で見えにくいけども、多分笑ってる。
     「土地の件は、絵理ちゃんの許可がいるっていうのなら、もう退場しちゃってるし
      後で話するなり、謝るなり私がやるわ。
      どうして絵理ちゃんの土地かっているのは、さっき言ったけど
      二人の土地とは違うし、支配下に置かれていなかった土地よりも
      マナの流れが整ってるだろうから、やりやすそうって感じね。
      あと、他人の土地の乗っ取りを、一度やってみたいから。
      練習の方は、私の方は全然平気。
      あずさちゃんがやりたくないっていうのなら、止めてもいいけど
      私も試してみたいことがあるから、出来ればやって欲しいかな。」
    かなり早い朝食の最中に、急にこんな事を言い出して、サラダを分ける手が止まった。
    この人の眷属であるモモカちゃん達は、こういうのが日常なんだろうか?
     「そう……なんですね。」
     「うん。
      あずさちゃん的にもメリットは大きいと思うしね。」
     「そう……ですよね。」
    あずささんのスペルを、土地も利用して舞さんが抑え込む。
    そうやって練習の場を作るだけじゃなく、スペルの調整が下手なあずささんにも
    舞さんは具体的な育成のやり方を提示してきた。
    細かい魔力の調整を、その場その場で魔方陣を描きながらするのではなく
    最初から強弱を5段階ぐらいに分けておき、それぞれを繰り返し練習することで
    描く事に慣れ、戦闘でも使える様にしていくというのは、確かに良い案。
    そもそも、あずささんの場合、練習をする場が無いから
    プレインズウォーカーになりたての頃から出来たもの
    知ってる感覚から、脱却できてない所もあると思う。
    電子部品の抵抗の様な、魔力の流れを調整するルーンを組み込む様な事をしていないのも
    恐らく、試す場が無いから。
    あれを組み込んで使うには、魔方陣のどこに組み込むか
    組み込んだ後、全体の魔力の流れがどうなるかを把握をする必要があるし
    結局の所、試行錯誤は必須。
    まぁ、あれ組み込んじゃうと魔力の流れが分かりづらくなったり
    操作がやりにくくなるから、オススメしかねる所もある。
    魔方陣に流れる魔力の感覚が狂うから
    どれだけの威力のスペルになるかも、実際に撃って
    当たった対象のダメージを見ない事には分からないし。
     「あたしが行ってって言ったら、行ってくれる?」
    サナエさんの声。本気の色。
     「あっ……違うんです。……やりたくない訳じゃなくて……。
      私の為に、皆さんの時間とか、色々費やして貰うのが……。」
     「私に関しては平気よ。私が試したいこともあるって言ったでしょ。
      それに、これから先、あずさちゃんの練習に付き合ってくれる相手も加味して言うけど
      昨日まで居たあずさちゃんが、いきなり消えたら寝覚めが悪いでしょ。
      そういう意味でも、付き合ってくれるって言ってくれる相手の好意を
      無下にするのはよくないわよ。
      私ら、寿命こそ無くなったけど
      交通事故に合うよりも、ずっと死にやすい状況に居るんだから。」
    舞さんの軽い言葉に込められた、重い現実。
    プレインズウォーカー同士の殺し合いが、どの程度の頻度で起こるかは分からないけれども
    身内の中で考えても、他所のプレインズウォーカーと戦った事がある人の数の方が、多い。
    一気に10人以上プレインズウォーカーになった事で
    他所への牽制が出来ていたとしても、それぐらい襲われたという事になる。
    逆に、それで興味を引いたって線もあるだろうけれども……。
    とにかく、その戦った事のある人の中に、あずささんも居る。
    私よりももっと、危機感みたいなものを肌で感じている筈。
    ……ただ、殺し合いという雰囲気では無かったと話していたから
    それが逆にあずささんの意識を……
    ……いや、雰囲気含め、相手が偽って動いていた可能性だってあるし
    あずささんもそこを分かっている筈。
    そういう、殺し合い、相手の存在を消してしまうまでやる、本当の戦い。
    ……いつか、私だって、絶対……。
     「……はい。」
    あずささんの声に宿る重さ。
    ……私も、何かを得られる様、しっかりと見ておかなきゃ。

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