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第一次偶像戦争 【873】 [水瀬伊織]
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第一次偶像戦争 【873】 [水瀬伊織]

2021-09-14 21:21

     「まぁいいわ、とりあえず言いたい事は言ったし、本題に入りましょ。」
    納得出来た所と、より分からなくなった所が半々ぐらい。
    とりあえず会話は出来てるけれども、どうも狂人の持つ仮面の一つみたいな感覚が
    私の中から抜けきらない。
    大人しいタイプではないというのと
    好戦的という間の隔たりが、それだけ大きいという事かしら?
    というか、律子的には、自分は日高舞側みたいな認識を持ってる?
    そうならないと勝てないとかでは無く、最初からそっちみたいな。
    ……分からないわね。大体、近しい人でも本性なんて分からないもの。
    上に立つ者はそれを見抜けないとダメなんだろうけど
    私的には本性を見抜いたとして、その通りに行動するかどうかは
    時と場合によるし、本性を見抜くまで関わるのも
    不確実な思い込みで判断を間違うのも馬鹿だと思うから
    どう行動をしようと対処出来る様にしておく方が好み。
    まぁ、比率よね。こういうのは。どっちかって事じゃない。
    どちらもやって、どちらを重視するか。
    だから律子、アンタがどうだろうと、こっちは準備できてるのよ。
     「何かしら?楽しみだわ。」
    一瞬、背筋が凍る。
    目の前に見える姿に声、気配、魔力。全てが律子であることを表しているのに
    いまの一言には、一瞬だけど日高舞の様な感触がした。
    声という音の中に紛れ、するりと差し込むように入ってきた。
    ……地が似てるっていうのが出てきた?それとも意図的に似せた?
    分からないけれども、確かに今さっきの律子は日高舞と一瞬ダブって感じられた。
    今一度映像データ含め見直しても、やっぱりあの感触は入り込んでくる。
    ……これ、やっぱり私の中で二人は地続きじゃないと思ってるからこそなのか……。
    ……とにかく、話を続けましょう。
     「……日高舞が動くわ。
      ここ数日中に確実にね。」
    瞬間、怖ろしさと嫌悪が、私の金属の体を駆け巡る。
    律子の笑み、瞳の中で怪しく蠢く光、それは本当に日高舞の様だった。
    ……いや、日高舞よりも、もっとねじくれてる。
    日高舞は怖ろしい狂人だけれども、ある種、子供の様な純粋さがある。
    律子のそれは、その純粋さの部分に悪意と敵意が入り込んでる。
    どちらを怖ろしいと思うかは、各々違うでしょうが
    醜さでいうと、律子の方が上なのは共通見解になるでしょうね。
    アンタ、ラジオなんかで細々アイドルのまねごと続けるより
    女優目指した方がいいんじゃない?
     「確かな情報?」
     「えぇ、本人から聞いたから。」
     「なら、間違いないわね。」
    律子は笑みに顔を歪めたままグラスに入ったウィスキーに口をつける。
    なんでそんな楽しそうなのよ。
    アンタは日高舞とは違うでしょ。何がおこっても平気な力も無いし
    戦う事自体に快楽を見いだす様なタイプでも無い筈よね。
    それで、どうして面白いと思えるのよ。
     「舞さんと会った状況を聞いても?」
     「サチコと日高舞がやり合ったのよ。そして、次は麗華って訳。」
     「サチコちゃんと舞さんの戦闘に介入したの?」
     「最初からいたわ。サチコはアンタと入れ違えで麗華の所に暫く居たの。
      その繋がりね。」
    もう麗華との繋がりも隠す必要は無いわね。
     「へぇ、そんな事があったんだ。」
    なにが「へぇ」よ。すっとぼけるのもいい加減にしなさい。
     「アンタもご存じの通りよ。
      マキノが動いてない筈ないもの。」
     「会話の内容とかは全くよ。
      あとはそうね、絵理が退場したぐらい?」
    やっぱり知ってるじゃない。腹立つわね。
     「それぐらいね。」
    ともみが参加してたのは知ってるだろうし
    その後のともみとあずさの繋がりと、日高舞二人と会ったとか
    そこら辺は放置でいいわね。いぬ美の件も。
     「伊織は参加するの?」
     「麗華と日高舞の戦いよね。」
     「そう。」
     「参加するわね。」
     「弱った二人を纏めて焼くんじゃなくて?」
    こういう嫌味の方が、むしろ前の律子を感じられて安心するって、末期だわ、本当に。
     「アンタ達が二人で日高舞に勝つって言った様に
      私も麗華と一緒に、あの女に勝つわ。
      だからまぁ、動くならお早めにって所ね。
      どちらを狙うかはお好きにどうぞ。」
     「今の所、伝えるメリットより、デメリットの方が大きそうだけど
      そこの所を聞いても?」
     「下手に乱入されるのが一番困るってだけよ。
      少しでも勝率は上げておきたいしね。
      アンタがまだ現実を見る事が出来るのかどうかも知っておいた方がいいでしょ。」
    参加するしないを、ここで見極めるよりも
    律子がマトモかどうかを確かめるっていう方が重要だった。
     「私達が参加すると思う?」
     「この戦争が始まった直後のアンタなら間違い無く参加するでしょうね。」
    小鳥と北斗が、私と麗華に変わっただけなんだから。
     「確かにそうね。」
    律子の表情は、歪んだ笑みから微笑に変わったけれども、楽しそうなのは相変わらずで。
    でも、ここで少し考えてるのは意外ね。
    どちらを潰すかで迷ってるにしては、私を獲物として見ているような感じはしない。
    後ろの冬馬は、相変わらず言われたことだけやります状態だし。
    ……どちらを潰すかで迷っていないのなら、どのタイミングで動くか?
    それか、日高舞的思考なら、どうすれば一番面白いか……とか?

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