• 海風に吹かれて(2017年10月頃のコミュニティプロフィール)

    2017-11-01 02:592
    僕は大学時代を横浜市金沢区というところで過ごした。
    大学入学当初は横浜市金沢区を都会だと思っていた。
    ダイエーが駅前にあるし、電車も10分おきに来るしコンビニもそば屋もドラッグストアも銀行も駅前にあるこんな都会でキャンパスライフを送ることになるのか!とこれから始まる4年間(実際には5年間)に胸を高鳴らせていた。
    しかしながらそれはお上りさんの誤想で、横浜市民(特に中区民、西区民、神奈川区民)に言わせると「え?金沢区?あんなのハマじゃないでしょ藁 横須賀でしょ禿藁」ということらしい。
    要するに金沢区というのは横浜市の中においては疑う余地もなく田舎というのがハマっ子の共通認識なのだ。

    文化的で活気にあふれる横浜市の中において、このように退屈な場所だと思われがちな金沢区なのだが、もしも横浜で一番好きな場所を聞かれた時に僕が迷わずに1位に推すスポットがある。
    海の公園(通称:海公)である。
    その名の通り海と砂浜がある公園で、年間を通してビーチバレーやヨットなどのスポーツを楽しむ人や、バーベキューで盛り上がるうるさいグループや、ペットとともに散歩を楽しむ老夫婦など様々な人が利用する。
    砂浜からは隣接するテーマパーク八景島シーパラダイスが見え、夜にはライトアップ姿を楽しむことができる。
    女性を含めてグループで花火をするのも(実はバーベキュー場以外は火気厳禁)、合コンの後の反省会も、半期で6単位しか取れなかった夏も、お祈りメールが来た金曜日も、彼女に振られた夜も全部海公での思い出だ。
    一度だけ海公で某巨大掲示板のオフ会をしたことがある。
    今回はその思い出を綴ろう。

    2007年6月頃、僕は留年をして2回目の4年生をエンジョイしていた。
    留年をしたのは4年間で卒業に必要な単位数を揃えられなかったからで、足りなかったのは2単位(半期1科目分)だけだった。
    大多数の大学では卒業できる時期が3月だけではなく、9月にも卒業できたりするのだが、僕の大学にはそう言った制度はなかった。
    前期だけ週1で1科目の授業に通うためだけに普通の人より1年多く大学に通うことになったのだ。 授業の内容が特に難しかったというわけではない。
    ただ単純に授業に出席することをサボっていただけだった。
    両親にとっては本当に親不孝な息子である。
    留年が決まった時、僕は改悛の念で両親に電話をし留年することを詫びた。
    僕の報告に困惑する母親との声と、茫然自失の僕を激励する父の声に僕は涙した。
    その時に僕は誓った、この1年を絶対に無駄にしない、むしろもう1年勉強をして立派な社会人になろうと。

    喉元過ぎれば熱さも忘れるというが、僕の熱かった思いも気温が30度を越すようになる6月下旬にはすっかり忘れていた。
    ただ授業には毎週出ていたので卒業についてはあまり心配していなかった。
    東京ドームで野球の試合の係員のバイトをしていたが、試合は毎日あるわけではない。
    つまり僕は暇だった。
    その暇な時間で難関資格の勉強でもするのであれば有意義な留年生活になるのであろうが、春先の誓いなど忘却の彼方だった。
    現在の僕のライフワークであるニコニコ生放送などまだなく(ニコニコ動画ができるかどうかという時期かな)、その時の暇つぶしといえばネットの巨大掲示板だった。
    暇になるとどうしてもエロいことを考えるもので、頭の中はどうすれば女の子と出会えるかということでいっぱいだった。
    某巨大掲示板には突発OFF板というカテゴリの掲示板があって、僕はそこでなんとか出会いを探そう!と考えた。
    でも当時の僕は正直お金が全然なくて電車賃すら惜しかった。
    だから横浜とか都内のOFF会はちょっと行けないな、、でも近場でOFF募集してみたら誰かくるんじゃないか?と考えた。

    僕は突発オフ板に『海の公園で何かするOFF』というスレを立てた。
    しかしスレは全然盛り上がらなかった。
    ちくしょう、やっぱり金沢区は田舎なのか?
    盛り上がっていないもののスレチェックは毎日した。

    4 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/19(月) 00:49:59
    >>1
    海の公園ってどこ?


    みたいなレスがついていたら

    5 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/19(月) 00:52:04
    >>4
    横浜市金沢区だよ!

    と誠心誠意丁寧な返信をした。
    PCとケータイで自演もした。
    そんな努力が実を結び、スレは200くらいまでレスの数が伸びた。

    203 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 18:44:26
    今日、20時くらいから海公で120でもどう?

    僕はこんな書き込みを2日に1回くらい続けていた。
    120とは缶コーヒーでも買ってなんか話すかみたいな意味。
    普段は梨の礫なのだがその日は違った。

    僕の書き込みにレスがあったのだ。

    204 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:26:15
    >>203二人だけど車で行っていい?♀だけど

    キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!
    きた!これはきた!海公スレを立てた甲斐があった!今夜は3pだ!
    これは完全にやれると思った。
    僕は

    205 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:28:47
    >>204 おk 海公で待ってる

    と書き込んだ。
    海公は当時の僕の住んでいたアパートから自転車で10分くらいだったからすぐに自転車に乗り海公を目指した。
    期待に鼓動が高鳴る。さすが俺たちの海公だ。やっぱり海公だ。
    目的地に向かいつつケータイからスレをチェックした。
    性欲が溢れ出る2人組から返信が来ているかもしれないからね。
    スレには女性2人組のレスはまだなく代わりに男と思われる書き込みが2つ新規投稿されていた。

    206 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:34:21
    >>203 俺も行こうかな 柴口の方でいい?

    207 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:34:42
    >>203 仕事終わってから俺も行きたい。多分9時頃

    おいおいおいおい、なんだ君たちは?
    インターセプトか?横取り四拾萬か?
    女がいると聞くとどっから出てくるんだこいつらは。
    まあしかしながら突発オフ板建前上は老若男女だれでもおkだから彼らを排除する権利はない。

    208 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:36:27
    >>205>>206 おk

    とだけ返信をしておいた。

    海公前のファミマに自転車を停めて柴口まで行くと、暗がりに一人立っている人がいた。
    かなり大柄な男だ。身長180センチ、体重120キロはあるだろう。
    「あ、2chのー」
    と僕が声をかけると
    あ、2chと言って近づいて来た。
    巨体に似合わず声が小さい。
    「急なのによくこれましたねー」
    と僕が若干皮肉を込めていうと
    近いからねこんなところでオフとはね、ブツブツ、、と言う。
    おそらく「まあねー」くらいの意味なんだろう。
    明るい所に移動して話していると暗くて最初はわからなかったがこの人かなり独特な服装をしている。
    毛玉が全体に出てるジャージをシャツインスタイルで着こなし、足元はキティちゃんの健康サンダルだ。
    明らかに初対面の人と会う時の格好ではない。
    そして筆舌に尽くしがたい異臭がする。
    この人、風呂入ってねえだろ。こりゃやベー奴がきたな。どうしよう。。
    「他の人まだこないんですかねー」
    ヤバスな奴書き込んでおくか、、、まだこないとは、、、迷、、ブツブツブツ
    ちょっと会話にならない。
    これは逃げたい。でもこのあと女が二人来るんだ。

    209 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 19:51:36
    合流^ - ^柴口の駅のところにいるよ

    とヤバスな奴が書き込んだ。
    頼む、早く来てくれ。俺を助けて。

    210 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 20:40:02
    >>209
    わかったお あと5分くらいで着くお(^ω^)

    と女性二人組から書き込みがあると
    211 名前:名無しさん[] 投稿日:2007/6/26(月) 20:42:34
    >>210
    おk 盛り上がり中(・∀・)

    ヤバスな奴はどこの世界のオフ会について書き込んでいるのだろうか。 ヤバスな奴ブツブツ、あと5分で着くって、ブツブツ
    5分間そのヤバスな奴は小声でブツブツ何か言い続けていた。
    このぶつぶつに対して何か僕はリアクションするべきなんだろうか、これはもしかして独り言じゃなくて俺に話しかけているのか?
    そんなことを考えながら5分が過ぎた。

    白い軽自動車が駅の前に現れた、と同時にその瞬間ヤバスな奴が車に猛ダッシュして行った。
    さらにその1秒後、女性2人を乗せた白い軽はUターンし、来た道を走り去って行った。
    ヤバスな奴はあ、あー!と言っていたが、対照的に俺は何も言えなかった。。。
    女2人とのオフ会がヤバスな奴のせいで無くなってしまった。
    てかそんな巨体がもうダッシュして行ったら怖いだろ。。。
    3分間その場に立ち尽くした。そしてもういいよ、帰ろう。そう思った。
    もうあまり深く考えたくなかった。
    じゃ、じゃあ解散しますかーと言いかけたところ、赤いスポーツカーが僕らの前に止まった。
    あれ、オフ会?俺書き込んだんだけど!」
    どうやら後から書き込んだ二人目>>206の男らしい。
    これはチャラい奴だ。
    チャラい奴は車から降り、僕らの方へ歩いてきた。
    チャラ男はオフ会慣れしているようで気さくに話しかけて来る。
    YRP野比でケータイを作る仕事をしてるらしい。
    でもヤバスな奴の異様さにはすぐ気がついたらしく、
    「なあ、こいつやばくね?逃げようぜ」
    と言わた。
    僕もこのオフ会の締め方がわからず困っていたのでその案に乗ることにした。
    「ちょっと僕らファミマで買い物してきますよー」と言ってチャラ男の車に乗り込みヤバスな男から逃げた。

    チャラ男「結局女来なかったんだ、まあ変な奴もくるからしょうがないね」
    夜の海公の生温かい風が車内に吹き込んでくる。

    自宅の最寄駅でチャラ男の車を降り歩いた。
    そう言えば自転車で海公前のファミマまで行ったんだ。
    明日は週一の授業の日だ。
    徒歩で学校に行くのはちょっとめんどくさいな。
    明日は授業をサボって自転車を取りに行こう。
    だけどヤバスな奴が明日までファミマで待ってたらやだな。。。

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  • 銀杏BOYZ 恋とロック三部作レビュー(2017年9月頃のコミュニティプロフィール)

    2017-10-12 21:52
    みなさんは最後にCDを買ったのはいつだったか、何のCDだったか覚えているだろうか。
    いつからか最近はYouTube等で音楽を聴くのが当たり前になっている。
    今や音楽を聴く目的だけでCDを買う人は少数派だ。
    CDはもはやポスターや団扇や下敷きみたいなファングッズの一つのようになっている。
    今の小学生や中学生はCDの聴き方すら知らないなんて本当か嘘かわからない話も聞いたことがある。
    スマホ世代はPCすら使えないというのが本当の話として語られているのだからCDの聴き方がわからない中学生というのも信憑性がある話だ。

    2017年夏、銀杏BOYZ(峯田和伸)は3ヶ月連続でSingleCDをリリースした。
    銀杏BOYZとは峯田和伸のソロアーティスト名で、もともとはGOING STEADYというバンドでして活動しており、GOING STEADY解散後に銀杏ボーイズとして再結成、バンドメンバーが次々脱退し現在では峯田和伸一人のプロジェクトとなっている。
    僕は高校生の頃からGOING STEADYが好きで、大学生になってからは銀杏BOYZを聞き、社会人になってからは峯田和伸をテレビや映画で追いかけた。
    峯田は僕にとっての青春そのものだ。
    初めて手に取ったGOING STEADYのCDはアルバム『さくらの唄』で収録曲は『東京少年』、『BABY BABY』、『もしも君が泣くならば』、『愛しておくれ』等の名曲揃いだ。
    中でも『東京少年』には頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
    静かな導入部分から急に叫び出す男臭いヴォーカル。
    「瞳を閉じれば聞こえてくるだろう 拳握った少年の声が!!」
     僕の育った秋田県能代市はとても田舎で、夜になると道は真っ暗になるし、車で街に出ないと本当に何もないようなところだった。
    そんな環境だったから高校生はみんないつもパワーを持て余していて、同級生たちは原付ノーヘル二人乗りで夜中の自動販売機前でタバコを吸ったり、スーパーでエロ本を万引きしたり、部活に打ち込んだり様々だった。
    でも僕はそんな不良にはなりたくなかったし、部活も集団行動が苦手だしでいつもその余ったパワーを拳で握りつぶしていた。
    「東北少年」は『東京少年』に勝手に自分自身を投影していた。
    「カチカチ耳カス チカチカ星くず あの子に会いに夜空に飛立つ」
    今はこんな田舎に住んでいるが、夜空(都会)に飛び立てば彼女もできてセックスもし放題だ!と思っていた。
    多分僕みたいな陰湿な高校生の歌じゃないんだろうけど、僕は自身の近いところにある曲だと理解していた。
    GOING STEADYをTDK製MDに入れてaiwa製のMDプレーヤーで聴きながら勉強をした。
    それから15年経ったが、今でも峯田は歌を歌い、僕は峯田の歌を聴いている。
    というわけで、今回の恋とロック三部作を紹介したい。

    エンジェルベイビー(2017年7月26日発売)
    https://goo.gl/JuKuxh
    三部作の第一弾となる曲。
    銀杏BOYZらしい全力投球のストレートのようなアップテンポの曲だ。
    この曲を最初聞いた時僕はすごく嬉しかった。
    10年前の峯田が帰ってきたと思った。
    この曲に描かれているのは「どうして僕いつも一人なんだろう ここじゃないどこかへ行きたかった」というどうしようもない閉塞感を抱えた少年だ。
    ロックンロールという武器を手に入れた少年は世界を変えるような力を手に入れた、ロックがあればあの子を連れてデートにだって行けるんだ。
    何も持たなかった少年が最強の相棒(ロック)と出会ったワクワク感と、10代の頃の新鮮でイキイキした弾むような恋を描いている。
    たしかに10年前の銀杏BOYZはそんな曲を多く歌っていた。
    ロックってこんなにすげえんだぞって曲を。
    PVはラジオから流れたエンジェルベイビーを聞いた冴えないおっさんが元気になってめちゃくちゃやるイかれた映像になっている。

    (2017年8月30日発売)
    https://goo.gl/NQ9DBF
    三部作の第二弾。
    このタイトルは好きな人を愛したい、骨までしゃぶるほど愛したいという意味。
    曲調も一作目のエンジェルベイビーよりも大人な感じがする。
    この曲を聞いた時、大学に入って初めて彼女ができた時を思い出した。
    一人暮らしのアパートで昼間から好きとか愛してるとか言い合って抱き合った。
    恋と愛の区別もついてなかったのにね。
    峯田がこの曲で歌っているのもそんな「愛」みたいな「恋」だ。
    軽々しく命も惜しくないと言ってしまったり、「骨までしゃぶらせて」という相手の全部を愛したいという表現は若さ20代の若さなんだろう。
    エンジェルベイビーとはまた違った、大切な人を思う「恋」を歌っている。
    PVでは麻生久美子さんと峯田が夜の商店街を一緒に歩く。
    昔の恋人と当時を思い出して散歩するイメージだ。

    恋は永遠(2017年9月27日)
    https://goo.gl/5yQsoA
    三部作の第三弾。
    優しい雰囲気のメロディアスな曲。
    どこか懐かしいも感じのする曲調。
    この曲のPVの主演はストリッパーの矢沢ようこさん、舞台は川崎ロック座というストリップ劇場だ。
    この曲で 「恋は永遠 愛は一つ」「僕らがいつかロックのレコードを聞かなくなっても、ロックはあの日の二人をきっと忘れないから」 峯田はそう言っている。
    おそらく、峯田が言っているのはこういうことだと思う。
    恋は自分が主役で相手がヒロインの舞台のようなものだ。
    その時もロックは一緒だった。
    その舞台は永遠に色あせない、ロックを聞けばすぐにその舞台が甦るんだ、だから恋は永遠だ。
    僕はこの曲を聞いても、前二作のように昔の自分を思い出したりしなかった。
    でももうちょっと歳をとったら思い出すようになるのかもしれない。
    僕が今までに経験してきた、永遠に色あせない舞台を。

    総評
    ぼくはこの恋とロック三部作が全部好きだ。
    恋とロックってテーマはGOING STEADY、銀杏BOYZのテーマそのものだと思うし、恋とロックを歌わせたら峯田の右に出るものはいないと思う。
    俳優業も好調で歌手としての活動は少なくなってきたけど、男の青くさい部分をこんなに感情的に表現ができる歌手は他にいるだろうか。
    峯田和伸は最高のアートだと思う。


  • 町田事件(2017年8月頃のコミュニティプロフィール)

    2017-08-16 00:40

    日本が一年で一番暑い時期であろう8月9日。
    この日、松本はニコニコ生放送にてナンパ配信(co3668266)を行っていた。
    『95キロだけどナンパしに行く』と題された放送で街行く女性に次々声をかけて行った。

    無視されるのが当然、愛想笑いをしてくれればだいぶマシという状況の中、松本はおっとり系の見た目だがなかなか巨乳なみく(仮名)という19歳の女性と奇跡的にもLINEを交換することに成功した。
    その日声をかけ始めて7人目での快挙であった。
    どうやらみくは友達とこの後予定があるが、その友達の仕事が終わらないらしく一人で時間を潰そうとしているということだった。
    「それなら一緒にアイスでも食べようよ!」と提案し、近くのファミレスに連れ出すことに成功した。

    ファミレスでみくにかき氷を奢り、自分はオムライスを注文。
    ファミレスのオムライスは卵がふわとろで安定してうまい。
    また箸の持ち方が変な人は誰かと食事する際にはオムライスとかグラタンのようなスプーンで食べる食べ物がおすすめである。

    食べながらみくについて質問していく。
    前述の通りみくは19歳の女性で、この近くで一人暮らしをしている。
    高校を卒業後、専門学校へ進学したが現在は休学中でアルバイトをして生活している。
    幼少の頃に父親の母親に対するDVが原因で母親とともに夜逃げ同然で神奈川県に逃げてきた。
    以来母子家庭という苦労の多い環境で育ったが、高校では部活ではキャプテン、生徒会でも役員を任されるなど模範となる真面目な生徒だった。
    3か月前に彼氏と別れ現在恋人はいないとのことだった。
    女友達もあまりいなく、それは女は色々と関係が面倒だからということで、男友達の方が多いといい、もっと友達を増やしたいと語った。
    松本はみくの状況を知り、下心だけで接した自分を恥じた。
    「じゃあ今日から俺たちも友達な」
    松本のその言葉は自分がみくにとって何か力になれればいいなという本心から出た言葉だった。
    「うん!」
    みくも満面の笑顔で松本に返答した。

    話せば話すほどみくは心を開いていった。
    「職場は食品工場だからおばちゃんばっかなんだよねー」
    「この前もワンピースもらったんだけど、おばちゃんのセンスでハデで着れない!」
    「一日中パイナップル切るんだよー」
    と松本の質問よりも多くを語った。
    「職場に男はいるっちゃいるけど、みんな身体目当てみたいなさ、、、」
    となぜか急にみくの方から下ネタを振り込んできた。
    お、この子は下ネタもいけるな!と松本は確信した。
    松本は一旦しまっていた下心を再び取りだして、
    「えー、じゃあ結構遊んだりしてるの?」とみくに聞いてみた。
    「うーん、最近は遊んでないかな!去年はやばかったけど笑 私初めてが結構遅くて高3の卒業式の前日で彼氏とね、前夜祭って自分の中では呼んでるんだけど、それが初めてだったからそれから解放されちゃったみたいで笑 卒業してから出会い系で4日間で16人と会って!1日目6人、2日目5人、3日目3人みたいな感じで!多分一番年上が50代かなー。彼氏は今まで4人いたけど、そのうちやったのは2人で、前の彼氏は二週間付き合ったけどやらなかった!結構みんなツイッターでDMがきて会ったりしてるんだよね!セフレは去年20人くらいいたし笑 ねー、私経験人数何人くらいに見える?ぶっちゃけ100人超えてるんだよね笑次で112人笑友達から聞いたんだけど経験人数が自分の年齢超えてるとヤリマンなんだって!ヤバくない?笑友達に人数の話したら歩く肉便器って言われた笑ヒドくない?あと、facebookで申請がきて、会ってヤッたんだけど、そいつの友達のとこ見たら前にあってやった奴がいて!それでどういうことか聞いたらどうやら友達同士らしくてみくのこと簡単にヤレるとか言ったらしいのね!ヒドイよね!そのあと3人で会って3Pしたけど笑ア◯ルもしたし笑」

    なんだこの女は…!?スーパーオサセじゃねえか!!
    数分前まで下心をしまっていたことなんて完全に忘れて松本は「えー、じゃあおもちゃとか使ったことあるの?」などと言う気持ち悪い質問を年が一回り以上離れたみくにしていた。
    ちなみにみくには28歳ということにしていた※本当は33歳です。
    「ローターバイブ電マならあるよ!まああんまり好きじゃないけど」

    これは完全にヤレる女だ。
    松本はナンパして即ホテルなんて都市伝説だと思っていた。
    無視されて当たり前、連絡先を聞けたらヒット、ファミレス等に連れ出せてホームランだと思っていた。
    松本は「俺は今満塁ホームランを打てる打席に立っている」と実感した。
    しかしその日は平日、時刻は既に23時近く。終電は24時。翌日は朝から仕事。
    休憩2時間するとして今から直ちにホテルへ行っても終電に間に合わない。
    松本は瞬時に時間の方程式を解いた。福山雅治扮するガリレオが事件を解くときのように。
    みくはこのあと友達が家に泊りにくるのだという。
    そういった状況もあり、松本はこれ以上この日みくを連れ出すのは得策ではないと判断した。
    結局この日は気をつけて帰るんだよと声をかけて駅で別れ、大人の男性を演じたのだ。
    19歳の小娘なんて大人の余裕を見せつければ簡単に落ちる。
    次に会うときは確実にベットインだ!
    松本はそう確信していた。

    次の日も松本は町田にいた。
    そして2日連続のナンパ配信枠を取った。しかし真の目的はナンパ配信ではない。
    みくとヤるためだ。
    1時間の配信枠を松本はテキトーに流した。
    ナンパ配信でヒットが打てなくても、もうヤり確がいたからだ。
    配信にイマイチ身が入らない松本をリスナーたちは叱責したが全く届かない。
    結局この日は7打数0安打(声かけ7人、LINEゲット0人)に終わった。
    配信が終わって松本はみくにLINEをした。
    「みくちゃん!今日は忙しい?」
    「うん!忙しいかな」
    おっとー、出鼻を挫かれる返信だが、最後の忙しいかなに一抹の希望が見える。
    「今日も町田にいるんだけどこれから泊りで遊ぼうよ!明日仕事行く準備してきなよ!」
    もうこういうヤリマンにはこのくらいストレートの方が伝わりやすいと思っていた。
    ヤリマンだから別にもどかしいステップを踏むこともない、ヤリマンはセッ◯スがしたいはずだ!と松本は本気で思っていた。
    「あったらなにするの?」
    何するもかにするもねーだろ!セッ◯スだろセッ◯ス!と思ったがここは相手が警戒している?もうちょっと慎重にに行った方がいいな。
    「泊まって話して一緒に寝るー」
    我ながらなかなかスマートな切り返しだ。デブだけど。
    「変なことはしない?」
    変なこと?ヤリマンのくせに変なことも何もないだろ!
    「するなら来ない?」
    既に松本が想定していた問答からは外れていた。
    「するって?」
    するって?じゃねーよ!!何言ってんねんヤリマンのくせに!
    いや、待てよこれはヤリマンのボケなのかもしれない。
    コミュニケーションの一つなんだろう。
    そう思って思いっきりツッコミを入れた。
    「そりゃーエッチでしょ!!」
    これ以上ないわかりやすい文章だ。他に解釈のしようがない。
    するとみくからはこんな返信が来た。
    「あー」
    「みく、誰でもいいって訳じゃないから」
    それは松本にとって1%も予見していなかった返信だった。
    今日は確実にヤレるそう思っていた。
    その思いがこうも簡単に打ち砕かれた。
    松本は1年半ほどで111人やった女の112人目にはなれないのだ。
    その理由は「みく、誰でもいいってわけじゃないから」だ。
    松本は笑い、「これは事件だ・・・」とつぶやいた。
    笑っていたはずなのに頬に一筋涙が伝った。
    そして真夏の生暖かい雨に打たれて帰路についた。
    この2017年8月10日の松本の行動とその結果を町田事件と呼び、松本セクシーナイトにおける凄惨なる事件として心に深く刻みたい。

    この事件における松本の敗因は全て松本自身にある。
    それは自分より一回り以上年の離れた異性に対し、当初友達になろうと言ったにも関わらず、すぐさま自分の発言を忘れ彼女を性的な目だけで見たことだ。
    友達になろうと松本が言ってから彼女は心を開いてくれたのだ。

    どんな時でも相手を尊敬する心を忘れてはいけない。
    松本にはそれが欠けていたのだ。