【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第4話「目眩く閃光と 何処までも混沌を」
閉じる
閉じる

新しい記事を投稿しました。シェアして読者に伝えましょう

×

【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第4話「目眩く閃光と 何処までも混沌を」

2020-06-23 18:00
    退院後、私は会社に辞表を出した。

    今後、仕事を続けてもまた同じように身体を壊しかねない。
    病院の医師からドクターストップを通告され、もうこれ以上、絵を描き続ける事が出来なくなってしまった。

    半年間だけの就職活動に自ら終止符を打ち、やっとの思いで私は家に帰った。
    自宅のアトリエには、これまで私が描き続けてきた絵の数々が壁一面に広がっていた。

    新製品のファンデーションで綺麗な肌を魅せる女性の絵。
    スタミナドリンクで仕事を乗り越えようとするサラリーマンの絵。
    政治改革やヘイトスピーチを訴える市民の絵。

    私は私の描きたい絵を描きたかった。
    その描いた先に広がる美しい世界を、私はずっと望んでいた。
    しかし、見えてくるのは浅はかな人たちの薄汚れた欲望や妬み。
    人の心に潜む暗闇が自分の心を蝕んでいくような、そんな気がしてならなかった。

    私は何を描きたかったのだろう?
    私は何になりたかったのだろう?
    私はどこで間違えたのだろう?
    私はこれからどう生きればいいのだろう?

    頭を抱えて私は苦しむ。
    そして、引き出しの中からパレットナイフを取り出し、振りかぶって絵を切り裂いた。

    何度も、何度も、ズタズタに切り裂かれる絵は、もはや何の価値もない紙くずとなった。
    その紙くずを拾い集め、丸型バケツに少量の灯油を注いで火を点ける。
    そして、紙くずをそのバケツの中に放り込んだ。

    淡い炎が揺らめきながら、紙くずが燃え尽きるのをずっと眺めていた。

    私の夢は、この炎と共に消え去った。
    広告
    コメントを書く
    コメントをするには、
    ログインして下さい。