自転車事故記「泣いた鬼ギャル」
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自転車事故記「泣いた鬼ギャル」

2019-10-23 11:15
    前書き

     人生初のロードバイクを買った5月末。あまりの速さに遠くまで走ってみたくなったので新潟から愛知を目指した6月末。
     勢いで飛び出したため、長野の山で数日間、彷徨い、「知多半島の貴婦人」や「さすらいのライダー」、「外国人自転車乗りのBLカップル」に命を救われました。
    (それはまた「愛知到達編」で。)
     命からがら家に辿り着いた7月頭。それから僅か2日後の事でした―――。

    第一話 車は急に止まれない。

     愛知旅行から帰った翌々日。(翌日は疲れて一日中寝ていました。)
     長旅で傷んだ愛車の点検をしてもらおうと自転車屋さんに向かいました。
     
     道中、以下のような交差点を通りました。



     所謂、見通しの悪い交差点です。
     僕はこの道を画像の下から上に向かって進んでいました。



     停止線の位置で止まり、カーブミラーを確認したところ何も映っていなかったので再度、自転車を走り出しました。

     これが間違いでした。

     ロードバイクは漕ぎ出しから10km/h程のスピードが出ます。
     カーブミラーには死角が多いため、歩行者や小さな子供であれば見逃してしまうことも多いです。もしぶつかってしまえば大怪我を負わせてしまうかも知れません。
     この場合は、車と同じように交差点から鼻先だけ突き出すような形でゆっくり発信する必要がありました。

     さて、話に戻ります。
     交差点から出たところ、右側から一台の車が走ってきました。



     僕は咄嗟にブレーキを掛けました。これも間違いだったようです。

     車に轢かれそうな人がいた場合「危ない!」と言ってはいけないそうです。
    「危ない」という漠然とした言い方だと咄嗟に正確な行動が取れないからです。
    「走れ!」もしくは「止まれ!」が正解なのだとか。
     もっとも、声を掛ける側も咄嗟に正しい指示を出すことは難しそうですが。

     さて、またしても本題に戻ります。
     結局、両者とも止まれず交差点の真ん中付近でぶつかってしまいました。
     自転車の後輪付近に車が突っ込んでくる形で。



     カーブミラーの範囲に映らないにも関わらず止まり切れなかったということで自動車の方はかなりのスピードが出ていました。(恐らく20~30km/hくらい)
     自転車ごとボンネットに乗り上げると数メートル乗り続けた後、前方に振り落とされました。



     落ちたすぐ脇に縁石のブロック群がありました。幸運なことにここにはぶつかりませんでした。
    (この時、ヘルメットをしていなかったのでここに頭から落ちていたら即死だったかも知れません。)
     幸いなことに、車とは自転車の後輪でぶつかったため接触もしておらず、落ちた拍子に地面に肩を打ったくらいで大きな怪我もありませんでした。
     ただ、痛みはなかったもののしばらくの間、足の震えが止まりませんでした。
    「大丈夫ですか⁉」とすぐに運転者の方が降りてきて下さりました。
     金髪の女性でしたので、ここでは「ギャル」と呼ばせて頂きます。
     相手側が優先道路でしたので、本来悪いのはこちらです。
    「すみません、こっちが止まらなければならなかったのに。」
    と謝りの言葉を伝えたところ、事故のせいでひしゃげてしまったバンパーが目に留まり、
    「すみません、バンパーを壊してしまって。修理費お支払いします。」と言ったところ、断られました。
     相手からは「救急車呼びましょうか?!」と声掛けを頂きましたが、
    「頭も背中も打っていないので大丈夫です!」と断りました。
     車から相手方のお子さんと思わしき、小学校低学年から未就学児くらいの娘さんが降りてきて一言。(車内にもう一人、赤ちゃんがいました。)
    「痛そう‥‥‥。大丈夫?」
     僕の肩から服の上からでも分かる程度に流血していたので、心配して声を掛けてくれました。
     僕は申し訳ない気持ちになりましたが、
    「大丈夫!ごめんな、びっくりさせて。」
    と謝ることしかできませんでした。
     さて、僕は普段から自転車に乗る際はプロテインを携帯しているんですが、この時、事故の衝撃で中身がこぼれてしまいました。
     そのボトルを拾ったところ、次のような会話が。
    「それプロテインですか?」
    「はい。これを飲むと筋肉が付くんです。」
     事故の直後とは思えないやりとり。
     その後、故障した自転車を見て「車で送っていきましょうか?」と声掛けを頂きましたがコミュ障の僕には耐えられそうにないので断りました。(コミュ障でなくても気まずいと思う。)
     怪我も大したことがなく、車の修理費も結構とのことだったので、連絡先の交換だけしてその場は去ることに。

     これは本当にいけません。
     たとえ小さな事故でも警察に報告する必要があります。ましてや今回は人身。
     後に書きますが、警察の方にもこっぴどく怒られました。

    第二話 姥捨て山

     とりあえず事故現場を後にした僕ですが事故の影響で自転車は動きません。
     現場から少し離れたところで整備したところ、後輪が完全にひしゃげていて押して歩くのも無理な状態でした。
     すると一本の電話が―――。
     聞けば先程のギャルの旦那さんでした。(便宜上「ギャル夫」と呼ぶことにしましょう。) 
     ここでも車の修理費の件は「古い車だから」と断られました。
     しばらくすると旦那さんがやってきました。
     自転車の状態を見て修理費を下さるといったお話。
     そして、またしても「車で送っていきます」と声掛けを頂きましたが、やはり気まずい事と、もう一つ。
     何となく「証拠隠滅のために山に捨てられる」ような気がしたので断ることに。
     後輪を外して背負うと、自転車を押して旦那さんと別れました。

    第三話 無免許運転

     僕は普段、一人で暮らしていますが自転車を押して帰るには遠い距離でしたので(まして事故車)ひとまず実家に寄ることに。幸い事故現場からはそう遠くなかったので何とかたどり着けました。
     家族に事情を話したところ、
    「何で警察を呼ばない!」
    「今すぐ病院に行ってこい!」
    とのこと。(当然ですが。)
     警察はそうですが、病院に関しては、
    「病院?どこも痛くないのに?
     病院の先生に「今日はどうされましたか?」って聞かれて「いや、どこも痛くないんです。」って言うんけ?」
    と答えたところ「確かに。」といった顔をされました。
    (この辺、本当に頭が悪い。痛いところがなくても事故に遭ったことを伝えて検査を受けるべきですね。)

     この日はもう遅かったので、病院は後日にして警察に連絡しようと旦那さんに電話を掛けたところ、
    「警察への連絡は構いませんが、僕が事故を起こしたことにしてもらえませんか?」
    とのこと。
     保険の問題なのか、奥さんをかばおうとしているのかは分かりませんが、相手の家計の事を考え迷いました。が、やはり詐称は良くないと思い、断りました。
     すると、
    「そうですか‥…実は妻は免許持ってなかったみたいで―――。」

     さて、話が変わってきました。

     この言い方から「事故当時、免許非携帯だった」という意味かと思いましたが、よくよく聞くと無免許運転とのこと。(もしかすると免停中だったのかも知れませんが結局よく分かりませんでした。)
     旦那さんが警察へ電話をして、警察から折り返しで僕のところに電話がかかってきました。
    「自転車を持って署まで来てください。」とのこと。
     相棒はもう動きません。この日、車は乗れませんでしたので自転車を担いで歩いていくしかありません。
     それではもはや弁慶です。


     そんなゴキゲンなことをする余力は残っていません。
     事情を伝えたところ、仕方ないとのことで、署ではなく事故現場に向かうことになりました。

    第四話 泣いた鬼ギャル
     
     現場に着くや否や、警察の方に
    「どうしてすぐに電話しなかったんだ!!」
    と叱られました。

     数日前の新潟⇔愛知から警察のお世話になってばかりです。
     崖の脇の大岩の上で寝ていたところ轢き逃げと間違えられて愛知県警の方が。
     農道で寝て起きては自転車の整備をしていたら「人が倒れている」と岐阜県警が。
     そして山の中で力尽きて倒れていたところ、通りがかりの長野県警のパトカーにスルーされました。(一番、声掛けられそうなのに。)
     これを「長野県警の怠慢」と呼んでいます。(「涼宮ハルヒの憂鬱」風)
     気付かなかっただけだとは思いますが、それではパトロールの意味がない気がします。

     ギャル夫妻と合流したところ、奥さんは、
    「すみません―――。すみません―――。」
    と大泣き。
     これぞ「泣いた赤鬼」ならぬ「泣いた鬼ギャル」です。(日焼けしていないので厳密に言うと鬼ギャルではありません。)
     
     この後、現場写真を撮りましたが、これが地獄でした。
     鬼ギャルと僕は並ばされ、この間も鬼ギャルは号泣。
     警察の方は、
    「はい並んで並んで~。こっち向いて~。もっと近付いて~。」
    「笑って笑って~。」とは流石に言われませんでしたが、まるで記念撮影。
     構図は完全に「赤い糸」のエンディングでした。



    ※10年程前に放送されていたドラマで、エンディングは毎回、その回でスポットが当たったカップルの写真が流れます。

     ふざけたような警察。(多分、悪意はない)泣いている鬼ギャル。削られた僕。
     この状況に笑いをこらえるのが大変でした。(本来、笑い事ではない。)

     さて、赤い糸に例えましたがもちろん「事故から恋が始まる」というようなドラマはありません。
     それでは赤井さんです。

    ※赤井修一。名探偵コナンの登場人物。黒の組織に潜入するため灰原の姉である宮野明美が運転する車に当たり屋的に飛び込みそこから恋仲になる。というトンデモ話

    第五話 あしたのジョー

     その後、警察署まで向かうことに。
     人生初の「署まで御同行、願えますか?」です。
     道中、車内で警察の方から僕と鬼ギャルさんが同い年であることを知りました。
     僕は独身ですし子供もいないので、同い年で二人もお子さんを育てていることに感激しました。(とは言え無免許運転はいけません。)
     署に着くと取り調べ室のようなところに通されました。(鬼ギャルさんとは別室)
     警察の方に年齢を聞かれたので23(当時)と答えると、
    「いや、その顔は27だな。」とのこと。
     よく老けて見られます。
     担当の方がいらっしゃるまで雑談とのことでしたが、漫画談議に花が咲きました。
     以下はあしたのジョーの話です。
    「丈は金 竜飛(きん りゅうひ)って韓国人と戦うんだけどこいつは戦争を経験してるからとんでもなくハングリーなんだよ!「平和ボケした日本人になんか負けない」って!
     丈も丈で、力石を死なせてしまったから必死でさ!とにかくあの試合が一番面白かったよ!」
     とのこと。機会があれば是非、読みたいです。


     さて、そんなこんなで事情聴取も終わり帰ろうかという時に署の玄関で鬼ギャルさんに話しかけられました。この時も涙ながらで、声を振り絞るように。
    「本当にすみませんでした‥‥‥何とお詫びして良いか―――。」
    「いえ、そちらに怪我が無くて良かったです。
     同い年なのにお子さん2人も育てられて凄いです。お大事に。」
     優しい化け物のような言葉でその場を去りました。

    最終話 翌日の傷(よくひのショー)

     翌日、程度は僅かですが幾つかの箇所に痛みが出ました。(事故の怪我は後になってから痛む事もあるようです。お気を付けください。)
     診察を受けたところ、事故は健康保険適用外なので2万円かかりました。(この時の代金をまだ鬼ギャル夫妻からもらってない。)

     数日して壊れた自転車を見に警察の方がいらっしゃいました。
     事故の処理は「人身」扱いではなく「物損」とのこと。
     これによってこちらが不利になることはありませんが相手の罪が幾らか軽くなるとのこと。
    (後から人身扱いに変えることもできます。)

     一週間ほどで怪我は完治しましたが(後遺症が残らなくて良かったです。)相棒は帰らぬ人(?)に―――。

     初めて手にしたロードバイク。一緒に愛知まで旅しました。
     それまで乗っていた自転車とは別次元の速さで、この旅行も「自分の足で行った」というより「相棒に連れていってもらった」という感覚でした。
     もうこの相棒と一緒に走れないと思うと―――。
    (実はこの後、相棒は復活を遂げるのですがそれはまた別の話―――。)

    後書き

     さて、今回言うのはただ一つ。
    「交通事故には気を付けましょう。」ということ。
     停止位置ではしっかりと止まり、周りをよく確認してから進んで下さい。

     あと、事故の際は必ず警察の方に連絡を。

     2つになってしまいました。
     それではまた―――。
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