【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第1話「現実は遠のいて」
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【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第1話「現実は遠のいて」

2020-06-02 18:00
    専門学校に入学してから3ヶ月ほど経った。
    教室の窓に映る曇り空を眺めながら、手作りのお弁当を食べる。

    私の通っている学校はデザイン専門の学校で、ゲームやアニメで使われる背景を描くグラフィックデザインと、個性豊かなキャラクターをデザインするイラストレーションの2つの専攻に分かれており、私はイラストレーション学科に所属していた。

    そこでは主に、可愛いぬいぐるみや好きなアニメのヒロインを語り合う女子生徒やゲームの敵キャラやガンダム、時には戦隊ヒーロー等の特撮アニメを夢中になって研究する男子生徒で教室は溢れており、私は教室の隅っこで静かに昼食を摂っていた。

    そんな学校の生活にも次第に慣れて来たので、将来はフリーのイラストレーターになるか、どこかのデザイン会社で絵を描き続ける仕事をするか、そんな淡い夢が芽生え始めていた。

    これから先の夢を描く事は誰にだって出来るし、どんな自分にもなれる可能性はある。
    でも実際、夢を叶えた人はごく僅かで、なりたい自分からなれる自分へと変わっていく。
    なりそこなった大人たちの影が彷徨う世界の中で、私はどうなりたいのか迷っていた。

    そんな事を考え始めていたある日のことだった。

    都内で開かれる作品展覧会に、うちの学校の作品を展示する話が舞い込んだ。
    その展覧会では街中の人々が観に来るだけでなく、有名な画伯や評論家までもが足を運び、1人1人の作品を評価し、最優秀賞に選ばれた作品は東京にある美術館に展示される。
    運が良ければ、大手企業のデザイン部門に推薦され、メジャーデビューを果たせる可能性もあるとのことだ。

    私は早速、家の近くにある文房具店で道具を一式買い揃えて、自室で絵を描き始めた。

    小さい頃から絵が好きだった私は、絵を通じて世界を色鮮やかに美しく。
    自分の取り巻く世界の事を色んな人に知ってもらいたい。
    そんな想いで私は一心不乱に筆を走らせる。

    窓の外の景色は、相変わらずの曇り空で覆われていた。
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