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「日本の生命線」シーレーン(海上交通路/SCOCs)講座 第20回
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「日本の生命線」シーレーン(海上交通路/SCOCs)講座 第20回

2013-10-16 19:42
    東南アジアの火薬庫「ブルネイ」
    ペルシャ湾からインド洋を抜け、オーストラリア西北、インドネシアのロンボック海峡を抜けた日本の商船隊が次に向かうのは、カリマンタン島南部からフィリピン・ミンダナオ島南部にあるマカッサル海峡である。

    この カリマンタン島の北側に位置するのが、豊富な資源によって国民が非常に豊かに暮らしていると思われている「ブルネイ」という小国だ。最近では、様々な国際会議が開かれているこの国であるが、実はこの国は今後、東南アジアの「火薬庫」になる可能性を強く秘めている。

    なぜなら、この国の元首である第29代スルターン、ハサナル・ボルキア国王が、この地域に一大イスラム連邦を設立しようという「夢」を抱いており、そのために様々な活動をしているからである。

    84年に英国から独立したこの国の人口はわずか40万強、三重県とほぼ同じサイズのイスラム教国で、膨大な地下資源を埋蔵する事でも知られている。日本との関係は深く、室町時代にはすでに交流があり、昭和19年10月にはレイテ湾突入を期した栗田艦隊の戦艦「大和」がここから出撃している。現在も両国の関係は良好で、ブルネイで産出される天然ガスのほとんどは日本向けである。

    贅沢な見かけとはかけ離れた経済
    この国の元首は66歳になるハサナル・ボルキア国王(第29代スルターン)であり、首相と国防、財務両大臣を兼務する絶対君主として君臨しており、国民からの支持も高い。

    世界有数の大富豪でもあり、ベンツやフェラーリなど2000台もの高級車の他、ボーイングなどの大型機を保有、1788の部屋と257の浴室、5000人収容の宴会場まで備えた世界最大の宮殿「イスタナ・ヌルル・イマム宮殿」(床面積20万平米)に住んでいる。あの紫禁城よりも巨大だといえば、この宮殿の規模が想像出来るだろう。

    また、ブルネイ国民に納税の義務はなく、教育も無償であり、IMF統計による一人当たりの購買力平価換算GDPは、日本を上回る5万ドルに達している。そのため、ブルネイは極めて豊かだというイメージが強いが、その経済基盤は脆弱であり、政治の意思決定プロセスも極めて不透明な国家である。

    唯一の国家収入は、同国で莫大な利益を稼ぎ出している石油メジャーのロイヤル・ダッチ・シェル(RDS)とその系列企業からだけであり、年間予算は日本円で僅かに3900億円ほどしかない。また周辺から多くの部族や華僑が流入したため、独立時に比べて人口が倍増し、国家の歳出が急増した。これに九七年のアジア通貨危機や石油価格の下落などが重なり、国内経済は停滞し続けている。

    東南アジアを監視するイギリスの拠点
    またブルネイは、英国にとっては周辺における影響力を維持する上でも非常に重要な拠点であり、62年に発生したブルネイ人民党による独立運動を鎮圧し、フォークランド紛争でも戦った英陸軍ロイヤル・グルカ連隊の他、最近香港から引き上げた退役グルカ兵2000名も配属されているが、英軍最強とされる彼らは、石油メジャーの油田権益を防衛するために展開している。また英豪軍の特殊部隊もここを拠点とし、過去、隣国に対する様々な越境作戦に従事して来た。

    政府の方針も、議会や国王が決めるのではなく、1929年にRDSが開いた名門「パナガ・ゴルフクラブ」における石油メジャーの役員会によってすべて決まると言っても過言ではない。国名を石油会社のそれにした方が良いのではと揶揄されて来た所以だ。つまりブルネイは、実際は独立などしておらず、国王には何の政治的権限も与えられていないという事が判る。

    もちろんボルキア国王にしても、国内に展開するイギリス軍特殊部隊SASや、精鋭グルカ連隊などは、この国や自分を守っているのではなく、石油施設を守っているに過ぎず、また国王自身をも監視するために配置されていると考えているだろうし、その推測は決して間違っていない。イギリスは、ただでさえ奔放に振る舞うボルキア国王を明らかに監視しているし、政治的に好き勝手をする事は絶対に許さないだろう。

    (続く)

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