• 【第9回総選挙】シンデレラへーそ総選挙アフターレポート【個人企画】

    2020-05-17 14:33

    ○序文

     第9回シンデレラガール総選挙およびボイスアイドルオーディション、お疲れ様でした。そして此度、私のへそプレゼン企画、 #シンデレラへーそ総選挙 に参加してくださったすべてのプロデューサーさんに、改めてお礼を申し上げます。

    「第9回 シンデレラ"へーそ"総選挙 ~おへそはシンデレラガールを救う~」開催概要

     本記事はこの個人企画のアフターレポートとなります。動いた投票券の数や参加者数、プレゼン数などのデータを挙げつつ、企画を動かしながら見たり感じたりしたことをざっくりとまとめていきます。

    ○企画結果発表

     まずは、この企画におけるいろいろな数字を公表していきます。今回は一部抜粋となりますが、要望が多かったなら企画の集計で用いたスプレッドシートを公開しますので、私のツイッターアカウントにその旨を伝えていただければ幸いです。

    ・総応募者数:180人
    ・受付プレゼン総数:307件
     本企画で一度でもへそプレゼンを送ってくださった方の数は、180人にも及びました。そしてへそプレゼン総数は307件です。各回の投稿者数と投稿プレゼン数は以下の通りです。

    通算応募回数ごとの応募者数各回のプレゼン受付件数
    1回135人第一回119件
    2回18人第二回25件
    3回8人第三回27件
    4回5人第四回15件
    5回2人第五回22件
    6回5人第六回14件
    7回4人第七回47件
    8回3人最終回38件

     募集は8回に分けて行われたので、プレゼンを8回投稿してくださった3人は皆勤賞となります。蛇足ながら付け加えると、その皆勤賞3人はそれぞれおおよそ760枚から770枚ずつの投票券を自担にもたらす結果となりました。

    ・投票券総数:24500枚
     本企画で動いた投票券の総数は、販売されていた総選挙応援セット換算でだいたい81セット半。そのすべてを有償で用意したわけではありませんが、それでも結構なコストを投じたなと感慨深くなるところがありますね。とはいえ投じたコストの元をとってなお余りある楽しさを得られたのは紛れもない事実でした。
     アイドル別の得票数を、上位から順にいくつか公開します。また参考として、それぞれのアイドルで寄せられたへそプレゼンの件数と応募者数も添えておきます。


    アイドル名得票数プレゼン件数応募者数
    遊佐こずえ3843票40件15人
    堀裕子3643票38件11人
    緒方智絵里3180票31件10人
    龍崎薫2932票18件5人
    一ノ瀬志希1331票12件8人
    星輝子1044票9件5人
    北条加蓮925票9件3人
    小関麗奈738票8件2人
    城ヶ崎美嘉656票10件9人
    鷹富士茄子609票4件3人


     こうして見ると、上位陣は同担同士で連携して本企画に参加してくださっているのが見てとれますね。前述した皆勤賞3人も、トップ2のいずれかの担当の方です。付け加えると、3000票を越えているアイドル3人に関しては、全部で八回あった募集のすべてでへそプレゼンを頂戴しました。熱心かつ継続的なプロデュース活動に、改めて敬意と感謝を。


    ○へそプレゼン紹介

     数百件も寄せられたへそプレゼン、その全てに目を通させてもらいました。そのいくつかを紹介します。

     最も多かったのは、公式のおへそ素材を使ったプレゼン。おへそが出ているイラストや3Dモデルのスクショは、本企画における王道と言えるでしょう。

     フィギュア化されているアイドルには、立体物のおへそという攻め手もありました。着々と増えつつあるデレマスアイドルのフィギュアの宣伝、という側面も見られます。

     中には、イラスト・スクショ・フィギュアのすべてを一挙に使うという連携技も。これが出来るアイドルは多くはありませんが、そこに気づけるような発想の飛躍は、なかなかできるものではないかもしれません。

     また、数としては多くはありませんでしたが、自作の絵や立体物を活用する例もありました。優劣をつける意図はありませんが、やはりご自身の創作物でのアピールは目を引くものです。


     少し変わり種としては、おへその出ていない公式イラストからおへその話に繋げる例もありました。レギュレーションで語りました通り、本企画におけるへそプレゼンで、おへそが見えているものを用意しなければならない道理はありません。

     また、視覚的なおへそだけに頼らないといえばテキストメインのへそプレゼンもアプローチのひとつ。長く熱い語り、存分に堪能させていただきました。余談ですが本企画ではメモスクショを忌避していません、むしろ個人的にはそっちの方がありがたいことすらあります(ツイート本文に載せるのが迷惑だ、と言いたいわけではありません、念のため)。


     テキストに重きを置く手法の亜種として、おへそを出すことのエピソードに触れるものもありました。こういった歴史的な着眼点は担当プロデューサーならではと言えましょう。

     そして、ある意味で一番面白かったのが、明らかに幻覚を見ていると思しいへそプレゼン。普通に読んだら「お前は何を言っているんだ?」と言いたくなるような荒唐無稽な論説、しかしそれを「……なるほど?」と納得させるような前のめりさ。本企画における、一種の醍醐味です。

     まさに十人十色。各々が持つ素材や発想を存分に活かし、己が担当アイドルのおへその魅力を売り込む。参加された皆様の熱意と創意と心意気に、改めて敬意と御礼を申し上げます。見事なへそプレゼンの数々、ありがとうございました。



    ○所感
     総じて、本企画は成功と言っていいでしょう。少なくとも、目立った瑕疵や問題はありませんでした。が、それはそれとしていくつかの改善点があったのも事実です。以下、いくつかを挙げていきます。

    ・「いちプレゼンの重さ」と票管理の両立
     企画概要にて「プレゼンを投稿するタイミングによってお得だったりお得じゃなかったりすることが多々ある」と述べました。よってプレゼン1つあたりの配布投票券数に幅があること自体は想定内でした。が、下は8票で上は200票となると、流石にあまりにも格差が大きすぎます。第10回総選挙でも私は本企画を運営する腹づもりではいますが、その時はもう少し平等な配分になるよう工夫したいですね。例えば……「基本はプレゼン1件あたり100票、ただし受付したプレゼンが20を越えた時点で『2000票を受付プレゼンで分割』に切り替える」……といった具合に。
     総選挙中にも少し呟きましたが、「解放投票券の総数を予め提示し、それを受付したプレゼンで等分する」というシステムは、投票券管理のために設けたものでした。へそプレゼンが何件寄せられるかは蓋を開けてみなければ分かりません……片手で数えられる程度か、それとも数十を越えるほどか。もし、プレゼン1件あたりの投票券を固定にしていて、かつ膨大なへそプレゼンが寄せられていたら、"支払い"に困窮していたかもしれない。へそプレゼンに応えるために総選挙応援セットを買い込むのはまったく構わないのですが、それでも投票券が足りなくなってしまったら……。そういうリスクに対処するために、上限の方を決めていたのです。
     有償にせよ無償にせよ、入手できる投票券の数は、実際に総選挙が始まるまで分かりません。完璧に状況に合致したルールや運営方針を予め立てるのは不可能に近く、そのために今回のように「プレゼンの重み」に大きな格差が出てしまいました。しかし、不可能に近いと言ってももう少し柔軟な対応はできたはず。これは、明確な反省点です。

    ・プレゼンへのレスポンス
     プレゼンに対する私からの反応も、もう少し何とかできたかなと考えるところがあります。前回のへそプレゼン企画では、毎回ではないにしても「特にスゴイと思ったプレゼン」を紹介していました。翻って今回は、紹介できたのは1回だけ。反応をするのは義務ではないですが、投稿者の目線に立つと、やはりレスポンスはないよりもある方が良いものでしょう。
     私自身にも総選挙やその個人企画以外に生活や予定があり、へそプレゼン企画にすべての時間を投じるわけにはいきません。しかしそれでも、受け取ったへそプレゼンやそれを送ってくださった皆様をもう少し大事にするべきだったと、今にして自省している次第です。

    ・企画広報
     ある意味で最大の、そしてきっと永遠につきまとう問題が、この企画をどうやって広報・宣伝するのかという点です。今回は200人近い参加者に恵まれましたが、次回も同様に事が運ぶとも限りません。それに、せっかく個人企画を運営するのだから、より多くの人を巻き込みたい。その結果として、本企画のようなムーブメントを快く思わない人の目に付いたり、対応しきれないほどのプレゼンが寄せられたりすることもあるかもしれません。
     が、まぁ、それくらいなら個人企画の醍醐味の範疇。それに、仮に何かしらの理由で企画がポシャったとしても、誰かに迷惑をかけることもおおよそないでしょう(最低最悪でも、ポシャるまでに頂戴したへそプレゼンに応えるだけのことはやってから畳みます)。
     あれもこれも自分一人でやらなくてはならないけど、自分以外にリスクや被害が拡散することはほぼない。個人企画ならではの気楽さ、とも言えましょう。


    ○次への展望

     つい癖で長々と書いてしまいましたが、これにて今回のへそプレゼン企画のアフターレポートを終了します。繰り返しになりますが、参加してくださった皆様、まことにありがとうございました。

     これまで何度か述べています通り、第10回シンデレラガール総選挙でもへそプレゼン企画は動かすつもりでいます。コロナ禍の只中でも奏せ挙をやりきったシンデレラガールズのことです、世界核戦争が起きたりシンデレラガールズそのものが潰れたりしない限りは来年の総選挙も実施されるでしょう。
     今回得られた知見や経験をもとに、ルールや運用方法をもう少し洗練させますので、その時はまたよろしくお願いします、といったところで筆を置かせていただきます。

     改めてとなりますが、ご参加くださったすべてのプロデューサーさんに最大限の謝意と、天下無敵の幸運を!


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  • 『オタク is LOVE!』の構造解析 ~推しの鼓動は愛~

    2020-05-10 16:39

    ○序論

     本稿は、デレステで初披露となった虹色ドリーマーのユニット曲『オタク is LOVE!』やそのイベントコミュなどを読解し、またそれらに関していくつか論考したものである。



    ○虹色ドリーマーのおさらい

     まず、虹色ドリーマーというユニットについて軽くおさらいしよう。メンバーは荒木比奈、神谷奈緒、安部菜々の三人。ユニット曲が『オタク is LOVE!』であることからも察せられるであろうが、いずれもいわゆるオタクである。つまりは「オタク」がテーマのトリオユニットだ。

     とはいえ、オタクという語は今や相当に広範な意味を持つ。虹色ドリーマーの三人もその例に漏れず、オタクとしての有り様は少なからず異なる。荒木比奈は同人漫画描きで、安部菜々はアイドルへの憧れが強い元地下アイドル。そして神谷奈緒は、あまり表に出さないがアニメ鑑賞を趣味と明記している。
     趣味に浅い深いを言い出すのも無粋とは思うが、慣用的にディープという表現を用いるなら、同人誌を出している荒木比奈CDを自費出版してアイドル活動を行っていた安部菜々は、オタクと呼ばれる人たちの中でもディープ寄りであろう。一方で神谷奈緒のオタクらしい行動といえばアニメ観賞くらいで、オタク趣味の範囲においては自ら率先してコンテンツを作る側に立つことはなく、故にディープとは些か言い難い。また、その神谷奈緒と比べればディープな部類に入る荒木比奈と安部菜々も、どちらもある種の表現者でありながら「作品を作って発表する」と「自らステージに立つ」という風に手段や媒体が大きく異なる。
     オタク系ユニットとして規定されている虹色ドリーマーは、だが実のところ三者ともに、オタクとしての特徴にはいくらかの違いがある。この「異なる『好き』を持つオタク三人」という特徴は後にも出てくるので覚えておくように。

     さてこの虹色ドリーマー、公式ではどのように描かれているかというと、どちらかといえば「ステージで歌い踊るアイドルユニット」よりも「オタク仲間のアイドル達」という一面を押し出すことの方が多いように感ぜられる。

    虹色ドリーマー - 荒木比奈wiki - Wiki3


     聖地巡礼だのアニメ鑑賞会だの、温泉での謎の光だの……アイドルユニットとしてどんなパフォーマンスを見せているのか、どういう歌やダンスを披露するのか、モバマスのテキストだけではいまいちピンと来ない(二次元に迷い込んだようなキラキラなステージを演出する、という程度か?)。とはいえシンデレラガールズにおいてそのようなユニットはそれほど珍しくなく、デレステのユニット曲実装によってようやく明確なイメージが描かれたという例も多々ある。
     加えて、アイドルユニットとしての描写が少ないことは必ずしも悪いことばかりでもない。その分、メンバー三人の単なるオタクとしての会話を増やせる、つまりプライベートでの付き合いや仲の良さの描写に比重を寄せることができる。それでも絶対量としては多いとは言えない文章量だが、少なくとも「描写をオンよりもオフの方に大きく偏らせている」という点は押さえておきべきだ。

    ○『オタク is LOVE!』の分析


     「異なる『好き』を持つオタク三人」、そして「主な描写をオンよりもオフの方に大きく偏らせている」。虹色ドリーマーのテーマであるこの二点は、楽曲『オタク is LOVE!』とそのイベントコミュでも如実に表現されている。

     たとえばMV。「異なる『好き』を持つオタク三人」は、歌い出しから「アニメ、漫画、アイドル」と三人の好きなものをそれぞれ名指ししてOKと全肯定して表現しているし、好きの気持ちに上下などないと啖呵を切ってみせている。極めつけはサビで、愚直なまでに「好きだ、好きだ、大好きだ」と連呼しているくらいだ。
     「主な描写をオンよりもオフの方に大きく偏らせている」に関しては、あからさまに中野ブロードウェイやオタクショップを意識しているステージと、「神」「尊い」という俗っぽい歌詞に分かりやすく表現されている。全体的に直截で地に足ついた表現の多い言葉選びも、観客が描かれているデレステのMVにしては圧倒的に人数が少ない代わりにアイドルとの距離や目線が非常に近しい構成も、「オフの比重が大きい≒心理的にも物理的にもファンと近しい」ことの表現と考えれば腑に落ちる。イベント終了後に公開された2DリッチモードのMVでも、モブがかつてないほど目立つ構成になっている。



     イベントコミュはもっと明示的だ。コミュの大部分が虹色ドリーマー三人の作る同人誌のストーリーと、それを作るべくあーだこーだとアイディアを出し合っている様子に終始している。そしてその同人誌を形作るのは「安部菜々が大好きなアイドル要素」「神谷奈緒が大好きなアニメらしい演出やお約束が山盛り」「荒木比奈が大好きな漫画という表現媒体」。どこを切り取っても「異なる『好き』を持つオタク三人」「主な描写をオンよりもオフの方に大きく偏らせている」の、少なくとも片方のテーマは見出せる。

     『オタク is LOVE!』は、歌詞もステージも随分とキャラソンに寄せた作りとなっているし、コミュにしても定番の結成秘話や絆を深める様子、ぶつかり合いやレッスンなどは悉くオミットされている。良く言っても変化球、悪く言うとウケ狙いやネタ特化とも揶揄されかねない。だがしかし、それもこれも全て「虹色ドリーマーらしさ」を表現する、ただその一点に愚直なまでに集中した結果なのだ。

    ○歌詞の意図、メッセージ

     『オタク is LOVE!』の歌詞について、もう少し突っ込んで論考してみたい。確かに『オタク is LOVE!』は、たとえば近ごろ発表された藤原肇のソロ曲『あらかねの器』のような、壮大な歌詞やメロディではない。それどころか対極にあるほど明け透けでポップな曲調になっている。そして軽快な曲というものは得てして重厚なそれに比べると高評価を得るのが難しい、感動もののストーリーが真面目と称賛される一方でコメディが不真面目と冷やかされるように。しかし、先述したように私は『オタク is LOVE!』は虹色ドリーマーらしさを表現するために心血が惜しみなく注がれた結果の産物だと確信している。「作曲家の人、そこまで考えてないと思うよ」という発想は一切排除しているので、そのつもりで読み進めるように。

     本稿の序盤で述べたように、オタクという語は今や非常に広い意味を持つ。元来は差別語だったことを知らない人も今や珍しくないだろう。だからなのか、『オタク is LOVE!』の歌詞では、Aメロ冒頭で「オタクという語の定義付け」を行っている。学術論文などで「本稿において○○は□□とする」と前置きしてから本題に入るようなもので、そう考えると存外に実直な作りになっているとも言える。

     『オタク is LOVE!』の言うオタクとは何か? 何かを愛している人のことだ。何を愛しているかは問うていない――何度も繰り返し述べているように、虹色ドリーマーの三人からして好きの対象や深さに少なからず違いがある。けれど少なくとも、何かを好いて(愛して)いる、その気持ちに相違はない。オタクという語の持つ意味の広さを逆手に取って、オタクと呼ばれる人たちが共通して持つ「何かを好く(愛する)気持ち」に焦点を絞った。『オタク is LOVE!』においては虹色ドリーマーの三人は己の好みを反映し「アニメもOK 漫画もOK アイドルもOK」と歌うが、当然のことながらオタクの好くものはこの三つに限定されない。プラモやフィギュアなどの立体物、小説や動画など漫画以外の表現媒体、旅行に鉄道に軍事に電子機器に……挙げていけばキリがない、そんな全てを虹色ドリーマーは「なんでもいいんだ」とひっくるめて肯定してみせている。『オタク is LOVE!』のタイトルが、ド直球なまでの答えだったのだ。

     そして、オタクを「何かを愛している人」などという極めて広範な対象をとりうる語として定義したがために、「世界は愛でできている(何かや誰かを愛し大切にする人は世界中にいる)」→「世界はオタクでできている」というなんとも大袈裟な話にまで飛躍している。「何かを愛するのがオタクであり、何かを愛する人が世界中にいるのなら、オタクは世界中にいる。換言すると、世界はオタクでできている」……整理してみると意外なほどに筋道立った論理と言えよう、無駄に大仰な言い回しをしているあたりも含めてオタクらしい。

     このように「好きの気持ちを最大限に肯定し尊重すること」が『オタク is LOVE!』のテーマだとすれば、「ジャージャー」という所謂オタ芸に近い要素が加わっていることにも特別な意味を見出せる。以下、筆者自身はリアルアイドルのオタ芸の類いにはまったく明るくないので幾分か的外れな分析になってしまうかもしれないことを予め明記しておく。
     私が把握している範囲では、アイマスライブのコールにリアルアイドルのそれが加わるのを快く思わない人はそれなりに見受けられる。MIXとかジャージャーとかイエッタイガーとか、仔細はいまいち分からないのだが敵視かそれに近い姿勢を取る人も珍しくない。そんな中に、あえて「いかにもリアルアイドルっぽい(≒従来のアイマスライブには必ずしも馴染まない)コール」を公式で入れたのは、「そういった類いの応援が好きだという気持ちをも肯定し受け入れるため」ではあるまいか。何せ安部菜々は、虹色ドリーマーどころかシンデレラガールズ全体を見渡しても「アイドルという文化そのもの」への思い入れが特に強い層に属する。『オタク is LOVE!』の「ジャージャー」は、安部菜々を含む、オタ芸の類いが好きな人々の気持ちにも応えるために盛り込まれたのだ

     ……と、ここまでほぼ手放しで絶賛してきているが、個人的に首を傾げたところもないではない。その最たるものは、好きを全面的に肯定しようというテーマそのものが微妙に古臭いことだ。
     オタクと呼ばれる層が世に認知され、気味悪がられ、しかし認知度が上がって偏見が徐々に薄れ、堂々と名乗る人も徐々に増えて……。あくまで筆者の感覚としてだが、昨今のオタクと呼ばれる層は「趣味や嗜好を明け透けにしすぎるのも考え物、特に節度はきちんと守ろう」がトレンドであるように感じられる。少なくとも、好きなものを好きだと公表するのは、今やそう真新しいテーゼでもない。「好きだという気持ちを肯定し、隠さなくていいと説く」という『オタク is LOVE!』のテーマに、些かの今更感を覚えたのは、きっと私だけではあるまい。
     古臭いといえば、上述したオタ芸についても、一昔前の流行を踏襲していないか? という疑念が拭いきれない。とはいえ、繰り返しになるがリアルアイドルの事情やトレンドには詳しくないので、これ以上の分析は避けておく。

     ただ、念押ししておくが、古臭いからといってテーマが悪いと主張したいわけではない。手垢がついている分、普遍的なテーマだとも言える。長いことオタクをやっている身であれば、これまでに何かしらの形でオタクである自分を肯定する(少なくとも何かしらの形で受け入れる)機会はあったかもしれないが、もしかしたら中には『オタク is LOVE!』で初めて「オタクである自分を恥じる必要はない」「好きという気持ちに正直であっていい」と理解する人もいるかもしれない。
     そして荒木比奈は――奇しくも『オタク is LOVE!』でセンターに立つこのアイドルは――そういう人たちにそっと寄り添い、背中を押せる存在でありたいと、望んでいるのだ。

    少しの勇気が明日を変える…。だから、私は、その背中を押すお手伝いを

    SSR[ご注文はひなですか?]荒木比奈+ ホーム台詞より引用




    ○個人の所感
     ここまではなるべく主観的な評価よりも客観的な分析に重きを置いてきたので、ここからは私個人の私感をつらつらと述べていく。

    ・曲調
     曲のテンポは全体的にポップで楽しく、しかしその中でも緩急の付け方が巧妙だ。イントロに僅かに入った行進曲のような箇所やサビ前でふっと沈むところなど、ゲームサイズであっても存外に飽きない。筆者はイベント開始日にEXエリア解放までこぎ着けるにあたり、『オタク is LOVE!』のみを集中的にプレイしたのだが、思っていたほどには苦痛にならなかった(この点に関しては、担当アイドルである荒木比奈の歌唱パートがいくらか多めだったからという理由もあるかもしれないが)。




     フルバージョンにもなればもっと変化に富むだろうと容易に予想できる。何せ『オタク is LOVE!』で作詞作曲を務めたヒゲドライバー氏は『あんきら!? 狂奏曲』も手掛けている。こちらもこちらで、ゲームサイズからは予想もつかないようなフルバージョンで度肝を抜かれた人も少なからずいるだろう、「アレが泣き曲、エモ曲になるなんて」と。シングルCDもそう遠くない内に発売されるだろう、今からまったく楽しみで仕方がない。

    ・壁サーの花との関連性
     ツイッターを見ていると「『オタク is LOVE!』は壁サーの花のユニット曲なら納得できた」という声がいくらか見えた。壁サーの花といえば荒木比奈と大西由里子のデュオユニットである。私としてはその発想は、ツイッターを見るまで思いつきもしなかった。

     これまで何度も述べているように、虹色ドリーマーの特徴は「異なる『好き』を持つオタク三人」「主な描写をオンよりもオフの方に大きく偏らせている」に集約できる。そして『オタク is LOVE!』はこれらの特徴に即した楽曲およびMVだとも。そして壁サーの花は、オタク趣味のアイドルユニットという点では一致しているものの、相違点も多々見受けられる
     たとえば「オタク」としての方向性。壁サーの花は同人誌文化にとりわけ馴染み深い二人組で、この時点でオタク三人組でありながら好きの種類が異なる虹色ドリーマーとは一線を画す。そして範囲が狭い分、より深くニッチなテーマを楽曲で表現することもできるだろう、好きという極めて普遍的な気持ちに焦点を当てた虹色ドリーマーとは違って。ついでに言うと、腐女子趣味のある大西由里子がいる分、明るくポップな『オタク is LOVE!』よりも耽美な、あるいは退廃的な雰囲気さえ似合ってしまうだろう
     広くて浅いオタクが虹色ドリーマーなら、狭くて深いオタクが壁サーの花だ、と対比できる。これが『オタク is LOVE!』が、そのままでは壁サーの花のユニット曲には相応しくないと私が考える理由だ。とはいえ壁サーの花のユニット曲としては不適というだけで、大西由里子自身はこの曲に思うところはない、どころか応援する気満々であることは、報酬SRや楽曲選択画面の背景などにおける隠然とした存在感からも察せられる。


    ○終わりに


     モバマスからデレステと、連続して荒木比奈の出番があった四月半ばから五月初旬。190人ものアイドルを擁するシンデレラガールズにおいて、別ゲームとはいえここまで出番が連続するとは、去年どころか四月頭の自分ですら思ってもいなかったろう。しかも待望の虹色ドリーマーのユニット曲が発表された、その上、内心の自由および表現の自由を全面的に肯定し応援するメッセージ込みときた。これほどまでに贅沢な時間があっていいのかと、今なお夢見心地なところがある。
     何かと息苦しく、先も見えない情勢ではあるが。いつか『オタク is LOVE!』をステージで歌い踊る様に、そしてそれにあらん限りの声援で応える機会に、接することができるのを願ってやまない次第である……と、いったところでいったん筆を置かせてもらおう。





























     あ、でも一点だけ。


    もーちょっとおへそ映えするMV構成だったら文句ナシだったなー!
    (へそ顔ダブルピース)


    ので、モルフェウスチルドレンか夢色パレットか壁サーの花のユニット曲が出る時はもっとおへそアピールしよう! へその人との約束だ!




     


  • 「第9回 シンデレラ"へーそ"総選挙 ~おへそはシンデレラガールを救う~」開催概要

    2020-04-15 21:29

     雨ニモマケズ風ニモマケズ、コロナにもマケズ。今年もやってまいりましたシンデレラガール総選挙、シンデレラガールズ界隈がどったんばったん大騒ぎする狂乱の一ヶ月。今年はボイスオーディションも併催されるとあり、いつも以上に動向が予測できませんね。

     そんなお祭り騒ぎに乗じ、ドラフト生や俺達の少女Aといったお馴染みの企画も立っているようですが。今回は私も、個人でちょっとした企画を動かしてみようと思っています。

     題して『シンデレラへーそ総選挙 ~おへそはシンデレラガールを救う~』




     私との付き合いが長く、かつ勘のいい人なら「おへそは○○を救う」のフレーズからお気づきかもしれませんが。これは2018年末から2019年頭にかけてミリシタで開催された『THE@TER CHALLENGE!!』において私が行ったトンチキ企画の、シンデレラガール総選挙版となります。

    【ミリシタTC】THEATER "OHESO" CHALLENGE!! ~おへそはアイドルを救う~
    【ミリシタTC】THEATER "OHESO" CHALLENGE!! アフターレポート

     概要は簡単。「アイドルのおへそをテーマにした小プレゼンを募り、引き換えに投票券を差し出す」です。大枠としては、「投票先を決めたいからダイマ募集!」というよくあるやつですね。
     違いがあるとしたら、募るのは単なるダイマではなく、アイドルのおへそに関するプレゼンだということ。



     企画のプロセスを仔細に解説すると、次の3つのステップに分けることができます。

    【ステップ1:へそプレゼン募集ツイートを投稿する】
     へそプレゼンとは、先述した通り、特定のアイドルのおへそに関するプレゼンです(細かなレギュレーションは後ほど)。そしてそのプレゼンはツイッターにて募集します。私が自分のツイッターアカウントで、本企画のハッシュタグのついた募集開始ツイートを投稿するので、投票券を獲得したいプロデューサー諸兄諸姉は、そのツイートにへそプレゼンをリプライで送ることで本企画に参加する形となります。フライングはNGなのでご了承を。
     このプレゼン募集ツイートには「プレゼン募集期間」「解放投票券の枚数」の2つの情報が含まれます。プレゼン募集期間は読んで字の如くにプレゼン受付の締切。解放投票券については後ほど詳しく解説します。

    【ステップ2:へそプレゼンを受け付ける】
     へそプレゼンのレギュレーションは下記の通りとします。

    ①アイドル1人を明記すること
     プレゼン1回につき対象とするアイドルは1人だけとします。プレゼンの流れで他の子の話題がちらりと出てくる分には許容しますが、その場合でも票を割り当てるのはメインのアイドル1人だけとします。

    ②そのアイドルならではのおへそについてプレゼンすること
     おへその画像をドン! ……これだけじゃあプレゼンとは呼べません。あなたが推すアイドルのおへそには、どのような魅力や可能性があるのか? おへそを通して見るアイドルの個性とは? 私が聞きたい、投票券を捧げたいと思うのは、そういう創意工夫あるプレゼンです。

    ③表現媒体は不問
     プレゼンの媒体に制限はかけません、使えるものは何でも使ってください。おへその映える一枚絵、長文メモスクショ4枚貼り付け、公式のカード絵やデレステMVのスクショ、動画や音声、なんでもOKです。複数ツイートに跨った長いプレゼンも受け付けますが、その場合はリプライツリーでの紐づけをお忘れなく。
     条件を満たしていると判断したへそプレゼンには、いいねを付けてリツイートします。それが受け付け完了の合図だとお考えください。場合によっては確認に時間がかかったり、受け付けする順番が多少前後するかもしれませんがご了承を。また、あくまで個人企画ですのでリプライの見落としがあるかもしれません。その場合はご容赦いただければ幸いです。

     なお、同一人物による複数回のへそプレゼンの是非については、「1つの募集ツイートに複数送っても、最初の1つのみ受け付ける。異なる募集ツイートへの応募であり、かつ、内容が異なるへそプレゼンであれば、改めてカウントする」というルールにします。二の矢、三の矢を撃てる猛者は、日を改めて応じてくださいな。
     それと、今回はあくまで「総選挙の投票先を募るための企画」として動かします。つまり「へそプレゼン送るからボイスオーディションはこの子に!」というのは受け付けません。理由は単純で、ボイスオーディションにおける私の投票先は既に決めてあるからです。こちらもご了承ください。


     特に脈絡ないですけどセクシーデリバリーどうぞ。特に脈絡ないですけど。ないですよ。ナイスセクシー。セクシーへそは世界を救う。

    【ステップ3:募集終了後、投票券を割り振る】
     募集期限を過ぎてから、受け付けたへそプレゼン全てに対し、(ステップ1の募集ツイートで明示した)解放する投票券を可能な限り平等に割り振ります。
     例えば、解放投票券が10枚に対し受け付けたへそプレゼンが2件だった場合は、それぞれのプレゼンで紹介されたアイドルに5枚ずつ投票します。平等に割り切れない場合は応募が早かった方に多めに割り振ります。解放投票券10枚に対しへそプレゼンが3件なら、最初の1件に4枚残り2件に3枚ずつ……といった感じですね。
     ここでミソとなるのは、投票券の割り振りが「アイドル単位」ではなく「へそプレゼン単位」になる、というところにあります。解放投票券10枚に対しへそプレゼンが5件、そのうち4件が同じアイドルだったなら、その子の獲得投票券は8枚! ご同僚ともお誘いあわせの上でご参加いただければ、お互いに旨みが増すものでしょう……私は多種多様なへそプレゼンが拝めて、参加者は投票券を多めにもぎ取りつつライバルに追いすがったりリードを広げたりできる……そちらにとっても、悪い話ではないと思いますよ?

     なお、この投票券配分ルールの都合上、へそプレゼンの数が解放投票券と同じになった時点で(少なくともその募集ツイートでは)新規プレゼンの受け付けができなくなります。そうそう起こる事態でもないとは思いますが、予めご了承ください。







     概要説明としては以上となります。後は総選挙開始までしばしお待ちを……と、放り出すのも何ですので、想定される質問とそれへの答えをいくつか載せておきます。


    Q1:おへそをよく出すアイドルがいればあまり出さないアイドルもいる、不公平な企画では?
    A1:逆に考えるんだ。おへそが出てなくてもいいさと考えるんだ。

     へそプレゼンの条件はあくまでも「おへそをテーマとしている」こと。どういう形であれ、おへそを主題としているのならOKです。
     おへそをよく出す子なら、それをそのまま推し出すのが素直な手でしょう。しかし、おへそをあまり出さない子なら「どうしてこのアイドルはおへそを"安売り"しないのか?」という観点から攻める手がありますね。例えば相原雪乃さんとか、おへそ出してるカード絵は未だ一枚もないんスよ。さてそこからこじつけ……もとい見出せる相原雪乃さんらしさとは? 考えてみる価値は、あるかもしれませんね?

     あるいは、水着やピッチリスーツ越しに確認できるおへそ……いわゆる着衣へそを出発点とするのもいいでしょう。体のラインをバッチリ出す色気に、直には見えないけど形は見える奥ゆかしいおへそ……垂涎ものですなぁ。


     「ダンスレッスン後のおへその香しさ」みたいにシチュエーションを足掛かりにするのもアリですね。そのシチュエーションにそのアイドルらしさが満ち満ちていれば尚良し。


     「誰しも衣服の下にはおへそがあるんだから世界中が実質へそ出し」というコペルニクス的転回から論述を展開してもいい。


     「へその緒の頃から付き合いがある」……というと特定の2人しか出てきませんが、まぁこれもおへそテーマの延長線上にあると言えます。いえ、言います。私が。


     体裁や定義なんぞどうでもいいんです。いわんや、おへそが物理的に見えているかどうかをや。「あなたが推しているアイドル」「おへそ」この2点を繋ぐ論説なら、それがどれだけ荒唐無稽で突飛なものだったとしても私は是としましょう。おへそはあまねく総てを受け入れるものですからね。


    Q2:企画はいつ始まる? 総選挙の開始と同時?
    A2:先立つもの(まとまった数の投票券)が必要なので少しお待たせするかも。

     今回は現金での投票券購入にも積極的に手を出していく所存ですが、それでもある程度まとまった数の投票券が要り様なので、総選挙が始まる4月17日15時からはい募集スタート! とはいかないと思われます。初回の募集は20日(月曜日)の昼前あたりを想定していますが、決まり次第ツイッターの方で報告させていただきます。


    Q3:解放する投票券の枚数は一定?
    A3:その時々の投票券在庫や気分によってちまちま変えます。

     従って、タイミングによってはお得だったりお得じゃなかったりすることも多々あるかと思いますが、ご了承ください。極端な差が開かないよう注意するつもりではいますが、それでも最終募集やその前あたりは相当数の投票券が解放されるものと思われます。


    Q4:ふざけてる?
    A4:ふざけてるに決まってンじゃないですか、全力で。じゃないと面白くならねェってもんです。

     総選挙を真面目にやろうって人には「なんやこのアホ企画」みたいに思う人もいるかと思いますが、そういう人は私のツイッターアカウントと企画のハッシュタグをまるっとミュートなりブロックなりして快適な総選挙ライフをお送りください。企画に乗りたくなんかないって人も同様で結構です。乗りたい好き者どもでワイワイやるのが究極的な目的なもので。
     ……ただ、ひとつ申し添えておきます。前回、ミリシタTCで同様のへそプレゼン企画を動かした際の最終データを見るに、この個人企画で多量の投票券を獲得した陣営は、TC企画全体でも得票率が良かった傾向が強かったです。

     私のトンチキ企画に参加したから、首位争いに加われるほどの勢いを得ることができた? 流石にそんな因果関係はないでしょう。トンチキ企画であっても投票券が得られる以上は全力で取り組む、そういう貪欲さを持った陣営だったからこそ、個人企画でも全体の得票率でも好成績を収められた……そう考えるのが順当でしょうね。
     私のこの個人企画で動くであろう投票券の枚数は、シンデレラガール総選挙全体で見ればそう大した数字にはならないでしょう。しかし、そんな僅かなアドバンテージも逃さずに毟り取らんとするほどの貪欲さが、もしかしたら最後の最後で明暗を分ける……かもしれません。

     おへそはシンデレラガールを救う。それが現実に起こる可能性は、ないとは言えませんね……と、気取ったことを言ったところでひとまずは筆を置くこととしましょう。