はじめに
記事タイトルから容易に推測できるとは思いますが、本稿では3月19日より公開された「映画プリキュアオールスターズ みんなで歌う 奇跡の魔法!(以下本作)」のネタバレを含みます。また、1回見ただけの記憶で書いているため、記憶違い等が含まれる可能性があります。予めご了承下さい。
総評
一言で評価するなら「文句なし」でしょうか。勿論、細かい不満点を挙げていくとキリがありませんが・・・逆に言えば細かい所を除けば満足できる作品であり、プリキュアファンなら一回は劇場で見ておいて損はないでしょう。ただPVや予告からもわかるとおり、完全なミュージカル仕立てとなっていますので、プリキュアや敵キャラクターが何の脈絡もなく歌ったり踊ったりします。こればかりは「ミュージカルだから」と割り切るしかないところですので、「ミュージカルが嫌い」という方には本作はおススメ出来ません。
あらすじと登場キャラクター
ここからはキャラクター別にストーリー上での立ち位置を概説しています。因みにここに上げられなかったキャラクターは声なしです、残念だけど仕方ないですね・・・44人もいるんだから。魔法つかいプリキュア!
朝日奈みらい/キュアミラクル
リコ /キュアマジカル
モフルン
例年のオールスターズの例に漏れず、本作では現役の彼女らが物語の主軸となります。全部は書ききれないので以下ピックアップ。
○他プリキュアからの新人扱い
ファンの間において「新人研修」と評される事も多いオールスターズ・シリーズですが、本作では戦闘慣れしていないような描写や、精神的な脆さが描かれる一方で、歴代プリキュアから「新人さん」「新入りさん」と評されるなど、良くも悪くも公式が乗っかったようなスタンスが見て取れます。因みに前述の評価は物語の序盤~中盤にかけのお話。先輩プリキュアと接する中で彼女たちが何を掴み取ったのかは劇場でご確認下さい。
○サファイアスタイルの登場
変身バンクはなく、ほとんど活躍のないまま変身解除にもっていかれるなど本当に「ちょっとだけ」ではありましたが、上映開始の翌日に放送された第七話に先行してのお披露目となりました。因みにルビースタイルは披露せず。ちょっと残念。
○歴代妖精と面識のなかったモフルン
例年であれば、妖精同士は「実は知り合いだった」設定がひょっこり出てくるのですが、今回はモフルンの出自もあってかそのような設定は出てきませんでした。もっとも、あっさりとパフ&アロマに溶け込んでいましたが(笑)。
○まさかのミラクルライト係
ミラクルライトは「プリキュアを応援する為のアイテム」であり、これまでは妖精やゲストキャラクター・モブキャラクターが振っていたのですが、今回は捕らえられていた歴代プリキュア救出のため、史上初の「ミラクルライトを振ったプリキュア」となりました・・・だからどうしたと言われたらそれまでですが、個人的にはかなり衝撃でした(笑)。
GO!プリンセスプリキュア
春野はるか /キュアフローラ
海藤みなみ /キュアマーメイド
天ノ川きらら/キュアトゥインクル
紅城トワ /キュアスカーレット
パフ
アロマ
前作という事もあり、フルメンバーでの出演。序盤では魔法つかいプリキュアと共闘してデスパライアと交戦。ソルシエールの世界に飛ばされた後もマジカルと離れ離れになったミラクルに道を指し示し、彼女が離脱する時間を稼ぐにとどまらず、ゴーヤーンやピエーロを<プリキュア・グランプランタン>で浄化する等、縦横無尽の大活躍。パフ&アロマもモフルンと協力してミラクルライトの輸送を担う一方で、トラウーマと追いかけっこを演じるなどのコメディリリーフも担当する等、全体的な出番は多めです。
※3月21日加筆修正
ハピネスチャージプリキュア!
愛乃めぐみ /キュアラブリー
白雪ひめ /キュアプリンセス
大森ゆうこ /キュアハニー
氷川いおな /キュアフォーチュン
プリンセスプリキュアと別れ、マジカルを探しさ迷い歩くもノイズの襲撃を受けたミラクルの援護に登場。デフォルトで持つ飛行能力と、相変わらずの技のデパートっぷりを遺憾なく発揮しての空中戦は短いながらも見応え十分です。
ドキドキ!プリキュア
相田マナ /キュアハート
菱川六花 /キュアダイヤモンド
四葉ありす/キュアロゼッタ
剣崎真琴 /キュアソード
円亜久里 /キュアエース
ソルシエールの世界へと飛ばされ、ミラクルやプリンセスプリキュアともはぐれた上にデスパライアの襲撃を受けたマジカルの援護に登場。抜群の戦闘センスとチームワークを遺憾なく発揮しましたが・・・メンバー毎に技の性質が異なるせいか、魔法つかい組よりもある意味魔法つかい的な戦い方をしていたような(笑)。因みにここまでは全員の名乗りバンクあり。
スマイルプリキュア!
星空みゆき/キュアハッピー
日野あかね/キュアサニー
さて、ここからメインプリキュアの枠も絞られています。ハッピーはメロディ・ブロッサム・ピーチと共に<ピンクカルテット>としてミラクルの援護に登場、館長やプロトジコチューと交戦しました。名乗りシーンや技(ハッピーシャワーもしくはハッピーシャワーシャイニング)の使用もありました。尤も、名乗りシーンでは他メンバーと揃わず、ピンクカルテット一同が技を一斉に放った際にも後輩であるミラクルの助けを借りてようやく放ったエネルギーが収束するなど、正直連携がとれていたのかいないのかといったところではあります。というか援護しにきたはずなのに逆に助けてもらってるあたり先輩としてどうなのか(苦笑)。
一方でサニーは残念ながらちょい役でした。とはいえ(人数的に仕方ないですが)声のあてられていないプリキュアが多数いる本作においてはまだしも目立っていた方かもしれません。
スイートプリキュア♪
北条響/キュアメロディ
<ピンクカルテット>の一員としてミラクルを援護し、館長・プロトジコチューと交戦。ハッピーと同じく名乗りや技(ミュージックロンド)の使用などの見せ場もありました。
ハートキャッチプリキュア!
花咲つぼみ/キュアブロッサム
来海えりか/キュアマリン
ブロッサムは<ピンクカルテット>の一員としてミラクルと共に館長・プロトジコチューと交戦。肉弾戦では主にハッピーと組んでいたのは中の人ネタでしょうか?(笑) 名乗りや技(ピンクフォルテウェイブ)の使用もありましたが、一方で相方であるマリンとの絡みはあまりありませんでした。
そのマリンは自分もとっつかまった事を棚に上げて他のプリキュア達に捕まった事を非難したり、相変わらずの顔芸を見せたりと、主にコメディリリーフとしての役回り・・・これはいつもの事ですね(笑)。
フレッシュプリキュア!
桃園ラブ/キュアピーチ
<ピンクカルテット>の一員として主にメロディと共闘し、館長・プロトジコチューと交戦。他のメンバー同様、名乗りや技(ラブサンシャイン・フレッシュ)の使用もありました。
Yes!プリキュア5!/Yes!プリキュア5GoGo!
夢原のぞみ/キュアドリーム
名乗りシーンは無く、物語上での役回りもあまり目立つものではありませんでした(セリフもそれほど多くはない)が、トラウーマとの最終決戦においてはシューティングスターを顔面に叩き込むなど相変わらずの切り込み隊長ぶり。あと、スーパープリキュア(シャイニングドリーム?)にフォームチェンジしていたような気もするのですが、プリキュア全員が縦横無尽に飛び回る最終決戦でのワンカットという事もあり、明確に視認はできませんでした。この件については2回目視聴してから加筆修正させていただきます。
ふたりはプリキュアSplash Star
日向咲/キュアブルーム/キュアブライト
立ち位置的にはドリームと同じ(名乗りシーン無し、セリフもそれほど多くはない)でしたが、トラウーマとの最終決戦においては飛行戦力として他のプリキュアに輪をかけて飛び回っていました。
ふたりはプリキュア/ふたりはプリキュアMax Heart
美墨なぎさ/キュアブラック
雪城ほのか/キュアホワイト
ルルン
ドリーム・ブルームと同じく名乗りシーンは無しですが、全員集合のシーンでは最前に位置すると共にトラウーマへと啖呵を切るなど、登場シーンは短いながらも初代の貫禄を見せつけました。また、ルルンがまさかの声ありで登場。プリキュアたちとはぐれていたところにミラクルと邂逅、プリキュアの救助を請うという、DX1に近い立ち位置でした。
プリキュアオールスターズ
坂上あゆみ/キュアエコー
まさかの登場。しかも名乗りシーン付き。さらにプリンセスプリキュアと共に先輩としてマジカルに道を指し示すなど、思いの外(失礼)優遇されていました。
※3月21日訂正 誤:ドキドキプリキュア 正:プリンセスプリキュア
敵キャラクター
ソルシエール
トラウーマ
今回の悪役である魔女ソルシエールの目的はプリキュアの涙を手に入れること。その理由は自分に「究極の魔法」を教えることなく逝去した師を蘇らせ、その真意を質す為でした。ですが蘇生魔法にプリキュアの涙が必要というのはトラウーマの偽りであり、実は彼がソルシエールの師によって封印された力を取り戻すためにソルシエールを利用していただけ。仕えていた側が実はラスボス、というプリキュアシリーズとしてはある意味お約束な展開といえるでしょう(笑)。しかしながらソルシエールの求めていた「究極の魔法」が実は・・・という展開はミュージカルという本作のコンセプトともマッチした素晴らしい設定だったと思います。因みに、今回登場した歴代シリーズの敵キャラクターはソルシエールがプリキュアの記憶(恐怖)から生成した、いわばコピー。
ジャアクキング :登場後、すぐに自爆
ゴーヤーン :プリンセスプリキュアと交戦し、浄化される
館長 :ピンクカルテットと交戦し、浄化される
メビウス :登場後、すぐに自爆
デューン :登場後、すぐに自爆
ノイズ :ハピネスチャージと交戦し、自爆
ピエーロ :プリンセスプリキュアと交戦、浄化される
プロトジコチュー :ピンクカルテットと交戦し、浄化される
レッド :登場後、すぐに自爆
ディスピア :ドキドキプリキュアと交戦し、自爆
年季の入ったプリキュアファンの方ならお気付きの通り、デスパライアは登場せず。尤も、あのラストでは「恐怖の対象」にはならないでしょう。
最後に
可能な限り歴代プリキュアの出番を均等化した前作「春のカーニバル」の方向性から従来のDXシリーズへと回帰したかのような作品ですが、一方でミュージカルという前作で実験的に取り入れられた要素を推し進めるなど、20周年記念にふさわしい「集大成」といえるでしょう。ぜひ、劇場で御覧になってください。