【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第5話「Take your heart」
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【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第5話「Take your heart」

2020-06-30 18:00
    何もかも失った私は、自宅に篭ってただ寝るだけの日々を送るようになった。

    何かを夢見て歩き続けてきた。
    だが、歩いた先で自分の目指していた夢が、あっけなく消え失せたのだ。
    何も考えられず、誰も信じられず、私は私の夢を消し去った。
    これまで歩き続けてきたものが全て壊れ、心は薄汚れた灰色のように。
    とてつもない虚無の中、私はただ眠りを繰り返すだけの毎日を送っていた。

    そんなある日の夜。
    なかなか寝付けない私は、仕方なく気分転換に夜の散歩へと出掛けた。
    昼間と違って夜は人が少なく、点々と灯る家や街の明かりがキラキラと瞬き、
    暗闇の中で照らし続ける満月は、どこまでも美しく輝き続けていた。

    途中のベンチで腰を下ろし、私は満月を眺める。
    あの月のように、私は輝ける人生を送りたかった。
    誰かの心を照らせるような、そんな人間になりたかった。

    昔見た淡い夢を思い出していたその時だった。

    「あなたも夜のお散歩かな?」

    突然、声が聞こえた。

    私は驚き、あたりを見渡す。
    すると、私の後ろに一人の女性が立っていた。
    金色の長い髪に赤い眼をしたその彼女の容姿は、さながら吸血鬼のようだった。

    「夜に女性の一人歩きは危険だよー?って、アタシも他人のこと言えないけど。」

    冗談めかしたような発言が癪に触ったが、どこか悪い人には見えなかった。
    ジッと彼女の眼を見つめる私に、彼女はニヤリと笑いながら思わぬ事を私に告げる。

    「君さぁ、ウチに来ない?」
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