注意
・この記事はネタバレを多分に含みます。
制作者後書き
視聴者の皆様、こんにちは。光来斗です。
今年の1月から始めました、CHRONICLEシリーズも堂々完結。
正直なところ、“そもそも制作するべきなのか?”といった時点で悩み抜いたお話でした。
リリカルモンスターズシリーズには、私こと光来斗が自発的に書き上げるギャグに振り切ったお話と。
どこから生まれたのかわからない。気がついたらそこにあった。
そんな風に漠然と私の中に住み着いていた彼女たちの物語を、ただ動画という形に下ろす。“生まれる”お話の二パターンがあるのです。
GODシリーズもフェイトに関するお話は完全に後者の形でできあがっていきました。
しかし、CHRONICLEシリーズは最初期から私の中にあったお話なのに。今まで書き出すことを躊躇し。遠ざけてきたお話でした……
高町なのはという、もっとも書き上げなくてはいけない女の子の物語なのに。
架空デュエルを始め、二次創作で主人公やそれに近い存在が死んでしまう(生き返りもしない)というお話は極端に少ないのは、作者自身がとても大切にそのキャラクターを育ててきたからです。
自身が育ててきた娘を自分で殺すようなお話を、なぜ思いついてしまったのか。それを自問自答しながら、終わりの形を何とか変えられないか。そんなことをふつふつと考えながらも。やはり最初の、この形に帰ってきました。
フェイトを探し彷徨う旅の中で、なのははいろんな物を失っていきます。
シンクロ次元では、話もせずに敵を叩きつぶす覇王色を会得しました。
融合次元では、ホムンクルスだからと言う理由で容赦なくアカデミア兵をなぎ払いました。
その末に、なのははとうとう戦う力と光を失い地に落とされました……
本来のなのはならば、そんな非常な手段は取れなかったでしょう。どれほどの劣勢に立たされようとも、どれほどの数の敵に囲まれようとも。決して言葉をかけることをやめなかったはずです。
しかし、彼女は力を振るった。探しているフェイトと同じ、人造魔導師であるアカデミア兵をも容赦なく倒して。その事実から目を背けて……
――なぜ。
なぜ、彼女は変わったのか。それはきっと、彼女が子どもらしさを最初に捨ててしまったから。フェイトを助けるためには、犠牲を惜しまないという覚悟を決めてしまったから。
人は変わる。子どもはいつしか大人になる。
そして、彼女自身。それを理解していた。
アリシアを追い求めたプレシアのように。自分がやろうとしていることが彼女と大差ないことを理解していて、それでも。もう一度フェイトに会いたいと願った。
しかしやはり、その願いは届かず。彼女は敗れ散った。
全ての力を失い。全ての光をなくし――
そして、彼女は闇の中で最後に残った魔法を見つける。
子どもだった彼女では決して見つけることが出来ず。
仲間との旅を乗り越えなければたどり着くことが出来ず。
母親にならねば生み出すことの出来ない、たった一つの奇跡の軌跡を。