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第一次偶像戦争 【852】 [三浦あずさ]
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第一次偶像戦争 【852】 [三浦あずさ]

2021-08-02 22:44

    領域を広げ【白】を紡ぎ出そうとした時に気が付く。
    これは……聞いておいた方がいい……わよね。
    ……うん。何か起こってからじゃ遅いんだし。
     (舞さん。とりあえず慣れている所から始めますね。
      それで……なんですが、撃つ前なんかに、合図をした方がいいですか?)
    実戦に沿うなら、早く描ける【Rout】を一番に調整したい所だけれども
    突然だと、舞さんも驚いてしまうかもしれない。
     (好きにして大丈夫よ。こっちはオートで発動するし
      私の方もそういう所含め、色々試したいしね。)
    舞さんの明るい声が私の背中を押す。
    やらなきゃ。
    ……やろう。
    息を吐いて、そこから更にお腹に力を入れる。
    んっという言葉が咽の奥に響くと同時に、私の領域に現れる【白】。
    それを一息に描き、そのままスペルを発動させる。
    私のすぶ側の魔法陣から現れた強い光が、朝日を、世界を焼く。
    やった
    できた
    進めた
    私にも
    私だっ。
    ……私……だって……
    嬉しい……のよね……だって、最初は「やった。」って確かに。
    確か……
    …………
    いくら探しても、片鱗すらない。
    だから、嬉しかったのかどうか、それどころか、最初一体どんな感情だったのか全く……。
    ……確実なのは、今私の中にあるもの。
    進めた事が嬉しい、私でも進む事が出来る。そんな喜びの感情とは程遠いもの。
    進めた。
    進んだ。
    そうじゃない。
    進んでしまった。
    もう後戻りは出来ない。
    後戻りしたくても、やってしまった事実からは、逃げられない。
    今、私の中にあるのはそんな後悔だけ。
    全てを焼き焦がす光を放ったのに、その光は私の中の暗雲を取り払ってはくれなかった。
    いや、焼き払っても、またすぐに沸いてきただけなのかもしれない。
    ……どうでもいい事ね。問題はそこじゃない。分かってる。
    ……どうしてだろう。
    放つだけなら、何の問題も無いはず
    ともみさんとの練習の時だってやった事。
    それなのに、どうしてここまで拒絶感がでるんだろう?
    ……もしかして、ともみさんの時は、心の底では、負けてしまえばとか思っていた?
    負けてしまえば、変わらなくてすむからみたいなものが、心のどこかにはあった?
    あの時の私……結構必死だったと覚えているのに……。
    ……もし本当だとしたらしたら、どうしてここまで
    進む事を、変わる事を拒絶するんだろう?
    ……変わる事。強くなる事。そうなると……。
    ……誰かに守って貰えなくなるから?
    私が責任ある立場に、守らなければならないなるから?
    それとも、人間から離れていくのが怖い?
    もう戻れないとしても、プレインズウォーカーとして誰かを殺して生き延びるよりも
    せめて出来るだけ、人間に近い所で死にたいの?
    【Rout】を放つ前は、生き残らないと、何も始まらないと思っていたのに
    放った後は、どうやって死にたいかを考えてる。
    何でだろう?どうしてだろう?
    …………
    ……今の私。人間であった頃の私……。
    日々、仕事、夢……。
    ……私の夢……。
    私の夢は……
    ……運命の人を見つけて、お嫁さんになる事。
    愛する人との子供を産んで、幸せな家庭を築いて……。
    ……私の望む人生。私の望んだ人生。
    ……じゃあ今の私は?
    今の私に、夢はある?
    やりたい事は?叶えたい何かは?
    …………
    ……空っぽ。何も無い。
    何も無いから、人間であった頃の夢が叶わなくなったという事実だけが残ってる。
    私が進めない、進みたくないのは、夢が無いから、空っぽだから?
    ……確証は無いけれど、今まで考えた中だと、一番答えに近い様に思う。
    ……夢……私の新しい夢……。
    ……すぐには思いつかない。
    ……なら、何でもいいから進んでれば、新しい夢や目標が出来るんじゃないかしら?
    ……多分、それが正しいのよね……。
    私も、大学に入るまではそんな風に
    何となく周りがやってるからぐらいで生きてきたし……。
     (あずさちゃん、こっちは大丈夫よ。威力の方もまだ平気。)
     (はっ、はい~……。お待たせしてすみません~……。)
    進めば答えが見つかる?
    ……いいえ、そんな事言ってられないのよね。
    今の私は、進まないと、取り返しがつかなくなる。
    強くならないと、上手くならないと、もっと大きな後悔をしてしまう。
    領域に【白】を紡ぐ。
    描く魔法陣は、まだ慣れた魔力の強さと量。
    ここから少しでも、強かったり弱かったりを、上手く描ける様になれば
    達成感ぐらいは得られるかしら?
    ……分からない。
    ……でも、やらないと。舞さんも待ってる。
    私が、やらないと。もっと、ちゃんとしないと。

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