【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第6話「貴方ノ幸セ 私ノ幸セ」
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【デレマス小説】灰色の空で笑うあなたへ 第6話「貴方ノ幸セ 私ノ幸セ」

2020-07-07 18:00
    あれから半年ほど経った。
    窓に映る曇り空を眺めながら、手作りのお弁当を作る。

    時折、炎が荒れ狂い、大切なものを全て焦がして焼き尽くす夢を見る。
    私が描きたかった夢は、あの炎が焼き尽くした様に、ちっぽけで空っぽなもの。
    華やかな人生とは、華やかな人間である人にこそふさわしいのかもしれない。

    でも、それでも私は私のまま。
    誰かの心の支えになれるような人間になりたい。

    美しい思い出は消えてなくなってもいい。
    泣き叫んで、挫けて、何もかも失ってもいい。

    それでも信頼できる人がそばにいるなら。
    それでも愛せる人が近くにいるなら。
    私は私の人生と誰かの人生を支えられるように生きたい。

    「千夜ちゃーん、朝ご飯まだー?」

    彼女の声が聞こえる。
    絶望していた私に光を与えてくれた、それはまるで闇夜に月の光を照らしてくれたように。
    寝ぼけ眼な彼女に、私は微笑んで応える。

    「もうすぐ出来ますよ、お嬢さま。」

    あのとき夢見た人生は送れなかった。
    きっとこれからも、ずっとそれが訪れることはないだろう。
    私に手を差し伸べてくれたお嬢さまには頭が上がらず、
    申し訳ない気持ちでいっぱいだが、これがきっと、私に似合う私自身なのだろう。
    でも、笑って生きていけるのであれば、こんな私も悪くないのかもしれない。

    窓に映る曇り空からは、薄明の光が射し込んでいた。
    その光景を互いに眺めながら、私とお嬢さまは笑いあった。
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