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宇宙戦闘機の実現性に関する一考察
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宇宙戦闘機の実現性に関する一考察

2015-01-07 22:58
    色々と個人的に

     「宇宙戦闘機」という概念は(その内容に細かな差異はあれど)数多くの創作作品に登場する為、今更説明する必要は無いだろう。尤も、一口に言ってもその実態は作品によってバラバラであるし、考察する以上ある程度の定義は必要であろう。そこで本稿では「機動力及び火力(そして数の優位性)を駆使し、敵勢力の同様の兵器や大型艦艇の撃沈を目的とした小型(単座もしくは複座)宇宙船」とする。
    (エースパイロットの駆る特別仕様の機体が敵軍を次々と撃ち倒す、という表現はフィクションとしては痛快であるが、リアリティという点ではやや難があり、考察しづらいので今回は考慮しないものとする)

     そもそも宇宙空間における戦闘において、(特に戦艦や巡洋艦に相当する大型艦が存在するにも関わらず)小型の戦闘機を運用する必要性があるのかという問題がある。最大の問題は宇宙戦闘機それ自体が小型宇宙船であり、大型艦艇(=大型宇宙船)と質的な差異は無いという点にあるだろう。例えるならば、大型の水上艦から小型(1~2人乗り)のボートを多数発艦させるようなものである。それはそれで興味深いかもしれないが、現実世界においてそのような兵器が存在しない(そして検討もされていない)という事自体、非現実的な兵器と言わざるをえないだろう。
     しかしながら、類似した兵器体系が存在するのも事実である。大型艦艇から小型艦艇を発艦させるための設備(ウェルドック)を備えた艦艇というのも、限定的ではあるが存在するのだ。

     ウェルドック及びそれを備えた艦艇については幾つかの運用形態がある。その内、今回の考察に適用できそうなものとして挙げられるのが揚陸艦及びその派生系である強襲揚陸艦が挙げられる。この種の艦艇は文字通り揚陸作戦(敵対勢力化にある陸地に対し、海上より進行・陸上部隊を展開してこれを制圧する作戦形態)に用いられる。軍事に詳しい方ならご存知の通り、このような作戦には陸海空の緊密な連合が必要であり、その為に専門の部隊(海兵隊)が設立されているのが常である(アメリカ合衆国に至っては海兵隊を他の軍種から独立させている程である)。そしてこの為に用いられる揚陸艦はその任務に対応するため、ウェルドックから上陸用船艇(歩兵や戦車を運ぶ為の特殊船舶)を発艦させると同時に、各種航空機(戦闘機やヘリコプター)によってこれを支援する。

     これを恒星間文明同士の戦争に当てはめると、最も近いのはおそらく敵対勢力化にある有人惑星への降下作戦という事になるだろう。このような作戦においては、恒星間航行機能を持つ揚陸艦(的性格を持った大型宇宙船)から、大気圏内へ陸上兵力(歩兵や戦車など)を送り込む為の大気圏突入(及び離脱)機能を備えた降下艇を展開させるというプランはそれほど的外れではないだろう。そして降下艇を支援するための爆撃機やそれを護衛する為の戦闘機は必要だろうし、それに対抗するための迎撃機もまた考えられるだろう(これらは現在のマルチロール機のように一本化している事もありえる)。これらの小型船は限定的な宇宙航行能力を付与する必要性があると考えられる(攻撃側については、母艦となる揚陸艦は大気圏に入れないのだから軌道上=大気圏内の往復機能が必要となるし、防御側はこのような能力を持つ戦闘機や敵母艦の撃沈を考慮するだろうから、やはり同様の機能が必要となる)ので、これらを「宇宙戦闘機」と呼称するのであれば妥当性はあるのではないだろうか。

     尤も、これらの条件はかなり「都合の良い」仮定の上に存在している。例えば
     ※大気圏内でも運用可能な大型艦を低コストで建造可能
     ※艦砲射撃や無人機による精密爆撃が可能
     ※地上に直接部隊を転送降下させる事が可能
     このように技術が発展すればこのような兵器は「時代遅れ」となってしまうであろうし、そもそも恒星間航行を可能とする程の文明が上記の要件を満たしていないというのにも無理があるかかもしれない。

     これらの点を踏まえ、宇宙戦闘機は「ある時代には存在するかもしれないが、技術的進歩によって淘汰されてしまう」という結論に達した。

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